真実のカガミ
ある所に人間が集まっていた。
アメリカ大統領、その妻、副大統領、首席補佐官、SPなど、様々なタイプが深刻な顔をしていたのだった。
今日はここで、ライト博士の発明品が発表されるというのだ。
「お集まり頂き大変恐縮に感じております。今日は私が発明した、この真実をカガミについてご説明したいと思っております」
「……早速で悪いが、その真実というのは、どのレベルでの真実なのだろうか?」
「はい、大統領。お答えします。それは、全てです。この世に存在する全ての嘘を訐き、白日の下にあらゆる情報をさらけ出させるように作られており」
その時、一発の銃声がした。
副大統領が手にした拳銃から発射された弾が、ライト博士の肩に命中したのだ。
「な、何を……」
「そんな発明を認める訳にはいかない。この世には秘密があるから生きていけるのだよ」
「……それも、そうだね」
また一発の銃声がした。
大統領が手にした拳銃から発射された弾が、ライト博士の肩に命中したのだ。続いて二発銃声がした。補佐官と大統領の妻の手には拳銃が……。
それは何度も続き、結局、ライト博士はその場にいる全員ずつから弾丸を受けたのだった。しかし、虫の息にはなっていたが、それでも命を落とすほどではなかった。みな真実のカガミには利用価値があるので、殺すのは躊躇ったのかも知れない。
全身を撃たれたライト博士は、床に這い蹲ったまま逃げようとしていた。
「うううう。まさか、こんな目に合うとは。ただ、私は諦めないぞ。なにが何でも、この世紀の大発明、真実のカガミを世の中に広めてやる。いや、何もアメリカだけじゃないぞ。この発明が、世界中に広がるように……」
その時、再び銃声がした。
今度の弾丸は、ライトの博士の額に命中したのだ。流石にこれでは生きていられるはずもなく、真実のカガミと共にその命は砕け散ってしまったのだった。
「……まったく、そんなマネをさせるワケにはいかないだろう」
その声に反応した全員が壁の一点を見つめた。
そこには白いキリストの銅像が立っており、手には暖かい拳銃が握られていたのだった。