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私の愛する使い魔さん  作者: 龍冶


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第15話

 

 ヤッヤモ、これほどのピンチは生まれて初めての事だが、必死でベルメリをさらって飛んでいく魔法使いを追いかける。腕の出血は無視して、というより、負傷している事を記憶から消していた。気にしないと言うより、負傷の事実がぽっかり無い事になっていた。

 ヤッヤモは気付いていた。そもそもこの魔法使い、瞬間移動は出来ない。言い換えると、大した能力は無いのであり、この後到着する場所に居るのが本命だ。今時からヘロヘロするわけにはいかないのだ。だんだん、緊張が増してくる。だが、どうしても、何が何でも助ける。

 ヤッヤモが一人で誓っていた事、ベルメリちゃんを守り抜く事。しくじるには早すぎる。まだ、ベルメリちゃんは大人にだってなり切れては居ないのだから。

 この辺りが魔の国のどの辺りになるのやら、ヤッヤモとしてはさっぱり分からなくなっているのだが、それでもベルメリちゃんをさらった魔法使いは、見失う事なく追っていた。だが、急に降下した魔法使い、鄙びた屋敷に入って行った。少し距離が有る。

 距離は少し離れすぎている。焦るヤッヤモ、何かに間に合わないのでは?パニックになりかかったものの、ヤッヤモの内部から、熱いものがこみあげてくるのが分かる。

 ヤッヤモ、体の中が熱い。燃えるように、熱い。後ろから以外にもヤコのコンタクトがあった。手伝いに付いて来てくれていたのだ。

『ヤッヤモ、変化しかかっているぞ。何だか時間が、かかっている。怪我の所為だな。僕が先に攻撃しているから早く変われよ』

『何だよ、どうしろって?』

「気がついていないのか。ドラゴンになりかかっている。早く変わらないと、僕の能力、それほど長くは当てにできないからな。お前の主人だろ」

 そう言って、魔法使いが居るらしい屋敷に向かって、ヤコは古のドラゴンの咆哮を上げた。屋根に飛びつき、足で壊す気らしかったが、生憎、屋敷内から攻撃され地面に転がっている。それを見ながら、ヤッヤモはヤコのマネっぽく、大声を上げてみる。『根性だ-ヤッヤモ』自分で自分を鼓舞し、叫ぶと、ヤコと似たような声が出た。

 変化したのが分かり、何か分からない攻撃を避けて、屋敷の周りを回り威嚇の声を上げた。この声だけで、魔力の弱い生き物は死に絶えるはずだが、魔法使いはまだぴんぴんしている気がするヤッヤモ。そして何かの攻撃で、気が付くと地面に転がっているのが分かった。

『チクショウ、何かに当たった』

 そこへ持ち直したらしいヤコが、屋敷に体当たりしているのが分かった。体がしびれているが、転がっても居られないと思うヤッヤモ。気合の大声を出す。

「しびれるなー」

 必死で起き上がると。

 ベルメリが、屋敷から逃げて来たようだ。

「ヤッヤモ、しびれるわー」

 力が抜けそうになるが、奮い立とうとすると、

「セーンが中に瞬間移動で来たから助かったの。ヤッヤモありがとう。ヤコ君、助太刀ありがとう」

「ウエーン、ベルメリちゃん。俺上手くいかなかった」

「僕もさほど助けにならなかったろな」

 人型になった二人は、少し照れている。

「そう、あたしは見ていてしびれたけど」


 これより少し前の事、セーンとヤモはカーピンの屋敷まで来て、かなり上空からヤーモの様子をうかがう。

「瘴気も少しは影響しているが、どうやら随分と寝心地が言い様じゃないか」

「そうだな」

「くそう、カーピンは囮だったな。本命はベルメリだ。いつもあの子は狙われるんだから、気付けよって思うな。こういう時自分の愚かさが悲しい」

 セーンはそう言って、本命ベルメリを助けに瞬間移動した。ヤモは置いて行かれた。引き続き見張れと言う事なのだろうと思うヤモ。

 セーンはベルメリの気配は最近近くに居る所為で把握しており、魔の国も最近は良く行き来してほぼその全容も分かっていた。それで、さらわれた行先も、気配を追えばすぐに分かった。こういった所は不幸中の幸いで、間に合いそうでほっとしたセーン。だが、ベルメリの居場所に行ってみると、肝心の魔法使いは、逃げてしまっていた。 

 『近頃の俺って、なって無いな。と反省しながら、傀儡の魔法使いを始末すると、ベルメリちゃんには、

「少し助けに行くのが遅れてしまったな。ごめんね、遅くなって。怖い思いをしただろうね」

 謝ると、

「ううん。ちっとも怖くは無かったの。外のドラゴンさん達を見ていたから。二人ともとってもカッコ良かったし、可愛かったの」

「へぇ、かっこ良くて可愛かったのかぁ」

 セーンは相変わらずベルメリちゃんの話は天然だと思えたのだった。


 皆でニールの館に戻ってみると、チーラやキャイちゃんに責め立てられ、涙目のガーレン。ガーレンを庇って、良い子のニーセン、ユーセン対チーラ、キャイのバトルが

 今真に始まろうとしている所だった。

「ごめんなさーい。皆、ベルメリは無事よー。心配かけちゃったけど。ヤコやヤッヤモが頑張ってくれて、セーンさんが助けに来てくれたの。喧嘩はしなくて良いのよっ」

 レン似は、

「ほらね、皆さん。きっと無事だって言ったでしょう。センセー、しっかりして下さいよ」

 セピアの教科書片手に、にっこりするレン似。

 ヤッヤモはなんだかむかつき、小突いてやった。

「お前は心配すらしてなかったようだな、おい」

 セーンは皆を見渡して、何時もは真っ先に騒ぎ出す二人が居ないのに気付き、

「あれ、爺さん婆さんは?」

 チーラさん、

「今頃気が付いたわけ?ホントはレンさんとミーラは昨日の晩餐にも欠席のハズだったのよ。だから二人は様子見に獣人国に行ったのよ」

「何の様子?」

「ミーラ、ご懐妊のご様子よ」

「へー知らなかったなー」

「だとおもった」

 キャイちゃんが、

「もうじき赤ちゃんが見られるわね。きっと、かわいーわ。そう思わなくって。ベルメり」

「えーと、きっと可愛いと思う。卵の子の次にね」



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