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MAGIC・SOUL  作者: 水上 鍵
第二章 異なる世界と少女の救出
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16話 世界の仕組み

あれからすぐに他の人達もやってきた。

どうやら地下には大勢の人達がいたらしい。

そして今は、白江しらえ 誠人まことさんという、助けてくれた30代半ばぐらいのワイルド系(細マッチョの一回りデカいバージョン)のおっさんが、「とりあえず、うちでその濡れた服を乾かしたらどうだ?ついでに飯も食っていけばいい。」と提案してくれたので、お言葉に甘えて白江家しらえけ(レンガの壁を直方体に崩し、できた大穴の中を生活できるように改装したらしい)に招かれていた。

で、今の様子は、


「それでいったい―モグモグ、ごくん。境界って―パクパク、ごっくん。どこで―バキャボキャ、グォックン―そろそろ君たち普通に喋らせてくれるかな!?」


白江さんの子供だろう男の子と女の子が、机に座っている俺の口に食べ物を入れ―もとい突っ込んでいた。

というか、途中に飯のときには出ない音が聞こえたような?

……まぁ気のせいだろ。気のせいと思いたい。胃が心配だからな。

しかしこのままでは聞きたいことも聞けないのでストップコールを出した。

そしたら、


「「えー」」


思いっきり嫌な顔をされた。


「えー、じゃないよ。俺は聞きたいことがあるんだ」

「「ダメ」」

「なんで!?」


しかもこやつら無駄に息ぴったしだぞおい。


「だってつまんないもん」

「ね~」


女の子の方がが男の子が言ったことに同意する。


「すまないな上夜くん。外の人間が来ることはそうはない上、大した遊び道具もここにはないのでな」

「そ、そうですか。」


そういう間にも頭を叩かれたり、頬をつねられたり膝に乗られたり(振っている足がすねに当たって痛い)している。


「ほら陸、由紀。友達と外で遊んできなさい。上には行かないようにな。」

「「はーい!」」


すると走って外に出て行く子供たち。

うん、さすがお父さんだ。


「それで…境界きょうかい、でしたっけ?死後の世界がなんたらかって。」

「ああ。ここは死んだ者が来る世界でもあり、様々な特徴を持つ世界を繋ぐ中間世界、狭間でもある。」


ふむふむ、ほうほう。全く分からん。


「死んだ者が来る世界…って、あれ?俺、生きてますよね?気づかない間に死んだとか無いですよね?」


そんな理不尽な現実は嫌だぞ。

というか間抜けすぎるだろ、死ぬ瞬間が分からないって。

即死なら仕方が無いかもしれないが。


「安心しろ。お前さんは生きている。もちろん私も生きている。」

「あ、そうですか。だったらどういう……?」

「ふむ、それらを説明する前に一つ条件があるのだが。」

「条件、ですか?例えば、誰にも話すな…とか?」


秘密をばらした者には死の制裁を! みたいな。


「いや、どっちかというと広めてくれたほうがいい。条件とは、私の話を信じるということだ。」

「え、あ、はい。それなら簡単ですけど。」


変な体験をしたばかりなんだし、今なら大抵のことなら信じれる自信がある。


「あと迂闊に地上には出るんじゃない。死ぬぞ。」

「死…!?」

――死ぬ。

分かっていても、実際に聞くと現実味が格段に強く湧く。

交通事故、それは注意すればだいたいは防げるだろう。

しかしさっきのあの状況は事故なんかじゃない。

殺人だ。人が鳥や魚になっただけで、その二文字に変わりはない。

しかもそれは一匹じゃなかった。

大勢の殺人鬼が徘徊している街。

まさにその通りだ。

誰もそんな所行きたくないだろう。


「あの怪物って何なんですか?口から火を吐いてましたけど……」

「そのことに関しても後で説明しよう。」

「そ、そうですか。じゃあ続きをお願いします。」

「よし、世界は複数あることは話したな。だったらその特徴についてだ。」

「特徴?」

「ああ。それぞれの世界には他にはない特徴がある。そうだな……例えば人類がサイボーグ化していたり、宇宙人が普通にいる世界などか。ちなみに私は魔術が使える世界にいた。」

「魔術!?」

「どうやら上夜くんと私のいた世界は違うようだな。」

「そ、そうみたいですね。俺がいた世界ではサイボーグも宇宙人も魔術師もいない普通の世界でした。」


普通っていうより平凡って言い方のほうがあってるか。

他の世界の人にとっては自分の世界が普通(・・・・・・・・)何だろうし。

というか白石さん他の世界の人だったのか。

まぁ普通こんな知識持った人間いないよな。

ふむ。それにしても魔術かー。ということは白石さん魔術とか使えたりするのか?

