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私の愛する使い魔さん  作者: 龍冶


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第19話

 


「うそ」

 呟くように言うベルメリ。ユーリーン婆は、

「ほんと、ヤッヤモったら奇妙な事言うじゃないの」

 チーラさんが指摘する、

「ヤッヤモちゃんに誰かが取り付いた感があって、その取り付いた子が、リッキー・デメロンって名乗って、ベルメリちゃんの弟だって言ったんだったわね」

「そうだったな。ベルメリちゃんの種違いの弟リッキーだそうだな。そういう事になると、あいつの親父の魔法使いって言うのが、誰かに雇われてカーピンをヤリに来た訳だな。誰に雇われたのか、吐くかな魔法使いが」

「魔法使いって言うのは、口が堅い事で有名ですよね。でなけりゃ、役が成り立たないし」

 いつの間にか食卓に来て昼食を食べ始めた、ガーレンが相槌を打つ。

 ユーリーンは不機嫌そうに、

「ガーレンいつの間にか来たわね。ニーとユーはお昼寝?今日は早いのね」

「はい、ヤモさんとヤーモさんが見ていてくれるそうで、その間に昼食をいただく事にしました」

「へぇ、セーンの側には居ないのね。どういうことかしら」

 爺さんは久しぶりにユーリーンに一言いう機会を持てた。

「セーンの方には、心配の種は無いと思っているんだろうな。それに何か親子で話し合う事が有るんだろうよ」


「ヤッヤモちゃん、変な奴に体乗っ取られてしまって。どうしよう。あたしの弟だなんて、奇妙な事言いだして。そんなの聞いてないから。信じないからっ」

 ベルメリは叫び、気になる公爵を追いかけた面々を追う事を決心する。外へ行こうとするベルメリに、ユーリーン婆は、

「ベルメリちゃん、彼らを追いかけるのはやめて。きっと危ないし、騒動の邪魔になってしまうかも」

 ベルメリ、キリッとユーリーン婆を見て、

「真に、そのお邪魔をしに行くの」

 チーラも、

「皆で剣を取り合うんだから、危ないのよ。ベルメリちゃんが怪我でもしたら大変よ」

「大変だと思って動きが鈍くなることを目論んでいるの」

 そう言ってのけたベルメリ、さっさと外に出てしまった。

「どいつもこいつも、誰も言う事を聞きゃしないっ」

 ユーリーン婆が叫ぶと、

「はいはい」

 と言いながらレンがやって来た。

「来たなら何とかしてよ」

 も一度叫ぶユーリーンに、レンは、

「あれ、元凶のトラブルメーカー、ヤーモは二階でおねんねか。仕方ないな。使い魔の不始末は主人が何とかしないと」

 と言いながら、外に瞬間移動で移動して行った。皆思い出した。

「ヤーモが剣を持って来たんだったな。と言うよりヤーモも剣に操られて、こっちに来たのかも知れんな」

 ニキ爺さんの意見に、ユーリーンも、

「そうだったわね。あの子達の様子見て来るわ」

 と言って子供部屋に行くことにした。


 一方、ベルメリは剣の奪い合いの最中の皆が、どこにいるかは直ぐ分かり、と言うのも大騒ぎの魔力パワーが飛び散っている感じがしたしで、走って現場に行ってみた。

 セーンが剣を持ったヤコの手をちぎって踏み、ヤコは側で手を痛がって涙し、(ヤッヤモのようにはすぐ再生できないらしい)ヤッヤモは剣をセーンから奪おうと必死だが叶うはずも無し。セーンは怪我をしないように剣を上に精一杯上げて持つが、剣は公爵を切りつけたがって暴れ、持ち難そうだ。

 当の公爵は雇っている魔法使いを先ほどから呼びつけていたのだが、彼がやって来たため事情を話しているようだ。この状況で此処に居るのはどうかと思えるベルメリ。

「カーピン様、怪我をしない内に、さっさとお帰りになっては?セーン様が剣を持ちにくそうですわ。」

 正論だろう。

「しかしヤコと使い魔の契約をしたし、ヤコが取り込み中だから、新しいのが生えるの待ち状態でね」

 カーピンの言葉に、ベルメリは、大きく息を吸い込む。

「ヤコくーん、手は船に乗っても、いずれ生えて来るんじゃなくって?」

 サッサと移動しろと、圧を掛けるベルメリ。そしてにやりと笑うセーンの所へ、レンまで現れた。

「あら、レン様なのかしら。初めまして。あたし、ベルメリですの。で、何の御用かしら」

 ベルメリが言うと、

「何の御用かとは挨拶だな。ベルメリちゃんが取り仕切っているようだから、用無しのレン様だが、剣を持ってヤーモと獣人国へずらかろうと思ってな。みんな、邪魔したな。セーン、剣寄こせ。そこのヤッヤモにとりついたボーヤはお家に帰りな。面倒な事やらすなとおやじに文句言っておけ」

 レンは剣をセーンから受け取り、帰ろうとするが、ふと気付いたようで、

「おやおや、そこにおわすは、悪評判の魔法使い、これでも喰らっておくってか」

 と言って、妖剣をどこかの国の刀のように魔法使いに投げると、魔法使いの胸に命中した。

 声もなく倒れこんだ魔法使い、さっさと剣を回収したレンは、立ち去った。ヤーモと落ち合って帰ったはず。

「おやじー、即死なのかっ」

 叫んだリッキー坊やはヤッヤモから離れ、即死の親父に構わず家に戻ったようだ。

 一方、それによりヤッヤモは急に気を失ってしまったようで倒れこんだ。ベルメリは驚いて、

「ヤッヤモしっかりして、傷とか無いのよ」

 吹き出すセーン。

「ったく、無傷な癖に倒れちまったな」

 ヤコは、

「なかなか手が出て来ないよー。痛いし」

 とセーンに訴える。

「じゃ、こいつ繋いでみるか」

 さっきまで踏んでいた手をヤコに戻そうとしてみるセーン。しかし、

「だいぶ傷んでいるな、無理か。えーと、じゃリューン爺はー、帰ったか。ユーリーン婆に何とかしてもらうかな」

 そう提案するセーン。

「ぐずっ」

 涙目で館に戻ろうとするヤコに向かって、まだ居たカーピン公爵は、

「ヤコ、まだかかりそうか」

「先に帰んなよ。俺は手が出て来てからにする」

 ヤコ君、かなり砕けた物言いである。

 ベルメリちゃんは、ヤッヤモを揺さぶってみる。

「ヤッヤモちゃんってば。しっかりして、無傷なのにっ」

 ふわぁー、欠伸をしながら目を覚ましたヤッヤモ。

「あれ、俺って外に何時移動したっけ」

「んもう、呑気なヤッヤモね。変な奴に乗り移られていたでしょ」

「げっ、そうだったのかー。ベルメリちゃんは大丈夫だった?」

「あたしは今回、部外者だし」

「そっかー、あ、カーピンが本命だったって事」

「そーね。あたしが囮だった。と言う事は、ヤコ、報酬目当てで雇われたみたいだけど、本気出すべきって事よね。カーピンきっと誰かに狙われているんだ」

「大丈夫かな、あいつ。手も上手く再生できないってのに」

 キャイちゃんが、ベルメリ達にコンタクトして来た。

「あたくしも、ヤコの助太刀的にセピアに行きましてよ。先ほどカーピンと契約していましたの」

「先ほどって何時よ」

 驚いたベルメリとヤッヤモ。

「カーピン、以外とコンタクトは堪能でしてよ。人と言えども、皆様、何か一つぐらい得意な事が有るようでしてよ」


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