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MAGIC・SOUL  作者: 水上 鍵
第二章 異なる世界と少女の救出
22/24

21話 ミーシャ=ラミ

ミーシャさんの現状説明。

その一、熱を出したかのように顔が赤くなる。

その二、身体から蒸気が出てきた。

その三、蒸気が大量の煙になり身体が覆い隠された。

結果、金髪少女が出現!

……何故こうなった。

というか、


「ちっこくなった?」

「ちっこい言うな!」

「ゴフッ!!?」


少女の頭突きが身長の関係(+背伸び)で鳩尾に!


「私はれっきとした18歳よ!」


多分、十人中八人は疑うだろう。(残り二名はバカ正直か単なるバカ)


「ちょ、ちょっと待って。君ってミーシャさん?」


少し音程が高く気もするが、少女の声はミーシャさんにとても似ている。


「え、あーその、そうなんじゃないでしょうかねぇ?」


どうやら誤魔化そうとテンパりながら考えた結果、言葉が疑問系になったらしい。

結局全然誤魔化せていない上に逆効果ですよ、お子ちゃまミーシャさん。


「は、はぁ。それで、その姿は?」

急成長薬きゅうせいちょうやく

「……あー」

「そのまたかー、みたいな返事と顔やめなさい」


顔に出るみたいですな。

気をつけよう。


「で、何で薬なんか使ってんすか」

「この身体、18歳に見える?」

「な、納得。……どんまい?」

「哀れみの目で、しかも疑問系で励まされたらもう悔しいのも悲しいのも通り越してムカつくわね」


しまった。流れで疑問系で返してしまった。

というか、それは八つ当たりというものだと思うぞ。

世界で理不尽なものの一つだ。


「ん?というか何でそんな薬とか持ってるんすか。魔術世界だったら普通かな、とか思ったんですけど、今思ったらここって、えっと…境界、でしたっけ?とにかく魔術世界じゃありませんよね。」

「うん。これは買ったんじゃないよ。作ったの」

「……はい?」

「だから、私が作ったの」

「……へぇー、そーなんですかー。で、本当は?」

「これっぽっちも信じてない!?」

「だってこんなお子様がそんな薬作れるわけ――」

「お子様言うな!」

「ゴフッ」


ま、また鳩尾落ちが……


「それそれ。たしか私はそういうことを何回も言われてきたからこの薬を作ったの。理解、オッケー?」

「お、おーけぇ……」


笑顔が怖いですミーシャちゃん。


「まぁでも制限時間付きなのが欠点なのよねー」

「制限時間ですか?」

「うん。現段階では精々一時間が限度かな。」

「結構短いですね。というか薬より魔術を使えばいいんじゃないですか?」


姿を変えたり変身するのはファンタジーで定番といっていいだろう。


「……あー、えーと、そのだね上夜くん。その『魔術で何でも片付けられる』みたいな台詞は私の前では言わないでくれるかな?」

「え?」

「ちょっとそういうのは嫌いでね。魔術を使えば何でもできる。魔術を使える人間が偉い、使えない奴は自分とは別の種族。そんな考えの魔術師も中にはいるのよ」

「いや、俺は別にそんなつもりじゃ」

「分かってるよ。上夜くんは昨日まで何も知らなかった人だもの。ただ私の昔住んでいた所ではそういう差別が多くてね、少しトラウマかな?私、魔術の才能は無かったからね」

「……魔術を使えない?でも薬とか作ってるじゃないですか」

「薬は薬。技術と知識があれば誰でもできるわ。……まぁ特殊なのを調合するにはそれなりの才能もいるけど。それに魔薬まやくが魔術を上回ることもある。実際、急成長や別人になりすましたりするには高レベルの術式と魔術が必要だしね。それを薬一つでこなす私。つまり私は魔薬師まやくしの天才なのよ!」


うわ、いきなり調子に乗り出した。

というかこの人は調子に乗ると子供っぽくなるな。

一瞬同情に似た気持ちが芽生えそうに――いや、それは思ってもいいのか。


「同情はしなくていいわよ。その悔しさのおかげで魔薬師の才能を見つけることができたんだからね」


少し笑いながらミーシャさんが言う。

また顔に出たかな?


「それはそうとミーシャさん。」

「あ、ミーシャってのは大人状態の偽名。同じだと色々と面倒だからね。本名はラミ。ティアリスってのは変わんないけど。うーん、何か子供っぽくて苦手なんだけどねー」


言われてみればたしかに少し子供っぽい気がする。

うん、小さな容姿にピッタリだ。

言葉には出さないが。


「じゃあラミちゃん」

「さん!」

「訂正、ラミさん!」


頭突きの頭を両手で止める。

あぶねー、結局頭突きは運命ということか。

ということで聞きたいことを聞こうと思う。


「……ラミさんって18歳なんですよね?」

「ええ。だから私あなたの人生の先輩ってことだね!」


小さな胸を張って偉そうに言うペッタンコ先輩。


「で、急成長薬を作ったのは年齢に見合った身体じゃないから、なんですよね?」

「うん。……大体なにかに年齢書くときはいちいち証明書を見せてくれと言われ、高校生になったばかりの数日は誰かの妹に思われ、挙句の果てには買い物してるだけで迷子センター送りになったからね……」


寂しい目をしながら悲しい過去を呟くラミさん。

というか魔術世界でも高校とか迷子センターとかあるんだな。

もしかしたら俺がいた世界と案外変わらないのかもしれない。

あ、話の続き続き。


「それじゃここが質問なんですけど、どうしてさっきのラミさんは20代ぐらいの姿をしていたんですか?」


魔薬の効果が切れる前のラミさんは、思いっきり大人の女性という身体をしていた。

そうなると今度は別の理由で18歳かどうか聞かれるようになってしまうと思ったんだが。


「……………」


気まずそうに目をそらすラミさん。

あー、つまりこういうことか。


「調子に乗って見栄を張ったと?」

「……あ、あははのはー」


どうやら図星だったようで、少し顔を赤くしながらがっくりとうなだれるお子ちゃまラミさんだった。

中学校行事(卒業生送る会等)が忙しいでございますー

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