表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私の愛する使い魔さん  作者: 龍冶


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/24

第12話

 

 ここはカーピンの館。近侍のじいさんの予想より、かなり早めの御帰宅のカーピン16世、元気なく召使さんと寝る支度のご様子。

「坊ちゃま、随分お早いお帰りですな」

 年を取ると、気になる事をはっきりさせないとなかなか眠れないと学習している近侍、主人がしおれて居ようと容赦はない。

「察せられないのか、気の利かない奴。」

 なんだか涙目のカーピン16世。

「今日はお付きの者を連れては行かれず、いかがなさいましたか」

「今時、付き人を連れ歩く輩は居ないんだぞ。爺は時代遅れじゃ」

 最近は爺と言う事が無かったはずのカーピン16世。益々懸念をいだき、

「いかがなさいましたか、坊ちゃま」

「成人したら坊ちゃまとは呼ばない約束だったな」

 カーピン、召使さんが引き上げると、つい愚痴る事となる。

「爺、他所の使い魔を欲しい場合は、何か手続きがあるんだったよな。でも、断られるだろうと思う。直ぐに帰ってしまったし」

「左様でございますか、断られるとお分かりならば、爺としては何も話すことはございません」

「そう言えば、リアンやヴァンちゃんも気に入っておるようだったな。皆断られているようじゃ」

「ああ、あの使い魔ですか」

「知っておるのか、恋人にもならぬものを、使い魔として引き取ろうなんて、物を知らぬ奴と思われたであろうな」

 そう言うが早いか、ベッドにもぐりこんでしまった新公爵である。

 年寄りとしては一言申し伝えたいところだ。

「しかしながら、全く脈無しとも言えませぬぞ。恋人にはなれないが、使い魔としてなら雇われても良いと、申されそうな気もしますぞ」

「爺、今日はやけに、良いアイデアを出すようじゃな。来週グルード家に行く、そこでその提案通りに言うてみようじゃないか。もう下がって良い」


 次の朝、ベルメリ一人でハイスクールへ向かいながら(チー、ラー、ココモは夜中までテレビゲーム三昧で朝食抜きで寝坊の様子)『ヤッヤモちゃん、あたし達って次の休みにニールの館へ行く用事って、無いかしらね-』

 コンタクトにため息交じりで答えるヤッヤモ、『無いねー、全く無い』

『行きたくない?ヤッヤモちゃんは』

『僕は平和で静かな日々が好きです。だからベルメリちゃんの使い魔になろうと思っていますッ』

『決心は揺るがなそうね』

『揺るぎません』

『気にならないの、ヤッヤモちゃんは』

『僕らには関係ない事です』

『そうかしら、あたし達を見てあのいかれカーピンは使い魔が欲しくなったのよ』

『ベルメリちゃん、口に出したら不敬罪で捕まるかもしれませんよ』

『何の事?』

『今、いかれカーピンって言いましたよね』

『言って無いよー、思っただけ』

『口がもごもご動いていました』

『声は聞こえなかったでしょ』

「聞こえたわよー」

 後ろから、ショウカ、及びリリが声をかけて来た。

「嘘、言ってないはずよ」

 リリは、

「ベルメリに『何とか何とかのハズ-』ていう言葉は意味ないわね」

「どうしてよ」

「あんたは、そんなはずない事ばかりしでかしているの」

「どういう事」

「あんた、ココモ君と一緒にカーピン16世の所に直談判しに行って、国際警察への捜査依頼を取り消させたでしょ。もう、信じられない。パパ、上司にしかられちゃった。首かも、減給は間違いないわ。酷ーい」

