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MAGIC・SOUL  作者: 水上 鍵
第一章 新しき学園といつもの生活
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7話 迷惑発信人間

「か・み・や・くーーん!」

「は?」


いきなり右から人が突っ込んできているのが見える。

というか声からして伊瀬。

どっちみちここでこういうことをする奴はこいつ以外思い当たらないが。

ということで、ぶつかる前に体を右に移動させて避ける。

そして、


「吹っ飛べ、伊瀬ボール!」


なんかムカついたので伊瀬の背中を蹴り飛ばす。

伊瀬は止まることなくそのまま加速して壁の方向突っ込んでいった――

――までは、よかった。

あろうことか、伊瀬はどうやったのか俺の足首を掴んだのだ。

そして残念なことにそのまま二人同時に壁の方に突っ込む。


「うぉっと!」

「ヌボバッ!」


あー、ビックリした。

一応、壁-伊瀬-俺、の順番になっていたので伊瀬がクッション代わりになり、俺には衝撃だけで痛みは無かった。


「おいこら伊瀬、何すんだ……」

「うぅぅ……」


伊瀬がヨロヨロと立ち上がって頬を両手で叩く。


「いやー、テンションが上がっちまってな。んじゃ帰るか、上夜」

「は?俺は茜と帰るんだが」


そういえば茜遅いなー。

周りを見回すと、茜がぐったりした状態で立っていた。


「……茜、どうしたんだ?」

「え、えーっとー」


茜が伊瀬の方をチラッとみる。

あー、そういうことな。


「お前か、伊瀬……」

「え゛?な、なにがだよ?」

「茜の疲労原因。普通、教室から靴箱まで来るのにこんなに疲労するわけねーだろ」


あれか。この高校は一歩歩くごとにHPが少しずつ減っていくとかいう危険な通路があるのか。

なわけねーよ。

お、何か伊瀬が考え込む顔をしてるぞ。

そして一言。


「……その心は?」


伊瀬、その返答はおかしいと思うぞ。

まぁいいや。面倒くさいけどここで説明タイムに入りまーす。


「お前は俺に帰る誘いではなく一緒に帰るぞと言った。だけど茜と俺が登校してきたことも家が隣なことも知ってる。つまり茜と帰ることは予想がついたんだろう。俺に言ったら断られるとでも思ったのか、まずは茜に「上夜と帰りたいんだが、俺も一緒でいいかな?」とか言う。まぁ帰りたいのは俺じゃなく茜だろうがな。で、まぁ茜はいいよと言うだろうな。だけど普通それだけでは茜がここまで疲れるはずがない。どうせ計画通りに物事が進んだから調子に乗って、趣味などを質問攻めしたとか自分をアピールしまくったとかしたんだろ。で、この結果だ。」


あー、一気に喋ったら喉渇いた。


「……お前、エスパーか?」


何か伊瀬が絶句してる。

つうか図星かい。


「これぐらい少し考えたら普通に思いつくだろ……」

「あ、あは。あははー。」

「はぁ……。ま、別に一緒に帰るのはいいけどお前帰る方向同じなのか?」

「あ」


聖凪高の門は一つで左右方向に別れる形になる。

どうやら伊瀬はそれを確認する前に先走ったらしい。


「ちなみに俺は門出て左方向だぞ。」

「……………」


伊瀬の表情が一瞬凍りついて膝をつく。

どうやら逆方向らしい。

残念だな。


「じゃあ茜。帰るぞー。」

「え、あ、うん。」


茜が駆け足気味に寄ってくる。


「いいのかな?伊瀬くん、だっけ?落ち込んでたけど……」


「まぁあいつなら大丈夫だろ。人の幼なじみを困らした制裁ってな。でもまぁ今日知り合ったばかりだけど、悪い奴じゃなさそうだから。普通に仲良くしてやってくれよな――ってあれ?」


校門から出たので、時間を確かめようとポケットを探る、が何も無い。


「どうしたの?」

「携帯が、無い」

「え、どこかで落としたの?」

「いや、分か……」


あー、もしかしてー…


「微妙に思い出した。今日は先に帰っててくれ!」

「あ、うん!気をつけてね!」


走りながら思い出しているのは伊勢が突進してきたときの光景。

多分ぶつかった時に落ちたのだろうの思う。

あいつは迷惑発信人間かよ……

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