X-26 進行する巨艦
「おいリリルどうした!?早く援護を!」
「ごめん…出来ない…標準が…定まらない…」
蒼也が焦って声を掛けてきた
けれど、普段なら強気な態度をここで取っているはずなのに
それをしない私に蒼也が気づいたらしい
「お前…俺にバカって言ってみろ」
「言えないよ…そんな酷い事言えないよ!」
「リリル…お前…!?」
「おい射手二人どうした!?」
好多が怒号を上げる
「リリルが撃てなくなった…!」
「は!?」
「詳しい話は後だ好多!ここを乗り切るぞ!」
蒼也は何の当てもなく乗り切るって言っているのだろう
私も援護したかった
力になりたかった
でも、頭がいっぱいだった
何故ブレーズが現れたのか
そもそもあれは本当にブレーズなのか
何故強気になれなくなったのか
もう何をどう考えれば良いのかわからなかった
その時、後方からエヴィリゴンに砲撃が加わる
超巨大な爆炎はエヴィリゴンの群れを一蹴する
突然の砲撃に
敵は後退を余儀なくされた
『こちらリーガ王国王妃直属部隊隊長「エギル・ブランシェ」にございます!
軍の部隊の方、大丈夫でございますかな!?』
好多の方に掛かった通信が聞こえた
昔聞いた事のある声だった
それもそうだ
それは「じいや」の声なのだから
『参戦遅れ申し訳ございません!事情はコチラでお話しします!』
そう言われ、私たちはじいやの指示に従い、向かった
それは83m級の大型陸上戦艦
リーガ第一型主力戦艦「ギガバジェーナ」
南国戦争の主力になった巨大戦艦である
ドックから入ると
目の前にじいやが待機していた
「お待ちしておりました、グランド・セイバーの皆様。
改めて自己紹介をさせて頂きます。
私はリーガ王国王妃直属部隊隊長「エギル・ブランシェ」
リリル姫様の側近でございます」
「あぁ、リリルの…
俺は部隊の一応隊長やってる月山好多ってもんです」
「話は少将から聞いております。
皆様には姫様がお世話になられて…」
「い、いや、俺たちも助けられてますし」
好多とじいやが話しているのに水を差すのも悪い気がした
でも、我慢の限界だった
「ごめんじいや…個室空いてる…?」
「姫様?ご体調が優れませんか…?」
「う、うん…ちょっと一人になりたい…」
「…かしこまりました、ではA-15へ」
「ありがと…」
私はA-15へ向かい、そのままベッドに倒れ込んだ
ふと意識が飛んで
暗い闇の中に落ちていった
その次の瞬間
そこには白い空間が広がっていった
~続く~




