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満員電車

 ある所に、満員電車が嫌いなサラリーマンがいた。


 日々、密封されているような距離のまま長時間、他人の側にいるのが苦痛で仕方なかったのだ。


 そこである時、男は狭い電車内で自分のスペースを確保する方法を思いついたのである。道義的ではないが、それは自らの体から異臭が漂えば回りから距離を置いてくれる、というものであった。まるで、極端な香水や整髪料が疎まれる以上に強くしてしまえば良い、と考えたのだ。


「……これで通勤も楽になる。まあ、この作戦で見知らぬ人間に嫌われるだろうが、そんなのどうでも良いしな」



 だが、何日経っても、男は出勤できなかった。


 心配した友達は、彼の家を訪ねた。


「……いやぁ、大変だったよ。まあ、作戦は成功したんだ。回りからは睨まれたけど、皆が俺から距離を取ってくれたんだ。すげー通勤が楽になったさ。だから、もっと自分のスペースを確保しようと臭いを強くしたらテロだと勘違いされてさ、そのまま留置場に連れて行かれてしまってさ。

 満員電車で広い自分のスペースは確保できたけど、会社をクビにされてしまったし。これから、履歴書に白いスペースが作れそうだわ」


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