2話 聖凪到着!
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「よし、到着!」
あれから用意を済ました後、すぐに出発した。朝飯は茜が食パンを焼いてくれていたので、歩きながら食べた。
さすが茜。頼りになる幼馴染だ。
ちなみに俺の家から聖凪高校までは歩いて二十分ぐらい。
学校専用バスもあるのだが、それはもう少し遠いところに住んでいる人が乗っている。
もちろん俺はバスには乗る気はない。
この距離のために毎日バス代を払うのは現代の高校生にとっては少し厳しい出費だ。
それに茜も「朝の運動は大事だよ!」とか言ってるし。
「もう、そろそろ自分で起きれるようにならないとダメだよ。」
「へいへい。俺が朝弱いの知ってるだろ。布団の温もりは強敵なんだよ。」
強敵とかいてライバルと読む―って全然関係ないな。
「まあそんなときもあると思うけど毎日だとね……」
苦笑いで答える茜。
いや、そんなこと言われても二度寝の魔力には勝てませんよ。
「それにしても随分少ないな、人。」
「この時間帯のバスにに間に合わせるには少し起きる時間が早くなるからじゃない?次のバスぐらいからで沢山来ると思うよ。」
あ、そういうことか。
確か朝のバスは、七時三十分・四十分着と八時十分・二十分着の四つ。
それにバスを使う人はだいたい電車も使っているようだし、早いバス時刻に間に合う電車に乗るにはキツいのだろう。
というか今みたいな時間に来ても普通することないしな。
「それじゃあ周ろっか。」
「その前に俺達のクラス確認しようぜ」
「あ、そうだね。たしか靴箱近くの壁に貼ってるんだっけ?」
一年のクラスはA~Fまで六つある。
貼り紙にはクラスと出席番号が書いてあり、それを見てから自分の靴箱に靴を入れると。
「俺は……Cか。」
「私もC組だ。よろしくね!」
「クラスが同じになるのは2年ぶりか。よし、それじゃ学校巡りに行きますか。」
「そうだね。といっても校内だけだけど。」
ということで十五分経過ー。
結論、すげぇ広い。なので只今迷子です。
何でだよ。もう一人の自分がいたらそう言ってるだろう。
「茜ともはぐれるし。というか校内で迷子っておかしいだろ。」
何だこの広さ。高校ってこんなに広いものだっけ。
入試で来たときはこんなに広くなかった気がするんだがなー。
「というか今何時だ?早く来てるのに初日から遅刻扱いって最悪だぞ。」
適当に部屋に入ってみよう。
んで人がいたら道聞こう。うん、そうしよう。
「すみませーん。誰かいま──」
「──誰!?」
うぉ、何だ?
いきなり怒鳴られてしまった。
「す、すみません!学校でっていうのも何ですが道に迷ってしまって!」
一気に用件を伝えるが、焦って大声になってしまった。
落ち着いてから相手の方を見ると、
「え、上夜…くん?」
俺の名前を呼び、かなり驚いた顔をしていた。
「……誰?」