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私の愛する使い魔さん  作者: 龍冶


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24/24

第24話

 


 ヤコは外に出ると、辺りに誰も居ないのを確かめ、ヤモにベルメリちゃんのレンニーについての見解をコンタクトしておいた。

 ヤモは、同様にどすの利いた『へぇ』を言って、多分セーンにこの件を伝えた事だろう。

 セーンはニーセン、ユーセンと家庭教師ガーレンでテニスボールでバトミントン風のゲームをして遊んでいた。ヤコとヤモのコンタクトの様子を見ながらである。セーンとニーセン組の勝利の後、休憩をしながら、ガーレンに聞いてみる。

「ガーレン、例のレン似だけど。一緒に過ごしていて、何か気付いた事とか無いかな」

「俺は何に気付くべきだったのかな」

「気付くべきだった事に思い当たったとかだな」

「そうだな。ヘキジョウさんっ子に似ていない。人間っ子だな。舘に住むようになってからは、一度も壁に張り付いた事は無いな」

「すると、もしかしたら、最初の壁に張り付いていた所は、何か魔法で化けていただけだったかもしれない、と言う事では?」

「そういう事だな。お前に言っておくべきだったってか。自分で知れないとは、お前もヤキがまわって来てないか」

「ふん、兄貴の血が混じっている気がして、奇妙な感覚があったのは確かだ」

「と言う事は母親からして、上の兄貴のゲルを騙しているんじゃないか。あの殉職仲間のレン似の子供だってのは嘘っぱちって事になるだろ」

「認めたくないがそうなるな」

「お前、早い所ゲルに言った方が良いんじゃないか。今更かな」

「今更と思う。本人が察するべき事だろ、俺は教えたくないな。だけど、教えておくべきだろな」

「次男のソールに頼んだらどうかな、言い難い事を頼みやがると思われても」

「ソール達はまだ世界一周中で、こんな下世話なこと知っちゃあいないはずだし、関心は無いだろな」

「じゃ、お前が言うしかないだろな。こうなったら早い方が良いぞ。相手からバレたと察せられる前にな」

 ガーレンに言われて、仕方なく立ち上がったセーン。遠方だが、セーンはゲルにコンタクトする能力はあった。しかし、

「ガーレン、俺は何かにつけて後手に回りだしたな」 

 セーンはうつむいて言い出す。ガーレンは嫌な予感に溢れてしまう。

「そうか」

「ゲルはもう居ない」

「何時から」

「レン似がハイスクールに行くと言い出した辺りだろうな」

「ベルメリちゃんが正体を見破ると、分かっていたんだろうな。危険じゃないかなあの子達は」

「ハイスクールに行く時点で、あの子らは一人前だ。俺はそう認識している。助けは時々必要になるが」

「そうだな、セピアじゃ遠いよな。お前だっていちいち対応しても居られないだろう。ゲルは残念だったが、セーンがどうこうする事じゃない。気にするな、お前の責任は無い」

「おいおい、気休めはよせ。ちょっと行ってくる。もしチーラに聞かれたら、俺の昔暮らしていた家に行ったと伝えてくれ」

「今から?」

「遅すぎたかもしれないが」

 瞬間移動で行ってしまったセーン。

「もし、チーラさんに聞かれたらだと、嫌な言い草だな」


 こちら、ハイスクールの面々、午後の授業が始まるまでに教室に慌てて戻った。するとレンニーは昼食後は教室から居なくなっていた。

「初日からさぼりかー」

 チー、ラーは笑う。

  先生達は午後から緊急会議となり、ベルメリ達はそろってベネルさんちへ帰る事となった。ヤコはさっさと一人帰ってしまったようで、ベルメリはヤコがレンニーと似通った行動で不思議な気がした。行方を探るとヤコはどうやらニールに向かって飛んでいる。ふうんと思うベルメリ。

「ベルメリちゃん、キャシーが居るから、俺出かけるけど、良いよね」

 ヤッヤモが何か改まったように言い出す。

「うん、良いけど」

 ベルメリがポケットの中を覗くと、ヤッヤモがベルメリを見上げている。『可愛いー、ヤッヤモ』ヤッヤモは少し微笑んだように見え、消えた。



 ~ ~ ~ ~ ~ ~


 キャシー・グルード、ニールの館の女執事として勤め上げて40数年、人間なら主人側からは引退を薦められえる頃合いだが、正体は魔物の為まだまだ務めるつもりだし、代わりの候補も居ないと言った所。かくしゃくとした足取りで、このニールの館、持ち主は以前は北ニールの魔人グルード家の所有だったが、現在は魔の国出身だったらしいベルメリ・ノスが女主人である。

「ベルメリ様、地下の魔国のレイン・ソルスロ様は今日もおいでにはならないそうですよ。セピアのシンリー・カーピン様は持病の悪化でご欠席、さっさと次の代をお決めにならないと、こうも欠席が頻繁になるとなれば、どうかと思いません事。そして獣人国からは、すでにニーユ・ガン様が既にお越しでしたが、他の方のお越しが無くて、帰り支度などなさっておいでです」