漫画や小説みたいだ。すげぇなー。

おっと、説明再開だ。


「例えば世界AとBがあったとする。そして世界Aの人間が世界Bに行ったとする。するとその場合、いるだけで身体が世界Bの拒絶のような力を受け消滅してしまうのだ。宇宙に生身で行くと身体が耐えられなくて破裂するのに似ているな。といっても死ぬといっても死体は残らない。存在自体の拒絶だからな。それに消えるまで多少時間の猶予はある。私も見たことあるが、そのときは身体が序々に光の粉のように序々に消えていき、数分後に完全消滅した」

「――ん?じゃあ、俺は何で消滅していないんですか?ここは俺がいた世界ではないですよ。」

「そのことだが、それはおそらく転移空間ゲートのおかげだろう。」

「ゲート?」

「君が言ったあの闇というやつだ。あれは他の世界に無事に移動する魔術の一つだ。他世界に転移てんい(ワープ)できる空間を作り、通ると同時に転移先世界の拒絶を受けない身体に変える仕組みを持っている。」


あの黒いのにそんな効果があったとは……


「え、身体を変える?」

「ああ。私もそこはよく知らないのだがな。何やら身体の表面を素粒子並みに分解し、転移先世界で存在するための『何か』と結合させるらしい。そうすることで薄い膜のようなものが皮膚の周りに出現し、拒絶を受けないようにしている。」

「ぶ、分解!?」


そんな、物騒なことをしたのか!?

すげぇけど、こぇーよ魔術。

というか『何か』って何だよそれ。

例えでいうと水中での酸素ボンベ、宇宙での宇宙服みたいなものだろうか。

そう思いながら自分の手をじっと見てみる。


「ちなみに膜といっても皮膚と結合しているので目にも見えないし違和感もない。」


何だ、見えないのか。

確かに今そう言われても違和感も一つ感じない。

昨日と何も変わらない。いつも通りだ。


「では、次は――」

「ま、まだあるんすか?」

「あと少しだ。といっても今の話も含めてここで生きることに関しての話は少ないがな。」


な、何だそれ?

じゃあ真剣に聞いてた意味が……


「そんな顔するな。この世界に踏み込んだ時点で後々必要な知識となるのは間違いない。聞いてて損はないと思うのだが。」


いや、損はないとしても時間は無いんだが……。

内心、早く空を探さないと、と結構焦っているのに白石さんやめる気なさそうだ。

あれだ。学校の教師になればいい。

とてもいい熱血先生になると思うぞ?


「ってちょっと待ってください。後々必要になる?」

「ああ。今みたいに聞かされているだけならまだしも、実際にこの場所に来てしまっているんだ。……何があったというんだ。普通なら来る来ない以前に来れないはずだ。」

「え、い、いやー。誘拐というか何というか……」

「誘拐?誘拐犯がこの世界に連れて行ったというのか。そんなバカなことが――いや……、その攫われたというのはどういう人物なんだ?」


あれ、白江さんの顔が深刻になってきた。

いったいどうしたんだ?


「えーっと、中学生のこんぐらいの背の女の子で、髪は亜麻色をしている腰ぐらいまでの長さで、名前は空、いや如月きさらぎ そらだったと……。ちなみに襲ってきたのはジルとかいう男とルチアという小さな女の子でした。」

「……十分だ。まさかとは思うが――念には念を、か。それにこの時間帯、まだ猶予はあるか。」


いきなり考え事をしだしたぞ。

猶予? 何のことだろう。


「よし、上夜くん。」

「は、はい。何ですか?」

「今から君に学んで欲しいことがある。いや、学べ。」

「……はい?」


え、なに。どゆこと?

かなり遅くなってしまった……

あと、題名少しだけ変えようかなって思ってます!

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