「でも、ココモ君だけじゃなく、居合わせたリアン坊ちゃんだって、やめた方が良いってカーピンに言ったのよ」

 ショウカは仰天した。

「リアン坊ちゃん?公爵呼び捨て?」

「しまった」

 リリはベルメリの腕をつかみ、

「不敬罪の現行犯で訴えてやる」

「何?リリって警察に就職したの、今日は退学の挨拶かなんかで来た訳?」

 ベルメリも負けずに言い返すと手を掴み返す。ヤッヤモはポケットの中でため息をつく。ここで出て行く訳にもいかずといった感じ。

 二人でもみ合っている内に、ぼぎっと鈍い音がした。

「痛ーい」

 リリは叫ぶ。どうやらベルメリちゃん、リリの腕を折ったらしい。

「きゃー、ごめんなさーい」

 現行犯の犯人ベルメリは走って逃げだす。後ろではリリを皆で取り囲んでいる。ハイスクールに到着してハーハー言っていると、救急車のサイレンが聞こえた。

「ヤッヤモ、どうしよ。警察官の娘を暴行した現行犯、ベルメリ・ノスは未成年用刑務所行きなの?」

「まさか、だけどかすかにパトカーのサイレンが聞こえるな」

「うぇーん」

「じゃ、ベルメリちゃんはニールの館に逃げる?」

「さすがヤッヤモ、良い案ね」

 そこへ事態を察したチー、ラー、及びココモ君が二人の前に瞬間移動して来た。

「ベルメリちゃん、お見逸れしやした。一の子分チーセン、及びその2のラーセン。そして専属指南役、ココモ先生です。何なりとお申し付けください」

 ふざけたチーセンの言い草だが、パトカーのサイレンはハイスクールめがけているようだ。

「あのサイレン、あたしを追ってる訳?」

「いかにも」

 ココモ君の見解に間違いは無さそう。職員室から先生たちが走って玄関前に行くようだ。

「ベルメリ、ここは危険だ。早く教室に行っていろ。通り魔がこっちに逃げたらしいぞ」

 担任の先生に言われ、

「あたし、もう帰ります」

「しかし、通り魔が」

 ココモ君、

「僕らで送りますから」

「気を付けて帰るんだぞ」

 先生に届けた事だしー、とばかりに皆でニールの館に瞬間移動した。ココモ君にお任せだ。


「あらあら、あなた達どういう風の吹き回しかしら」

 ユーリーン婆さんは驚くが、ヤコが来て、

「ベルメリちゃん、まさか確信犯?」

 等と言われた。

「違うのー。あたしって急に馬鹿力が出だしたのー」

 皆は『急にじゃないよね』と思っていた。

 そんな皆の騒ぎを横目に、セーン曰く、

「皆一体全体どういうつもりなんだ。いかれカーピンの見物なのか。不敬罪と言われて捕まる気なのか」

 ヤモが顔を出し、

「ニキ爺さんの館に居る奴を、いくら国際警察の優れ者たちでも、捕まえにやって来る勇気はないんだ。ましてやセピアのサツなんて、魔力の魔の字もありゃしない。生まれたてのセキジョウさんっ子を捕獲できる能力もないぞ、卵から孵ってピーピー言ってる奴だってセピアのサツにつかまる気は無いからな。あいつらも魔力の有無ぐらいわかるんだ」

「ヤモはどういう理由でその話題が出るのかな」

「ヤコを捕まえようとするやつらに、言ってやりたかったが、その機会を失っちまったからな。ちょっとつぶやいてみただけ」

「ふうん、機会が無くなったってか。悲観するこたぁなさそうだぞ。国際警察は魔の国の魔法使いの木偶人形が混じったらしい。気を付けろって最近リューン叔父さんがうるさく言うんだ」

「来たら暴れても良いのかな」

「俺は良いと思うけど、ニキ爺さんに一言言っておいた方が良いな。もしも来た時は、な。来なけりゃ、黙ってろよ。今、爺さんはカーピンのいかれ野郎の所為で胃薬を飲んでいる」

「どうしてー」

 ヤーモが心配し出すので、セーンは、

「爺さん、ヤーモの心配をしているぞ」

 と教えておいた。


 苦労性のニキ爺さんだが、現在、ベルメリちゃんの武勇伝的な話を聞いて機嫌良く笑っていた。

「かかか、ベルメリちゃん、サツの娘の腕を折ったのか。で、皆で逃げて来たんだってー。さすが魔人のハーフだな。親無しヘキジョウさんっ子の世話どころか、ヤコやチーラーの用心棒も出来そうじゃないか」

 チーとラーは、

「それそれ、用心棒な。さっき親分子分の台詞を言ったけど、何だかしっくりこないと思ったんだ。ベルメリちゃんは皆の用心棒を兼ねているんだ。思った以上の良い人材だったな。ベルメリちゃんはこの館に就職で良いんじゃないか。何せ兼務だからな。きっと爺さんは給料弾むぞ」

「うんうん、儂はベルメリちゃんの言い値の給料を払うつもりだ。遠慮せずに執事から貰っておくんだよ。国際警察だろうが、どこの野郎でもうちの坊主にやられたら苦情を言い出すけど、ベルメリちゃんにぶちのめされちゃ、文句は言えまい。どうせ自分らが悪と自覚していようからな」

「そうなの、あたしってお役立ち人間かしら。あたしもそうじゃないかと思ってはいたのよ。あの美人過ぎる人だって、あたしのこと出来る女と思っていたし。それであたしって騙されちゃったわけよ」

「なるほどねぇ」

 皆大笑いだが、ニキ爺さんは機嫌よく相槌を打つ。

 ベルメリのかなり的が外れた言い草に『???』のヤッヤモ。あまりの的外れに理解の枠を超えてしまっているヤッヤモだ。返す言葉も無い。


 そして、次の週末、ユーリーン婆の予想通り、午前中にやって来たあのお方。早い。いーとこの生まれとは思えぬ行動だ。晩餐前に、もめる時間はたっぷりある。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