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MAGIC・SOUL  作者: 水上 鍵
第一章 新しき学園といつもの生活
13/24

12話 微妙な早朝事件

「……腹減った」


なのでただいま買出し中ー。時間は午後7時です。

なんせ二人分(実際4人分ぐらい)の食料など考えていなかったし。

ちなみに空はお留守番ー。外に出すわけにもいかないからな。


「あ、仁くん?」

「はい?」


名前を呼ばれ、振り返ると茜が立っていた。


「よっ、無事に帰れたようだな。」

「さすがに小学生じゃないんだから帰れるよ。」


こっちはある意味無事じゃないんだがな。

特に金銭面が。


「あ、ところで家から大声みたいなのが聞こえてたけど何かあったの?」

「え゛、あー、ただ単にテレビの音量が間違えて上がっただけだ。その他には何も起きてないから。うん、だから気にすんな、な!?」

「う、うん」


気迫にされて意味なく頷く茜。

一日だけとはいえ、空が泊まるのは黙っている方がいいだろう。

誰が聞いてるか分からないし。


「あ、そうだ。ここで会ったのも何だし、今日は晩ご飯作りにいってあげようか?」

「い、いや今日はいい!ちなみに明日は迎えに来なくてもいい!」


そういえば空は学校どうするんだろう。中学の春休みが終わっているのかがどうかは知らないが。

ちなみに茜は、「そんな全力で拒絶しなくても……」と小声で呟いていたのだが上夜には聞こえていない。


「んじゃ、買うもん買ったから俺は帰るわ。」

「う、うん。それじゃあまたね。」

「おう」


ということで、帰還。

空は俺が買い出しに行ってる内に風呂を終えたようで、俺が貸したTシャツとジャージ(上着とズボン)を着ており、ソファーに寝転んでテレビを見ていた。


「ん?あ、おかえり~」

「……ただいま」


何かこういう会話っていいな。

ほぼ一人暮らしの生活ではあまりない会話だ。


「というか、お前くつろぎすぎ」

「いやー、暇だったからね」

「答えになってねーよ」


そう言うと、そそくさと座り直す空。

ジャージは少し大きめだったようで、踵でズボンの裾を踏んでいる状態になっている。


「それ、サイズあわなかったか?たしかもう一サイズ小さかったのがあったような……」

「別にいいよ。大きい方が暖かいし。あ、それよりもお腹減ったんだけど」

「……食い意地はってんなー」

「うるさいわね。減るもんは減るんだからしょうがないでしょ」

「ああ、そうかい」


まぁ、俺も腹は減っているので別に作るのに抵抗は無いのだが。


「カレーでいいな。というか文句言ってもカレーだが」

「うんうん。OKOK!」


ということで、まだ?まだ?という空の文句を聞き流しながら飯を作り、脅威のスピードでたいらげられ、さっき洗い物が終了した。

うん、時間が一気に流れたな。


「……はぁ。」


ふとため息が出た。


「どうしたの?」

「いや、やっぱり無くなったなーと」

「何が?」

「カレー」

「え、全部食べても良かったんでしょ?」

「ああ、別に悪いことじゃないんだがな。ただ、残ったら明日も食べようと……」

「別にいいじゃない。そんな貧乏くさいことしくても」

「普通だよ!それにこっちは只今金欠中です!」


といっても、上夜には親から月々に生活するための金額が送られている。

金欠な理由は、ただ単にゲームや漫画を買いすぎたという自業自得の結果なのだ。

この出費は予想外だったが。


「う……でもさっきも言ったように借りは必ず返すからね。」

「それでも遠慮ってものをな……。まぁいいや。その返しってのを期待しますわ。それじゃ、そろそろ俺風呂入るから」

「分かった。じゃあ、私はもう寝るね。今日一日中走り回って疲れたし」

「了解ー」



――◎――

一日が経過。

昨夜ゆうべはソファーで寝た。

何故かって?

風呂を上がって自分の部屋に行くと、俺のベットは空に占領されていたからだ。

そう、寝る場所を指定するのを忘れていたのだ。

つまり空はどこに布団があるのかを知らない。

探せばいいのにと思ったが、今日知り合ったばかりの人物の家をうろうろするのは気が引けたんだろう。

まぁその知り合ったばかりの人間のベットで寝るってのもどうかと思うが。


周りは明るく、少し寒い。いつもと違う場所で寝たので体に痛みに似た違和感がある。朝一番の深呼吸。

ふむ、少し焦げ臭い匂いがするな。


「って、ちょっと待て!」


慌てて起き上がる。

周りを見ると台所方面から煙が!


