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私の愛する使い魔さん  作者: 龍冶


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第23話

 


 キャイちゃんもとい、キャシーちゃんのお世話をして、満足げに自分の教室へ行くベルメリ。最終学年となって、ハイスクール通いも留学生の皆のおかげで充実した感じと満足して、空いている席に着く。空いているからと思っていたが、実の所、チー、ラーが自分たちの近くに確保した席だった。

 と言うのも最終学年のはずだが、転校生が来ることになっていた。誰かと言うと、ベルメリは気にしていなかった存在、ニールの館の居候的存在。ベルメリとしては、彼の名は知らなかったがセーンさんのお兄さんの子供って事で出生は届けているそうだ。出生の事実については良く分からないベルメリ、つまり無関心な存在。

 そう、ベルメリ同様お忘れの方も多いであろう、例の奴である。校長が気を利かせて、チー、ラーと同じクラスにしていたが、チー、ラーとしては、大きなお世話と思っていた。舘に来た時の最初の言い草で、ハイスクールに行っている皆は、相容れない気分でいる。そう言う訳で、ベルメリを、ガードする位置にチーラーは陣取っていた。ヤッヤモも、ここはニールのお館様達の力が及ばない所だし、油断は出来無いと思っている。

 教室にはまだ担任は来ていない。

 そう言う訳で、ショウカとリリは、チー、ラーの行動に違和感はある。ショウカも理由を今一、把握できないでいた。

 そんな皆の様子に気付かず、ベルメリはキャシーの様子を探っていた。監督である。可愛いからもてるとリリに言われ、キャシーの様子を常時把握しておくつもりだ。


 そういったベルメリ達だが、始業時間から少し遅れて、担任の先生が転校生を従えて、教室に来た。ベルメリ、転校生を見て驚いてしまった。ニールの館にまだ居候すると思っていた『レン似』である。しかし、レン似は名前をどうしたのだろう。セーンさんはレン似にも名前を付けて、使い魔にしてやったのだろうか。

 担任の先生は、転校生を見て騒ぐ皆の大声を遮るもっと大声を出した。

「転校生だ、名前はえーと何だったかな」

「はい、レンニー・ソルスロです」

 ベルメリは、笑いたかったが、ここは笑う所ではないと思って必死で耐えた。ポッケットの中のヤッヤモも、プルプル震えて我慢していた。

 担任の先生は、

「じゃ、君は好きな席に座って居ろ。みんな仲良くしろよ。授業を始めよう」

 レンニーは、ベルメリちゃんめがけてやって来ると、横のラーセンに向かって、

「君、退いてくれないか。僕はベルメリちゃんの側に居たいんだ」

「いやだね。空いた席があるじゃないか。お前が向こう行くのが常識だろう」

 レンニーはラーセンを睨みながら、コンタクトする。

『この俺に逆らうとはいい度胸しているじゃないか。ニキ爺さんちでは大人しくせざるを得なかったが、俺様の能力としては、獣人のあいの子ごときのお前なんぞ相手をするのもバカバカしいな。後でお前の位置、教えてやろう』

『はっ、ほざくなー、何様のつもりかー』

 チーがベルメリの後ろの席から、コンタクトしている。うっとりキャシーの教室を見ていたベルメリ、奇妙な自分の席辺りの感覚で、自分の周りに注意してみる。何だかレンニ-とチーラーが一触即発のご様子。『あらら、こっちも気が抜けないんだった』、するとヤッヤモ、『ベルメリちゃんは気にするこたぁ無いよ。俺らであいつを絞めておくから、気の済むまでキャシーを観察していると良いよ。あいつも油断ならない感じするからな』と言われてしまった。

 担任の先生は転校生とチーラーの様子で大方の見当がつき、ため息交じりに、

「じゃ、番号一番の君から教科書音読してくれ」

 と言い置き、廊下で誰かに連絡し出した。メールだったので皆は分からないようだったが、ベルメリは知る事が出来る。セーンさんに連絡している。どうやらセーンさん、レンニーの正体は承知していたらしい。ベルメリ『そうなるよねー』と、メールの内容を探る。どうやらセーンさんは、レンニーの困ったさん行動をお兄さんに報告するつもりらしい。もう一度『そうなるよねー』とベルメリは思い、次にキャシーの様子を見る。『あたしって今日から多忙ねー、考えてみたら』

 ところが、キャシーは教室に居ない。他の子は授業を受けているのだが。ベルメリ、ため息交じりにキャシーを探す。自分の教室では、ショウカがベルメリに、『お多忙中ですけどー、良いのかしら。レンニー君、チーラーの首絞めだしたわよ』

 ベルメリ、キャシーを探しつつ、レイニーの席、少し遠いが、手が何とか届いたので、頭を小突く。頭に血が上りそうだったので力が入ったと見えて、レンニーは頭を抱えて突っ伏す。周囲から笑い声が聞こえている。

