表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

kasane

作者: 冬咲しをり

十二単の紫の衣を

いちばん上に重ねた


夢で襲われたときから

私はあの人のことが

忘れられなかった


戸口をみたが

ききょうは挿していなかった


あの人のききょうは

挿していなかった


あけぼのの空

書き物をすることにした


清少納言 枕草子


赤ちゃんが可愛いとか

空が綺麗だとか

花が咲いたとか

どうでも良いことを書いた

そういうのが、好きなのだ。


不意に気配がして

風が私を抱いた


その風は

香りをかいで

私を堪能している

ようだった


私の着物の下に

その風は吹きつけた


あの人のことを考えた


ききょうに文をつけてほしいと

望んだ


ききょうだけでもよかった


本当は何も要らなかった


気づけば、戸口が

からからと音を立てるのを止めて


空は明るくなっていた



香をたきつけた着物を

羽織ることにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