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MAGIC・SOUL  作者: 水上 鍵
第一章 新しき学園といつもの生活
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5話 伊瀬涼太

今はクラスの自己紹介中。

筆記用具は茜から借りた。

俺は窓際の後ろから二番目の席(前から五番目)である。

ちなみに後ろの席は伊瀬であり、茜は俺達の右の列、前から二番目だ。

お、自己紹介俺の番きた。

よし、無難に無難にだ。


「上夜 仁です。勉強も部活も両立できるように頑張っていきたいと思います。一年間宜しくお願いします!」


そう言って座る。

よし、噛まずに言えた。良かった、良かった。

一般的なのが結構いいんだよ。というか、普通こういうのはみんな同じだろうしな。


「伊瀬 凉太です!今年の目標は可愛い彼女を作ることです!なので女子のみんな!告白、宜しくお願いします!」


……こいつは例外。まさかの自己紹介で彼女作る宣言かよ。

つうか告白宜しくって、自分からはこくらないのかよ。

しかも可愛い限定て。

周りも見て分かるほどどよめいている。

そして、その流れで彼女作る宣言をしている人が数人。

というか一部引いてる女子がいるのだが逆効果ではないだろうか。


「なぁなぁ、上夜。俺言っちゃったよ」

「ああ、お前すげーな。普通はいねぇよ、そんな奴」

「そんな奴って……。でもまぁそうなんだがな。俺って顔立ちいいとは言えないからさ、こうでもしないと彼女なんか夢のまた夢の気がするんだよなぁ。」

「ふーん、まぁ努力してんだな。一応応援しとくよ」

「サンキュー。で、そういうお前はどうすんだよ」

「俺?何が。」

「何がって……、彼女だよ。彼女!欲しくねーのかよ。」

「んー、どっちかと言われたら勿論欲しいけど、別にそこまで焦る必要ないだろ?」


去年は受験勉強で忙しかったしそういうの考えてなかったなー。

ま、今は学校に慣れることが最優先だな。


「はぁー…。その台詞を言える奴になりたかったぜ……」

「なにため息ついてんだよ?」

「焦る必要がないって。それを言えるってことは少なからず自分に不満がないってことだろ?」

「そうか?心情の問題じゃないのか?」

「それもあるかもだが、いつかはできるっていう考えがどっかにあることは間違いないだろ。」

「いや、そうでもな――」

「―いいや、そうだね。そうに違いないね!だってお前俺より顔立ちいいしね!だから――」


お、褒めてくれた。いい奴だなー。


「――だからお前の悪い噂をあることない事をこの学校に流しへブッ!!?」


前言撤回。

悪い芽は潰しておこう。


「それただの八つ当たりじゃねーか。」

「じょ、冗談だ冗談。と、とにかく俺は彼女作り頑張るぜ!」

「はいはい、頑張れ。」


物事に前向きなのはいいことだしな。


「だが可愛い子限定だぜ!」


しかし人間、何というか謙虚さも大事だと思う。


「お前、欲丸出しじゃねぇか。」

「少しぐらい強欲じゃないと後悔するかもだぜ。」


その欲が破滅を生まなかったらいいんだがな。


「――宜しくお願いします。」


お、茜の自己紹介が終わったようだ。

よく聞いてなかったが、多分普通だった気がする。


「あーそうそう、ちょうどあの子みたいな女子がいいな~。」


何をまったりした顔してやがんだ。


「茜?止めとけ止めとけ。あいつは確かに可愛い部類に入るとは思うが、多少お節介だぞ?」

「…………」

「何だよ、その沈黙と目。」

「……お前、立花さんとどんな関係よ?」


こいつは質問ばっかりだな。


「は?どんなって、ただの幼なじみだよ。後は家が隣ってぐらいか。」

「お、幼なじみ!?朝、一緒に登校してたから何だろうと思ってたら幼なじみ?そして家が隣!?これは普通の展開である彼女以上に恨めしい気がするぞ。むむむ……」


むむむ、じゃねぇよ。というかよく噛まずに喋れるな、こいつ。


「まぁいい。何をどう足掻いたってこの状況を俺に変える力はない……」

「あぁ、そうだな。」

「だから立花さんに俺のことを紹介し「ヤダ」しくしく……」


これは即答で答えてやった。


「おいそこ!喋ってないで、課題提出しろ!」

「はーい。」


会話してる間に自己紹介は終わったようで、喋ってるのを担任の教師が注意してきた。

というか課題って最後の人が集めるんだよな。

ということは伊瀬じゃねーか。


「ほら、バカなこと言ってないで集めてくれ。」

「だったら、しょ「無理」めそめそ……」


ということで、嘘泣きしながら課題を集めていく伊瀬だった。

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