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私の愛する使い魔さん  作者: 龍冶


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3/5

第3話

 

 ヤッヤモに促されたベルメリ、リビングルームの様子は気になってはいたが、キャイちゃんとの遊びのほうも以前来た時から気に入っていた事だし、今日も他の気がかりは置いておき。キャイちゃんとのおままごと風の遊びに集中と思う。

 キャイちゃんはヤーモちゃんが生んだ子で、当時ヴァンパイアに気に入られていたヤーもちゃん。魔の国にさらわれていた後産んだ子は、何故かそのヴァンパイアにそっくりな子を産んでしまっていた。それがキャイちゃんである。

 そんな事情はベルメリも聞かされてはいたが、ベルメリとは関係ない事だし、気にすることなくキャイちゃんと遊ぶことにしている。

 キャイちゃんはすごい美人さんだ。そして人間のように見える。人型に完璧に変わる事が出来るという能力だ。

 キャイちゃんはいつも、

「あたくし、ヤコ様のようにセピア公国に留学して、インテリ魔物一号になりましてよ。ヤコ様が一号ですって?ベルメリママはご存じないようですわね。ヤコ様のおつむは、ヤッヤモ様と良い勝負でしてよ。ヤコ様の成績はすべてまやかしですのよ。ベルメリママ。すべてカ〇ニ〇グですの」

「おつむの程度を比べるのなら、僕の方が利口だよ。何せ、ベルメリちゃんと一緒にハイスクールの授業を受けているんだし。最近ベルメリちゃんに冬季の宿題しとくように言われていたんだ。全部正解だったって言ったよね。ベルメリちゃん」

 ベルメリはキャイちゃんから、ヤコの成績の実情を聞かされて、引きずっていた初恋的気分は消え去ってしまった。

「私って意外とドライな性格よね。前から異種間だしと思って諦めていたけど、今じゃすっかりフリーになった気分」

「まあっ、あたくしがベルメリママの気持ちを変えさせてしまったのかしら。ううん、これはベルメリママの知性がそうさせたはずよ」

 ヤッヤモは、

「いやいや、俺と言う使い魔のおつむより、ヤコのおつむが軽いと分かった所為だよ」


 二人の言い合いは面白いけれど、今日のベルメリは忙しくて、2人にかまってはいられない。

 そうっと階下の様子を窺う、キャイちゃんのところへ行こうとして、後ろから聞こえて来た話が気になる。


「ベルメリママったら、あたくしのお話に集中していないのね。どういう事」

「ちょ、ちょっと待ってね、キャイちゃん。下で興味深いお話があっているの。セーンさんのお兄さんとレンもどきさんの弟の子って言うのが結婚して、何故かその子は人間っぽいの。さっきは壁には貼り付いていたんだけど、人化したらホントに人間みたいなの。おまけに本物のレンさんに似てるって。セーンさんのママが言っているの。そう、下に二人とも来ているの」

「キャッ、そういう事ならあたくし達、下に行きましてよ。ここで耳を澄ます必要なんて無くってよ。リビングの外壁だって中に居るみたいに声は聞こえますの。行きますわよ、ヤッヤモちゃんも」

「ちぇ、そういう立ち聞きみたいなの、ヤーモさんに後で俺、絞られるんだけど。だから、ベルメリちゃんをこっちに連れて来たのに」

 ベルメリもこの際、意見を言う。

「あたしは壁に貼り付けないのよ。どうすれば良いの」

 ヤッヤモ、

「僕が状況を実況でコンタクトするから、ベルメリちゃんは此処に居てね」

 二人が慌ててリビングの外壁に張り付きに行ってしまい、ベルメリはしみじみ、『ヘキジョウさんっ子は、皆でこんなことして暮らしているんでしょうね』と思っていると、ヤッヤモちゃんの実況が始まった。


 ヤッヤモちゃんは声色までそっくりに話す。ベルメリ、意外なヤッヤモの特技を目の当たりにして、『ヤッヤモちゃん、才能ある。あたしなんかの使い魔になるより、この特技を生かした方が良いんじゃないかシラン』


『お義母さま、お久しぶり。すっかりご無沙汰しちゃってましたわね。季節の御挨拶もさぼっていて、でも、このお願いはとても大切な事なんですの。厚かましくも、お願いさせてもらいに来ましたわ』

『あら、厚かましいのはお互いさまって、かなり前に話し合ったの、お忘れかしら。それにしても、あたしは孫の結婚式に呼ばれなかったというショックから、今、立ち直れないで居るのよ。ちょっと気分が持ち直せるまで、グダグダ言わないで居てね』

『あら、その事。あの子達、あたしも呼ばなかったし、レンだって言わずもがなよ。二人だけの結婚式だったの。でも、ほら。あの女神様のいらっしゃるという神殿で式をしたそうよ。そういうとこ、親に似ずしっかりしているね』