「まぁ、キャシー。引き留めておいていただかないと、次にお見えの方に何と言われる事やら。所で、南のお国のココモ・オーカー様はいかがなさったのかしら」

「オーカー様なら、新しいコア候補のお方をお連れしようとご奮闘のご様子」

「あら、コアの方が見つかりましたか、でも奮闘とは?何か不都合がおありなのかしら」

「地下の虫がお嫌いらしくて」

「まぁ、それはあの古の女王様似のユーリーン様と同じ気性の方ではないでしょうか。気性はふさわしいとは言え、それではコアの役目はお出来にはならないでしょうに。ココモ様はどういうおつもりなのでしょう」

 キャシーが立ち去ったので、ベルメリはソファに深く座り込みため息をつく。

「ココモ様って、最近何をお考えなのでしょうか」

 噂をすれば影っぽく、ココモ・オーカーが表れた。そして古の女王そっくりな男を捕獲して来ているご様子。

「オーカー様、その子は新しいコア候補の方?」

「ゼイゼイ、見ての通りだ。ゼイゼイ」

「どちらにその子はいらして?あなたに見つけられて来られましたの」

「セピアの元ベルンさんの家だよ。コソ泥を装って、俺の引き出しを探っていた。未遂に終わったらお咎めなし、とでも言いたそうな面だったな」

「確かに、そんな風潮の時代は有りましたわね。とは言え、その方は随分お若く見えますけど、ご両親はどなたですの」

「さあな、セピアで見つけたと、カーピンの手の者が公爵に報告したんだが、行方不明だと奴が俺に言ってきて、俺なら人探しができると想っているのが、不思議な風潮だな。何か俺、見つけた事あるかな」

「セーン様と随分懇意になさっていたそうじゃないですか。噂では。だから気配を追ってくださったら、きっと見つけることが出来るとお思いだったのでしょう。現に見つけて下さったんでしょう」

「偶然だよ。ベルンさんちの近くを飛んでいて、急に懐かしくなって家に寄ったら、居たんだ」

「それがココモさんの能力でしょうに、御謙遜なさって。それにしても、本当にセーン様の気配に似ていらっしゃるわ。ご家族の方にこのお年頃の方で当てはまる方はー?」

「居ないぞ。面倒だから回答してやる。ヤーモが最近生んだのがこいつだ」

「キャハー、でもこの子人間の男の子っぽいですわ」

「最近、ヤーモは人間っぽいのをカスタマイズし出した。獣人国に行ってみれば、ベルメリ。こういうやつがゴロゴロしている。魔力無しのばかりだったが。とうとう、磁気能力の湧く奴が出来たんだ」

「ど、どうやったの」

「本人にも分からないらしいぞ、だがセーンそっくりだろ。しかも同じ磁気能力付きだ。おまけに地中の虫は大嫌いと来た。ショウカが説得していたが逃げられた、虫の所為でな」

 するとむっつり二人の話を聞いていた彼が急に叫ぶ、

「絶対に地下なんか行かないからなっ。ニョロつく虫は大嫌いなんだから」

 ベルメリはにっこりと、

「そうでしょうとも、前のコア、リューンお爺様が、地下に潜って暮らしていたからって、あなたがそんな事しなくても良くってよ。役目さえ担ってくれればいいの」

「だから、あの婆さんにも言ったけど、出来無いって、分からないかなぁ。無理だって、無理言うなよ、お前ら常識ってもの持っていないな。ヤーモの奴、肝心な時に我関せずって面だ。くそう」

「まぁまぁ、落ち着いてちょうだい。じゃ、あなた、この館でしばらく暮らしていてね。まだ皆さん、磁力は枯渇している様子も無い事ですし。あなたにぴったりの指導者を紹介するわ、じきに出来るようになりますって、そうでなけりゃ、ヤーモさんがあなたをカスタマイズした意味が分かりませんわ。じゃ、ココモさんご指導お願いしますわ」

「はあっ」 

 ココモ、自分の役は終わったと寛いでいた。油断は禁物だ。

「俺はそんな指導とか出来ないぞ。第一やった事も無い事を、どうやって教えられる?」

 ココモ、ベルメリの圧を感じた。

「そういう、ベルメリさんの方が適任だろ」

 かろうじて、言い返す知恵が沸いたココモ。

「あたくしには磁気能力はございませんの」

「俺にもございませんのに」

「じゃあ、キャシーさんにお願いしようかしら」

「そうしてくれ」

 ココモはそう言って逃げるように瞬間移動した。

 ベルメリは横に鎮座するアンティックなベルを鳴らす。

「キャシーさん、呼んだら直ぐに来ていただかないと」

「何の御用ですの、ベルメリちゃん。あたくしは執事、あなたはこの館の主人。でしょ。と言う事は指導者って言うのは、どちらがするものかしら」

「執事っ」

「主人っ」

「あたしの方が早かったわ。キャシーの負けーっ」

「かかか、お前ら意外と面白い奴らー」

 キャシーと名を呼ばれる女執事、じろりとへらへら笑う奴を睨み、ソファにどさりと座り込む、

「どうするのよ、ベルメリちゃん」

「あたしに訊く?あんた自分で利巧って言っていたでしょ」

「ふん、あれから色々あったよねー、ほんと、どうするの今から」

 困惑気味の、お婆さんと呼んでも構わなさそうな老婦人二人、過去を顧みて知恵が湧くことを願う。


「私の愛する使い魔さん」

 この題名の小説はこのエピソードで完結と致します。エピソードはまだ続きますが、題名にそぐわなくなりますので、ひとまず完結します。拙い小説を読んで下さった皆様、ありがとうございます。

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