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stage2 小さな発情妖精

鏡夜が、ライムとシグレの二人と仲良くなって暫く。眠っていたライムがやっと目を覚ました。どうやら楽しい夢を見られたようで、表情がそれを物語っていた。


「・むにゃにゃ・・・人間さん・・・寝てる・・」

ライムがシートの上から目を覚ますと、隣では鏡夜とシグレが二人で向かい合って眠っていた。その表情は二人とも笑っていて気持ちよく夢を見ているようだった。だが、ライムが目を覚ましたのを感じ取ったシグレが目をゆっくりと開いた。どうやら彼女は低血圧のようで、目が覚めても暫くは呆けていた。しかしだんだんとはっきりしてくると、鏡夜を起こしにかかった。その寝顔を見ている方が幸せなのだが、シグレは自分とライムだけだと物足りないらしく鏡夜を起こそうとしていた。直ぐにそれは叶って鏡夜は目を覚ました。


「ううっ・・・二人とも、オハヨ・・・ライム、少し縮んだ?」

小さく伸びをした鏡夜は、二人におはようの挨拶をした。そこでライムの体に異変が起こっているように見えた鏡夜は少しライムに聞いてみた。すると、ライム曰く「私たちスライム種は・・・えぇっと・・」と思いだそうとしていたのを呆れたシグレが「スライム種は、その身体ゆえに水分が蒸発するんです。そして、水分を摂取しておかなければ太陽の下ならば一日で完全に蒸発。消滅してしまいます。」と説明してくれたそれに思い出したようにライムが声をあげた。


「ん?そういえば、水筒を置いていた様な・・・あぁっ!」

シートの上に、シグレが眠る前に置いておいた筈の水筒の存在を思い出したシグレは、その水筒が見つからずに辺りをキョロキョロしていた。暫く探し回っていたが、茂みの向こうに光る物が見えた。不審に思ったシグレがその茂みをそっと覗いてみると、そこには小さな、人の頭の二乗程度の大きさしかない小さな女の子がシグレが用意した物と同じ水筒計3本の内、一つは空にして二本目をがっつりと飲んでいるところだった。後ろからリザード族自慢の瞬発力で捕まえたシグレは、その少女を鏡夜達に突き出した。


「うぅっ・・・私は・・・わた・・しは・・」

シグレに片手で抓まれて涙目になっていた少女は、泣きそうになっていた。少し悪い事をしたかなと思った鏡夜だが、そんな事をしている間にもライムの体からは少量の水蒸気が発生して体が縮んで来ていた。慌てて水筒の無事だった一本を掛けると、とても気持ちよさそうにそれを浴びたライムは体の形が戻って行った。流石に完全に戻った訳ではないが、それなりに大きさ的に戻ったライムの表情はとても嬉しそうだった。その間もずっと泣くのを我慢していた少女は、水筒の中身が使われてしまってがっかりして落ち込んで項垂れてしまった。


「主。こいつはピクシー種と言ういわば妖精だ。こいつらは嘘は言わないが悪戯が好きなんだ。それから、我々と同じく発情期があるのだがこのサイクルがとても・・」

シグレが、捕まえた少女の種族に付いて説明していると、いきなり少女がシグレの手を振り払って鏡夜へ襲いかかろうとした。それをなんとかかわした鏡夜だが、小回りの利く少女の方が一歩上手だったようで、背中に捕まられた。


「もう限界だよぅ・・おにいちゃん!私とHしようよぉ!」

顔を赤くさせて息も荒くなっていた少女は、鏡夜に行為を迫ると服の中へ潜り込んだ。しかし、妖精と言っても手のひらサイズではないのですっぽりと入っても少女の顔が見えてしまっていた。その様子を見ていたシグレは、ため息をつきながら「ピクシー種はその身体の小ささ故に我慢の利かない体になっていて、特に発情衝動は留め具が無くてだいたい一週間に一度の周期で激しく性交を求めるようになります。それを断ったらずっと付き纏わられますよ?」

少女に体を求められながらも抵抗をしていた鏡夜。しかし、最後の重要な部分を聞く前に鏡夜は勢いよくピクシー少女を体から突き離した。それを見たシグレは「あ~あ・・」と呆れて物も言えなくなってしまった。ライムはまだ水を浴びた快感に浸っている。


