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私の愛する使い魔さん  作者: 龍冶


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第11話

 

 今日は、とうとうオーカーさん主催のセピア新公爵への顔見せ挨拶的パーティーだ。建前はそうでも、『新公爵、絶対ニールのグルードさんちで、使い魔ちゃんと運命の出会いをする気的、パーティー』である。

 おかげで、集まった面々は新公爵カーピン16世のやる気のない挨拶に内心呆れながら、高級酒やら珍味のおつまみやらで気を紛らわしていた。オーカーさんちの美味しい物の飲み食いが無かったら、散々なパーティーなのだが、新公爵は気にせず、ニキ爺さんに、愛想良くしている。誰の機嫌を取るべきなのか分かっているようなので、さほど愚か者とは思えないとセーンは見ていた。

 一応新公爵の目的を取り持つ役で、ベルメリもやって来たが、ニキ爺さんに、

「新公爵は、ニールのヘキジョウさんっ子に会いたいそうなの」

 と言ってやった時点で、役目は終わり、奥の気の置けない面々と料理をぱくつくことにした。

 こういった美味の限りを尽くした料理は、上品に食べていては味をかみしめる事は出来無いと思っている、チーセンリーセン及び、今日は先ほどまで、ヤッヤモと同様にポケットに隠れていたヤコ、今は人型で、ヤッヤモと好みの味と思えるものを食べている。そんなみんなと一緒に、ヤーモもセーンから離れて、食い物につられた感じで人型で食事中だ。

 ココモ君が気を利かせて、この際、新公爵の相手をしない方が良い若手だけを別の部屋に集めていた。実に気が利くようになったココモ君だ。

「ヤーモさんはセーンさんと居なくて良いの」

 いらん事だが、ベルメリは聞いてみる。

「俺は何時でも2番目だからね。居ても居なくても良いんだ。1番が居れば事は足りているけど、一応両方のポケットに居ないとヤモが安定感が無いって言うからね、何時もはポケットに居るけど、こういう日は2番は臨機応変で良いんだ。ヤモには味の報告をしてやるんよ。奴も気になっているはずだし」

「そーなんだー」

 何となく納得のベルメリ。けけけと笑うヤッヤモ。『何だかヤッヤモちゃんはヤーモさんと居ると地が出るようね。きっと仲良しなんだろねー』と思うベルメリ。そして、また疑問の点を思い出す。

「ヤコ君はどうしてさっき、チーセン君のポケットに居たの」

「何となく居たかった。芝居でも喧嘩したみたいにしたからね。本当は、僕は二人の使い魔だから」

「そうなの、じゃ、どうして人型でハイスクールに来たの」

「前は、オーカーさんの孫と解釈された時期があったから、ココモの家に居た。だから二人に会うにはハイスクールに行くしかなかったんだよ」

「どーしてー」

「ベルメリちゃん、それ以上の疑問点は、後で話そうね」

 ヤッヤモはすかさず遮っておいた。これを知ったらきっとベルメリちゃんは叫ぶと察したからだ。それをまた、察したヤーモがくすくす笑う。酒の入った菓子でも食べたのかヤーモ、ツボに入ったように笑い続ける。

「ヤーモさん、何かおかしい事あるの。気になるんだけど」

「ぷはっはー」

 ヤーモは笑い、ヤッヤモは『ベルメリちゃん、ヤーモは酔っぱらっているね、気にしないでね』という。

 他の三人はよく分からない様子だ。

 実の所、この事情はココモとセーンの出会いとでもいう事情を知っている年かさの使い魔しか知らない事であり、ヘキジョウさん達も大勢いた時期の話だ。ヤッヤモは『魔の空洞』の悲劇の時分に生まれて早産的状況だったのだが、ココモはそう言った悲劇の上手をいっていた。ココモドラゴン王国の先代王がココモを産んだのだが、戦争状態のココモドラゴンと土ドラゴンの国家間事情の所為で、オーカーと育まれた愛は引き裂かれて、魔の国から獣人国へと人質として流されていったココモの母親。目当ては彼女の計り知れない魔力と魔性の知性。すべてを知り尽くしているのではと訝るとある国の長は、恐怖の為かドラゴン王の毒殺を試みるが死亡せず、瀕死であっても生きながらえて、そんな状態の時にセーンが卵状態のココモを拾った。毒の所為で産む時期をとっくに過ぎていた卵だったが、ココモドラゴンの王はセーンが見つけるように卵を置いて死んで行った。周囲の獣人国の人はセーンに拾わせるために産まなかったのだと噂した。そして普通に生まれる時期に誕生していれば大人に成長しているはずの妖獣を熱心に世話していたヤモは、何故か卵から孵った時から飛ぶことができる不思議なドラゴンを産んだ。それがヤコである。その時は、ヤコはココモとヤモの子だと思われていた。当時は使い魔がドラゴンを産むにはドラゴンの父親が必要としか考えられなかった。しかしその後、彼ら魔物は自分のコピーを卵で産む者であり、魔力が強ければ自分の卵をカスタマイズして変化させる魔物だと、判明した。というのが最近の事情だ。ヤーモの大笑いは、ヤモとココモが親になるようなことをしていたと思われていたことを、思い出しての事だ。ヤーモとしては思い出しても失笑のネタだったらしい。

 一人、大笑いのヤーモに、ベルメリが首を傾げていると、そこへなぜか、場違いに、カーピンがドアを開けた。何故なのだろう。皆驚いてカーピンを見る。そしてカーピンはヤーモを見つめる。『え、どういう事』訝るベルメリ、まさか!

