11話 如月 空
「おかわり!」
「…………」
飯のおかわりを求めてくる空。
ちなみに、家に着いた途端から「おかわりー」腹が減ったとうるさかったので「おかわりだって!」、冷凍チャーハンにした。これなから手頃で「おかわりって言ってるの!」速くできるからな。
「お・か・わ・り!」
「もうねぇよ!」
「えええ!?」
「えええ、じゃねぇよ!どんだけ食べだと思ってんだ!?」
「えーと、二袋?」
「三袋だ!ちなみに俺は食ってねぇ!」
最初は多めに作ったのだが、驚異のスピードで食べ始めた。
先におかわりを作ってくれと言うので作ってたらその内に平らげられ、また作れと言ってきたので作ってたらまた平らげられ、最後俺も食おうとしたら皿を抱えて逃げやがった。
どんだけ食い意地はってんだよ……
「何だよ、そんなに腹が減ってたのか?」
「うん。といってもデパートの中でたこ焼き食べたけどね」
「ただの大食いかよ、この野郎!」
追われていたであろう者の行動とは思えない。
「ごめんごめん。この借りはいつか必ず返すから。」
「ホントかよ……」
ちなみに年を聞いたら一つ年下らしい。
しかしタメ口の上に、
「仁の家は覚えたから借りはいつでも返せるって!」
呼び捨てである。
まぁ変に気を使わなくていいので楽だが。
「というか、お前どうすんだ?結局外はすげぇ雨と風になってるんだが……、送っていこうか?」
「うーん。怖さは紛れたけど安心は出来ないからね。それにあの男がいつ現れるか分からないし。」
「いや、それでも帰るんだろ?」
「うーん……」
何故か考え込む空。
いくら考えても帰る意外の選択肢がないだろ。
あー、でも小雨になるぐらいまでは待たせてやろうかな。そう考えながらお茶を飲む。
あ、空が結論に至った顔をした。
「泊まらせて!」
「ぶっ……!?ゲホ、ゴホ!」
「何むせてんのよ。」
「お前バカか!?初対面の男の家に泊まるという発想に行き着くか、普通!?」
「大丈夫よ。私は気にしないから」
「俺が気にするわ!」
「えー。あ、そういえば一人暮らしって言ってたね…だからって襲わないでね。」
「はっ、それはないない。俺は貧乳には興味無いから安心し――」
<カチャ ヒュン ズタッ>
頬に鋭い痛みが。
ちなみに机に置いてあった鉛筆が後ろの壁に突き刺さってる。
何故か汗が大量に吹き出てきたぞー?
「よく聞こえなかったわ。ごめんだけどもう一度言ってくれる?」
すっごいニッコリ笑顔の空さんです。
「えっいやあの!今のは冗談!俺はオールOKでございますよ!?」
何か変な日本語になった。
「ございますよ、じゃない!誰が貧乳ですか、誰が!服の上だから分かりにくいだけで確実にBはあるから!しかもまだ15歳!成長途中ということを忘れんな!」
笑顔から一変、激怒してくる。しまった、地雷踏んだ。
「分かった、すまん!だから少し声のボリュームを下げてくれ!近所迷惑だから!」
「もう言わない!?」
「言わない言わない」
「絶対に?」
「勿論勿論」
「泊まっていい?」
「OKオッケ…?」
「決まり!」
……この流れの失敗、誰か止めてくれない?
「別に寝る所と服と洗濯とお風呂と晩御飯と朝ご飯を用意してくれればいいから。」
「厚かましいわ!そして注文多っ!」
特に泊まるとなれば普通のことなのだが、いちいち全部言うと多く感じる。
「んー、だったら朝ご飯は私が用意するわ」
「……色々と心配が募るのだが」
「失礼ね、料理ぐらい朝飯前よ!」
「……あー、もう。分かった。一日だけ泊めてやる。朝飯も任す。だがその前に親に連絡しろよな」
親に連絡。
その言葉あたりで空の表情が強張った。
「……別にそれはいいから」
「は?」
「気にしなくていいから、大丈夫」
何か雰囲気が重くなった気がする。
あまり触れないほうがいいか。
「そ、そうか。それじゃよろしく?」
「うん、ありがとう」
おお!お気に入り登録者がいるぞ。
優しき心の勇者がここに!
ということでありがとうございます!(^▽^ v イエィ
次で一章終了と思います!少しだけ長くなるおそれアリですww