第一話二話、プロローグ、探偵部
◇織田冬羽悟
高校に入学してから1週間、夕陽が照らす放課後の教室、俺は教室の自分の席で文庫本を片手に隣のクラスの西沢龍間の話に耳を傾けていた
「まじでクラスで話せる人ができないんだけど」
「へぇー」
龍間は同じクラスじゃないかよく放課後や昼休みには一緒にいることが多い
「まず隣の席が女子なのがよくなかったよね」
「へぇー」
「ねえ聞いてないでしょ」
「聞いてるよ」
龍間のその言葉で俺は文庫本を閉じた
「もう本を読んでいる時点で聞いてないよね」
俺はため息を吐き気怠そうに言う
「じゃあ今から聞くよ」
龍間もため息を吐く
「まあいいや、それはそうと冬羽悟はもう何の部活入るか決めた?」
この南城高校は先週の木曜日から部活動見学が行われており、新入生たちはどの部活に入るかで一喜一憂していた。
「俺は部活は入らないでいいかな」
「何でよ、なんか部活は入った方がいいんじゃない?そうだ、これからボランティア部の見学に行くんだけど冬羽悟もどう?」
「遠慮しとくよ」
俺は時計を見て時計の針が四時を指していることを確認する
「それじゃあ俺はもう帰るよ」
俺は机の上の文庫本を鞄にしまい席を立つ
「本当に行かないの?」
「あぁ」
俺はそう言って教室を後にした。
この教室は三階なので階段を降りないといけない、俺は少し憂鬱な気持ちになって階段を降りて行った。
階段を降りている途中喉が渇いてきたので逆の棟の自販機に寄ることにした。
2階の渡り廊下を進んでいると元図書館の扉に張り紙が貼ってあった。
[探偵部部員募集中‼︎]
「は?」
思わず声を漏らす
探偵部?そんな部活があるのか
部屋の中は明かりがついている
俺は迷ったが好奇心に駆られてその扉を開いた。
「失礼します」
そこには1人の一年生と思わしき女子生徒が座って読書をしていた。
女子生徒はこちらを振り向く
「見学かな?ごめん今先輩たち居なくて」
女子生徒は困ったように言う
「いや俺は別に見学じゃ...」
「?」
俺は言葉に詰まった
「俺は....」
「いやちょっと待って」
彼女は俺の言葉を遮り少しワクワクしているように見える
「あなたがここに来た理由、私が当ててあげる」
「へ?」
彼女は顎に手を当てて考えているような素振りをする、
かわいいな
ふとそう思ってしまった
「え、今なんか言った?」
「え?」
「なんか...気のせいかなごめん」
「あ、うん」
危なかった、恥ずかい思いをするところだった、俺は少し冷や汗をかき動揺を抑えて彼女を見る。
「あなた名前は?」
「織田冬羽悟三組、そっちは?」
「花塚凛花二組だよ探偵部に入る予定、よろしくね」
彼女は少し微笑む
「じゃあ織田くん、織田くんはたまたまこの渡り廊下を通った、そして探偵部のポスターを見て、探偵部というよくわからない部活に興味を持ってこの扉を開いた」
「っ、」
見事に彼女の推理は当たっていた彼女はとことん満足したような顔をしている。
「当たった?」
「あ、ああ...何でわかったんだ?」
彼女は少し目を逸す
「織田くんの前に3人ぐらい同じような理由で来てすぐにどこかに行ったから」
全然推理じゃなかった
「まあ当たり前だよね、探偵部何て意味不明だし」
「あーそうだな、確かに意味不明だな」
「で、どうする、一様見学していく?見学するなら先輩たちを待ってもらうことになるけど」
少し間を空けて言う
「俺は帰...」
そこで元図書館の扉が開いた
「おっ新入生!見学か?」
そこには大柄で屈強な男がタンクトップ姿で立っていた、怖い
「えっ、いや俺は帰...」
「ちょうどネタを持って来たところだ!新入生君も見学を兼ねて、やっていけよ!」
「いや俺は帰...」
「やっていけよ、な?」
「いや俺...」
「な?」
この人強引すぎないか⁈いいから帰りたいんだが
「そうね冬羽悟くん、少しやっていけばいいんじゃないかしら?」
図書館の奥から、いかにも文学少女と言えるような雰囲気の女性が出て来た
「えっ?いたんですか先輩!」
「気づかなかったの?最初からいたわよ」
花塚も驚きを隠せないようだ
3人は期待を込めた眼差しでこちらを見つめる
(特に先輩2人が)
その空気感に押され
「はぁぁぁーー.....じゃあ少しだけ」
俺はやむおえず承諾してしまった。
「とりあえず座りましょう」
その言葉で全員席に着いた