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救世のグランド・セイバー  作者: S・セリザワ
3rd Attack「忍者でござるよ」
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B-26 隣の少女


俺は夢を見た。


遠い昔、まだ幼かった頃

優しい手のひらに手を繋いで

笑いながら歩いたあの日



大切な人の声に惹かれ

一緒に走ったあの日




姉貴


姉御


お袋





ふと目が覚めた。

とても居心地の良い夢

覚めて欲しくない夢

これほど素晴らしい夢を見たのは何年ぶりだろうか。







俺がいる場所は、どうやら地下道のようだ。

突然F.A.C.Eが起動する。

「オハヨウゴザイマス」

「おはよう。今何時だ?」

「今ハ、9.月29日 11時28分デス」


あの戦いから3日経っていた。

フリードマンを撃破したところまで覚えている。

ダメージを負いすぎた、しかし、現に生きている。

明らかに手当をした後がある。



何が起きたんだ



「あれ?目が覚めたでござるか?」



ふと気がつくと

横には女の子が正座していた。

先ほどまではいなかったはずだ。

だが、セィングで感じることが出来なかった。



「あ、自己紹介が遅れましたな。拙者「室阿 桃菜」にござる。」

「…桃菜?俺は「月山 好多」だ。」

「私ハ「F.A.C.E」ト申シマス。」

「好多殿にF.A.C.E殿でござるか、よろしくお願いするでござる!」



先ほどから思っていたが

何故語尾に「ござる」を付けているのか。

この子は忍者か?

それはさておき、この外はどうなっているのだろう。



「桃菜、現在の敵の進行状況とか、外の様子は分かるか?」

「特に変わりは無いでござる。」

「じゃあ…A-25はどうなった…?」



すぐさま、桃菜からサムズアップが帰ってきた。

一安心というか、何というか。



「そういえば、好多殿のブースターは特殊でござるな。

戦闘制御AIを装備した、多目的マッハブースターとは!」

「…まぁな…」

「相当強力なマハトをお持ちであると見受けたでござる!」

「…セィングとストックだ…」

「二つ…?もしかして」

「セルマハトだよ…」

「おぉぉおおぉぉおぉ!」


突然桃菜が目を輝かせて、こちらを見つめてきた。


「な、何だよ!?」

「マハト二つ持ちとか凄いでござるよ!カッコイイ!」

「…は?」

「え?」

「いや、だってお前…俺セルマハトだぞ?異端児だぞ?」

「世間の目なんて知らないでござる。拙者は拙者の意見を言ったまででござる。」


不思議な気分だ。

今まで異端と言われて嫌われ続けたこの力

それをここまで褒められるとは思わなかった。

嬉しいような気分であるが

どこか複雑である。


「そういやさ…お前の左腕のアーマーって…」

「これでござるか?拙者のブースターにござる!」

「てことはお前もマハトか?」

「左様!能力は」



その時、何かを感じた。

金属が地面にぶつかる音が、少しずつこちらに近づいてくる。


エヴィリゴンだ。



「行けるか?桃菜。」

「それはこちらの台詞、傷は大丈夫でござるか?」

「ったりめぇよ!」




~続く~


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