「今、可愛い笑い声がしたようだったけれど、笑っていたのはあなたでしょうか」

 ベルメリはギョッとした。思わずヤーモを見ると、ヤーモ、笑いすぎた涙目で、カーピンを見つめる。ベルメリ察する。

『やったね、これは。ヤーモさん。アッタリー』

『ベルメリちゃん、茶化さないでよ。これは大ごとだよ、何せセーンのポケットの位のヤーモだぞ』

 ヤッヤモに言われて、

『そ、そうよね。これはセーンさんとカーピン16世、もめるわー』

 そこへ人型のヤモさんが現れ、ヤーモをひっつかむと、

「このドアホー」

 という感想的意見を述べ、2人して消えた。ベルメリは使い魔の瞬間移動、ヤッヤモだってやるんだから、2人は何時もやっている事だろうと思うが、カーピン16世は仰天した。

「居なくなった、どうして」

 使い魔の瞬間移動、初めて見たらしい。というより、瞬間移動も初見かもしれない。

「あの子は使い魔でしょう。ベルメリちゃん、あの子消えましたが、行方はご存じで?」

「さ、さー」

 ここはいらん事言わず、首を傾げるベルメリ、対応にほっとするヤッヤモだが、カーピン16世に聞かれてしまう。

「君は知っているんじゃないか」

「さぁー」

「同じ仲間だ、知っているに違いない」

 追及されたヤッヤモ、ベルメリのポケットに瞬間移動してしまった。

 次に追及されるチーセンとラーセン。

「ひょっとして、君らは知っておるか」

「はーい、ぼくらの親父のポケットでーす。セーンおやじの使い魔でーす」

 双子の強み。そろって言う。

「えーっ」

 今度は自分が叫ぶことになるカーピン16世。

 ベルメリは責任を感じて、

「あのー、今のはきっと公爵の気のせいですー」

 チーとラー、ベルメリの勇気に感心しているが、感心されても後の祭りのベルメリだ。

「いや、私の心は彼女に討ちぬかれた」

 チーとラー、勇気を出すしかない。

「女じゃありませんけどー」

 チーが小声でいうと、

「じゃあ、男だったか」

「両方違いますー。魔物ですからー」

 ラーが少し間延びした不謹慎とも言える言い方。ベルメリ大丈夫なのかとドキドキしてしまう。

 カーピン16世、思い至ってセーンの居た方向へ数歩歩いて、セーンが居ないのに気付いた。

「グルード殿、息子さんはどちらに?」

「すいませんが、たった今帰りましたが、何か?」

 ニキ爺さん事態を察したが惚ける。

「ずいぶんと早いお帰りですね」

「はぁ、そのようで-」

 失意のカーピン16世は主催者に暇も告げず立ち去ったのだった。

「ふぅ」

 ベルメリとヤッヤモ声をそろえてため息をつく。事態を気にしないチーセン、ラーセンは、

「見たかココモ。面白い事になったぞ」

 ココモ君、双子よりは賢く、

「面白がるなよ。セーンが困っているんだから」

 オーカーさんも、

「思わぬ事態だな。しかしグルードさんはさっき、カーピンをニールの屋敷に招待していたよな」

 ニキ爺さん、

「こんな事態になる前だったし、ユーリーンどうしよう」

 ニキ爺さんはユーリーン婆が頼りである。

「どうするって言ったって、あの様子じゃ、来週きっと来るね。招待状送らなくても。パーティーは止めといた方が良いかも。こじんまりとしたお食事会にしとかないと、もめだしたら世間体が悪いわ。レンとミーラさんだけ呼びましょ。修羅場になったらきっとレンが止めてくれるわ」

「うん、修羅場はレンが得意だな」

 ベルメリは、『セーンさんのパパって、修羅場をかいくぐって来たって事』と思っているとヤッヤモ君、『そだよ、僕も見た事ないけど、噂じゃ数をこなしてることは事実だね。ベルメリちゃんが気にする事は無いさ。きっと何とかなるって』

 そうヤッヤモに慰められたベルメリだ。

 オーカーさんもお開きにするらしく、明日はハイスクールなので、ココモ君がべネルさんちへ、ベルメリを連れ帰ってくれた。


 一方、慌ててニールに逃げ帰ったセーン達。

 館に着いた時点で憤ったヤモに怒鳴られるヤーモだが、

「バカ野郎、カーピンに色目使って冗談も大概にしろ」

「そんなことしてないって、奴が急に部屋に来たんだ。俺はベルメリちゃんが面白くて笑いすぎて涙目になっていた所に、奴が急に来たからちょっと見ただけだってば」

 セーンの見解、

「じっと見たな」

「そーだったっけ、よく覚えていないけど」

 ヤーモ、不味いと認識し出す。ヤモの追求は続く。

「俺はヤーモがカーピンをからかっている風に見えたぞ」

「えーっ、まじ?」

 セーン、とりなす。

「ヤモはヤーモをワルと思っちゃいないだろ。何時か、気立ての良い子だとか言っていなかったっけ」

「記憶にない」

「僕は気立ての良い、良い子なんですぅ」

 ヤモがヤーモを殴ったところで、ジジババが戻って来て、

「まっ、喧嘩はやめてね。あのカーピン坊ちゃんがいかれているだけだってば」

 ユーリーン婆さんに言われて、『そうかな』と思い直したヤモとヤーモ。喧嘩も仲直りも素早い。 

 セーンは、『いかれた奴の相手な。来週も忙しくなりそうだなー』



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