 そこで、ニキ爺さん口をはさむ。

『ほう、正式に行ったのか。レンだってあそこではしていないな。親に似ない良い子じゃないか。レンの子は皆しっかりしているな、ひょっとして母親似なのかな』

 ユーリーン婆、驚いたように、

『まっ、ニキったら、女の子には誰でも、甘いんだから。やな性ねっ』

『いや、甘いんじゃないと思う。事実を言っているな。確かにママはしっかり者だった。親父なしで、俺ら三人しっかり育てたし』

 セーンもニキ爺さんの言う事に同意見のよう。そして、

『それじゃ、察するところ、そいつもニー、ユーに混ぜてもらって、ここで勉強させようって言うんだろ。言っておくけどまだこっちの結果は出ていないよ』

 セーンの言いように、ガーレン苦笑い。

 セーンさんのママ、セーンさんの意見は無視で、

『この、ガーレン随分と利巧でしょ。妹の自慢の息子よ。学校の成績は何時もトップだった。きっとあたし達の一家じゃ、出世頭じゃないかしらと、妹と二人で期待していたんだけれど、残念な事よね。あんな奴らに足引っ張られちゃってさ。人生で有りがちな挫折ってやつだけど。あたしたちきっと立ち直ると信じていたら、上手くセーンの子供たちの家庭教師に収まったじゃない。嬉しくなって二人で騒いでいたら、なんとこの子のママが、うちの子もお願いしたいって言い出すでしょ。で、あたしどうだかなって、思ったわけよ。だってほら、まだガーレン、結果出すとこまで行って無いじゃない』

『ママだってそう思ったんじゃないかっ』

 セーン、ママの言いように呆れる。

 ガーレン本人は不満げにだんまり。

『でも、このレン似の子って、向上心って言うのかしら、そういうのがあるし、お勉強熱心なのよ。で、さっさとこちらに瞬間移動なんて出来て、行ってしまうから、あたしが追いかけてきたわけ。この子のママは瞬間移動とか出来ないのよ。だからあたしが代わりに頼みに来たの』

「どうするの、ニキ」

 ユーリーン婆は、爺さんに聞いてみる。何時に無く、自分で結論を出すのは控えておくのは、ニーとユーの微妙な安定感の所為だ。 

 ニキ爺さんは、一応プロとも言えるガーレンに聞く。

「ガーレン、どうするんだ。引き受ける自信はあるのか」

 ガーレン、彼も又、何時に無く考えている。

 すると、当事者レン似の向上心有っ子、

「お願いします。僕、ご迷惑はおかけしないようにしますから、独学ではセピアの言語が正しくマスターできているのかよく分からなくて、そこんところを重点的に教えていただきたいです。ニーセン君とユーセン君の学習の妨げになるような、言動は絶対にしません。お二人を指導されている時にお邪魔するつもりは有りません。壁に張り付いておくつもりですから」

 ユーリーン婆、

「まあ、随分しっかりなさって、ところで、レン似の僕はお名前は何というの」

「えーと僕、まだ名は有りません。親が、誰かの使い魔になる機会があるかもしれないって言って。何だか、夢か希望か有るみたいで・・・」

「なるほど、あんたのママの夢か希望ってのは、どっちの使い魔なのかしら」

 ユーリーン婆、ちらりとセーンを見るが、セーンは知らぬふりに徹している。

 すると、珍しくも、ヤモがセーンのポケットから顔を出し、人型にはならずに一言、(最近は技がさえて来たようなヤモ)

「まさかここに居ないあいつの使い魔を希望してはいないだろうな、止めとけよ」

 と宣言して首をひっこめた。

「あ、ヤモさんですね。お噂はかねがね・・・。親の希望はこの際お気になさらないでください。と言うのも、僕、こちらにまいりましてっ、どうしても使い魔にさせていただきたい方を見つけてしまいましたっ。さっきっ、一目で僕は、僕はっ、あの方に僕の一生を捧げたく思っているのです。セピアに留学して、勉学を極め、人として仕事を致します。収入を得て、あの方を十分支えて行けるようになりましたら、生涯お仕えしたいのです。もし、もしもですが、まだ卵でご自分似のお子さまが生まれることをお望みなら、僭越ながら、ぼ、僕が、生ませていただきますっ。ベルメリ様似の卵から産まれるお子さまをっ」

「待ちやがれ、黙り腐れ」

 実況は取りやめ、ヤッヤモ、人型で表れる。驚く皆。

 セーン、騒ぎが始まると察し、治ったはずの頭痛でも始まったのかこめかみを揉みだすのだった。

 ヤッヤモを見たレン似は、素早く恋敵と判断したらしく、

「黙れだと、僕は黙りません。セピアでは恋愛は自由だと、同性婚もOKだと知っていますからっ」

「ドアホー、お前のは異種間婚だろ。そいつは認められていないんだ。セピアではなっ」

「それは人間と、異種の話です。魔族は関係ないですっ」

「言っておくが、ベルメリちゃんは法律的には人間の両親の子で、セピアに届けられているもんねっ」

 ヤッヤモ、知識をひけらかす。

「ま、まさか。そんな、という事は」

 うろたえるレン似に、ダメ出しのヤッヤモ。

「それに、ベルメリちゃんのパパが認めるもんか。カハハ」


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