 とは言ってもベルメリとしては、そっちは気にしてはいられず、キャシーを探す。そして見つけた。ヤコ君の所へ行って、喧嘩になりそうなヤコ君と誰か知らない子を、体育館裏で引き離す作業中だった。

 ベルメリは思う、『これは思ったより多忙ね。お昼まで持つかしら。エネルギーチャージが必要な感じ』

 使い魔ヤッヤモ、ポケットを動かす。見ると、キャンディー・チョコ味がある。『どうしたのこれ』『べルメリちゃんの昨日の食べかけだよ。僕は品行方正だからね。いけないことはしないんだ』『あたしの部屋まで行って、帰って来たのー。早かったわね、ヤッヤモちゃんは瞬間移動、ホントに瞬間でできるんだー』『えへ』

 ベルメリの教室では、ベルメリの制裁が効いたらしく、レンニーはあれから大人しく授業を受けだしたので、安心して午前中はキャシーに集中できたベルメリ。キャシーは授業を抜け出していたことを先生に叱られている。『職員室にまで呼び出されるとは、少し厳しすぎはしないだろうか』ベルメリは思うが、キャシーの先生は「最初が肝心ですからー」と先生同士で言っているし、仕方ないようだ。

 お昼にベルメリが食堂に行ってみると、キャシーは一人で行動している。お友達と一緒には居ない。そこでベルメリはキャシーに声をかける。(お気付きの方もいらっしゃるでしょうが、ベルメリとて、一人なんですけど)

「キャシーちゃん、一人なの?じゃあ、あたしと食べようかー」

「そうね、ベルメリちゃんだって一人だし」

 二人で行動しようとしていると、レンニー懲りずにやって来た。

「ベルメリちゃん、良かったら僕と一緒に食事しませんか」

 ベルメリ、にっこりと、

「良くないですぅ。キャシーちゃんと一緒に食べるつもりなの、見えてないかしら?」

 レンニー、キャシーちゃんを睨み舌打ちして去る。

 キャシー、

「あいつ、随分根性悪を隠してニールに居たわねー。ま、趣味は悪くないけど」

「それにしても、どうして感じ良く出来ないかなー、そうしたら普通に相手してあげるのに」

『根性悪には無理な相談だねー』ヤッヤモのコンタクトで、『じゃ、皆はあいつが根性悪って分かっていたって?』聞くと、

『そうよね、ヤッヤモ。あたし達同族の性格とか、会えばすぐわかるよね』『うん、ベルメリちゃん、俺らには共通の意識っぽいのがあるよ。あのレイニーは仲間じゃないんだ』

 三人の会話に、ヤコ君が加わって、

『あいつ、レンニーって面しているけど、ホントにレンとこに居た奴の子かなー。さっき体育館の裏で俺に盾つく生意気な奴な。俺らと同じ魔物であって、俺らの仲間じゃないんだ。セピアに俺らと進化の流れの違う同族の魔物が居るんだ』

『つまりあの子も、卵から産まれたって事?』

 ベルメリちゃんが混じると、話の要点がずれていくと認識している皆、キャシーが代表で答える。

『よく分からないよー。生まれた時分の事は察せられない。正体を読まれないように、用心しているね。と言う事は多分卵で産まれたと思うな』

 それを聞いたベルメリ、さっきヤコともめていた生きの良い子を探すと、食堂に来なくて、庭のベンチでお弁当を開けていた。ママが作ってくれたのだろうか。

 ベルメリは様子を見ていると、彼は何か感じたのか、顔をあげてきょろきょろしだす。分かった、ベルメリ。卵だ。胸がキュンとした。

 で、皆に報告する。

『卵よ。顔見たら、胸がキュンとしたの』

 ヤッヤモはギョッとする。

『やめてよ、ベルメリちゃん。そうゆう言い方は。キュンは僕ら以外しないでよ。もしかしたら、敵対する奴らかもしれないんだよ』『でも仕方ないの。キュンとするのはあたしの体質だと思うの。あたしってきっと卵の生まれの子は、皆きゅんとすると思うの。因にレンニーは、言って無かったけど、始めからずっときゅんとしなかったの。あいつは卵じゃなさそう。ヤッヤモ達的な魔物のふりしているのかな』

『へぇ』

 ヤコ君は割とどすの利いた相槌を打った。

 そう言った会話を夢中でコンタクトしている三人とポケットの中の一人、傍から見ると、顔を突き合わせ無言で昼食を食べ続けているように見える。

 ショウカが気を利かせて、

「あらベルメリちゃん達、誰かのお通夜みたいね」『相談は他の所でしないと不自然よ。それにコンタクト読める奴が近くに居たらどうするの』

 ヤコ君が、『ご忠告ありがとう』とコンタクト後、

「じゃ、僕はさっきの相手を探しに行ってくるから」

 と言って、急いでいる風に立ち去った。


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