「火事!?」


急いで台所に向かう。

すると向こうからも人影が。

急なことで足の勢いが止まらない!


「うぉ!」

「きゃ!」


女の子の声。

というか、ここにいる人間は俺以外に一人しかいない。


「空!?お前、何だよこの煙!」

「けほっけほ……」


煙を吸い込んだのか上手く喋れないようだ。

ひとまずは煙だ。

台所に入ると――よし、火事にはなってない。

だが、これだけ煙が出るってことは何か理由が……。


「なっ!?」


……おいおい。

原因はコンロにあった。

正しくは、コンロの場所にいた人物か。

前方には何かが焦げた状態の物がフライパンやその周りにこべりついてある。ちなみに火は出しっぱなしだ。


「……空さん。一体何をしたのでございましょうか?」

「……料理」

「料理、って朝飯のことか?」


たしか朝飯は自分が作ると言っていた気がする。


「うん」

「で、失敗したのか」


失敗という言葉で収まるのかすら問題なのだが。


「……ごめんなさい。」

「ふむ。確かに大変なことだな、これは」

「うぅ……」

「というか、何をどうしたらこうなったんだ?」

「えっと、一般的に目玉焼きでもしようと思ったんだけど、色々あって油が直接コンロの火に当たって、燃えて、爆発して、焦げちゃった。」

「最後辺りが結構アバウトなんだが……」

「でもその通りなんだよね。よく分からない内にボンッ!って。」


ボンッ!ってなんだボンッって。

下手したら火事じゃねーか。

それにしても……これは、ないだろ。

ふーむ。この火炎放射危険人物をどうするべきか。

ほっといたら色々と心配なんだが。

……よし。


「教えてやろうか?」

「え、何を?」

「何って、料理。」

「え?」

「だから料理。」


きゅうすぎたか?

でもこれだとなぁ……


「でも仁がそんなことする理由はないでしょ?」

「心配なんだよ。」

「へ?」

「いや、だから心配なんだ、ってうぉわ!?。」


残ってた油が引火して小さな爆発が起こった。

ほら見ろ!絶対このどこかで空が料理をする度に火事が増えるぞ!

いったい何件の事件が増えるか心配だ!


「……心配?」

「ん?ああ、心配」


大工さんとかの汗と涙の結晶が一瞬でなくなるのは悲しすぎる。


「心配って……私が?」

「あー、それもそうだな。何かお前の将来も心配だ。」


火事数だけじゃなくて放火魔にでもなるんじゃないか?悪意無しに。(冤罪でもないが)


「将来……、家庭?(家事的な意味)」


ちなみに空が何か顔を赤くしてぼそぼそ呟いてるが、仁は考え事に夢中で聞こえていない。


「つうかこれ、早く片付けるぞ。」

「あ、うん!」

「ちょ、ティッシュは火を消してから入れろ!燃えるから!」


油を拭こうとしたのだろうが、そのまま突っ込んでどうする。

何か動きがさっきよりもおぼつかないというか何というか、おろおろとし始めた。


「お前、大丈夫か?」

「え、あ、うん!大丈夫、大じょイタッ」


よそ見してて冷蔵庫に頭をぶつける空。

こいつこんなにどんくさかったっけ?


「というか、結構暑いな」


さっきまで若干パニクってて気が付かなかったが、すごい熱気と湿気だ。

おかげで汗もすごい。


「ちょっと、着替えてくる」

「うん、了解」


空も少し落ち着いたようで、テキパキと掃除をし始めた。

その様子を見て少し安心し、リビングに戻る。

そして昨日あらかじめ部屋から持ってきていた聖凪の制服を着替え始める。


<ピーンポーン>


「ん、誰だ?」


こんな朝っぱらから家に来るのは、茜以外には覚えはないのだが……少し早すぎないか?

それに今日は迎えに来なくていいって言ってたし。

そう思いながら急いで着替える。


「少し見てくるから片付け続けといてな。」

「了解、了解!」


リビングから出て玄関に向かう。

ドアの穴から覗いてみたが誰もいない。


「あれ?」


ドアを開けて確認する。

ああ、見えないはずだ。

ドアの前にいたのは、小さな女の子だったのだから。

次で1章終わりと書いてましたが、時間を進めるのに字を使いすぎましたw

この次できっと1章終了ですw(数十分後投稿)

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