「もうっ!お兄ちゃん!私にはちゃんとピリカっていう立派な名前があるの!ねぇ?だから良いでしょ?」

意味不明な理屈で再度性交を求めて来たピリカは、そのまままた鏡夜に抱き付こうとした。そのしつこさに折れた鏡夜は、そのままピリカが抱きつくのを許した。しかし、それがいけなかった。それで調子に乗ったピリカは、全速力で鏡夜のズボンを降ろしに掛かった。しかし、ピリカが幾ら引っ張ってもズボンは降りない。鏡夜の現在のズボンはジーパンだ。それもちゃんと腰の部分をベルトで留めてある。昔見た腰パンなるものとは違っている。なので、多少の事ではずれ落ちないタイプの履き方をしていた。


「あれ?あれれ?どうなってんの?これ・・・」

何度も何度もジーパンを引っ張っていたピリカだが、一向にそれは破ける気配を見せなかった。引っ張られている鏡夜だからこそ分かる。ピリカには腕力と呼べるだけの力が付いていなかった。まるで赤ん坊が髪の毛を引っ張るような力だ。殆んど皆無と言っても良い。すると、観念したのかピリカはジーパンを引っ張るのを止めた。


「よぅし!こうなったら、お兄ちゃんとH出来るまで一緒に居てやるぅ!見てろよズボン!私はきっと君に勝って見せる!」

そんなこんなで強制的にピリカが鏡夜の仲間になってしまった。どうやら一度決めた事は曲げることは無いようで、ピリカに止めるように言っても聞き入れてくれなかった。そして鏡夜の肩に座ったピリカは、そのまま鏡夜の肩の上で眠ってしまった。


「説明します・・ピクシー種は小さい者ですから、その分睡眠時間も長いのです。まぁ、小動物の様な感じですよ。」

だんだんと説明役で定着しそうになっているシグレは、疲れつつ説明してくれた。最後の説明は少し酷い気がしたが、前の説明の通りに発情期までの準備期間が短いと言うのはすっかり当てはまっていた。たとえば例に兎を挙げて見よう。兎は発情期で言えば典型的な例だ。兎は、生まれて三ヶ月もすればもう生殖機能が発達しだして子供の作れる体になっているらしい。しかも兎には発情期の止まりが無いらしく、一年中発情しているらしい。


「では、私たちはこれからどこへ向かおうか・・・」

腰に下げていた地図を広げたシグレは、それを地面に置いて自分も座って考えた。一緒に考えた鏡夜は、面白そうな場所を地図の中に見つけた。そこは一般的に『アラクネの谷』と呼べれている洞窟だった。その場所を差されたシグレは、とても分かりやすく嫌な顔をした。シグレは嫌な顔をしながらも渋々了承したが、どうも恐怖しているようだった。それは、内気な少女がガキ大将に注意をする時の様なものだろう。状況的に。しかし、理由を見つけることも出来た。その谷を抜けると暫くして大きな街があった。そこを目的地に変更すると、シグレは少し安心したどころではなく飛んで喜んだ。どうやらシグレの説明曰く、その街は女性にとっては憧れの街で色々なデザインの服や装飾品が街の主軸になって来た中心で、それに加えて女性へのサービスも充実しているらしい。その事は説明しているシグレの表情の明るさからもなんとなくは想像できた。その間鏡夜の後ろでなにやら作っていたライムが、完成した品を鏡夜の腰に巻きつけてくれた。


「これは・・・バッグ?あれ?一つだけ大きい口がある。これは・・」

鏡夜が、付けてもらったバッグを確認して見た。どうやら地図を持って来た時の余分なもので作ってくれたらしい。まぁ、そのお陰でライムがもって来た手提げはいろんな所が切り取られていて使い物にならなくなっていた。どうやら殆んどは手提げを基に作ってあるらしい。しかし、その中に一つだけ大きなポケットを見つけた鏡夜はその中に手を突っ込んでみた。中は快適な程の温かさを帯びていた。


「そこはピリカちゃん専用の一人部屋です。」

ライムが言っていた通り、ピリカを中に入れると丁度良くピリカ一人がすっぽりと入ってしまった。そして鏡夜達は気持ちを新たに、地図に書かれている街を目指して歩き出した。

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