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元魔王様の南国スローライフ~部下に裏切られたので、モフモフ達と楽しくスローライフするのじゃ~  作者: 十一屋 翠
第三章 魔王、島を繁栄させるのじゃの章

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第41話 魔王、島の大改造をするのじゃ

 グランドベア達がやって来た事で手狭になった島をわらわは魔法で拡張した。

 しかし広がった大地は元々海底だった為に緑も何もない。


「魚が沢山食べれてうれしー」


「この海藻ってのも悪くねぇなぁ」


「モグモグ、定期的に海を陸にしてほしい」


 一方で島の魔物達は海底を隆起させたことで打ち上げられた魚を美味そうに食べておった。

 まぁ良いんじゃけどね。


 そうそう、島には新たな入居者達がやってきていた。

 メイアの部下である宮廷メイド隊じゃ。

 彼女達はメイアの命令で各地に散って情報を集めておったのじゃが、今回の島の拡張作業はメイア一人では手間がかかり過ぎるという事で、メイド達の再結集を提案されたのじゃ。


「メイド隊に選ばれた者は全員がリンド様個人に忠誠を誓う者達です。情報が洩れる心配はございません」


「それはいいんじゃが、何で久しぶりに再会したメイド達がどいつもこいつも女児服を抱えておるんじゃ?」


 わらわは嫌な予感に震えつつもその理由を尋ねる。


「それは勿論魔王様が魔王を引退して可愛い服を着せ放題とメイド長から連絡があったからですっっ!!」


「わらわそんな話知らんのじゃけど!?」


「「「「我が世の春が来ましたぁーーーっ!!」」」」


 その後何があったのかは断固黙秘するのじゃ。

 ともあれメイド隊が集結した事で島の住環境は劇的な変化を遂げた。

 まず守り人達の生活レベルが上がった。

 今までは掘っ立て小屋だった家が、建築魔法によってしっかりとした家に住むようになり、長年村が結界に封印されていた事で縫製技術が低かった衣服もオシャレな衣装に早替り!」


「おらぁこんな都会風の服なんて初めてだぁ」


「こんな可愛い服が着れるなんて嬉しいだぁ!」


 戸惑う男衆に対し、村の女達は皆大喜びじゃ。

 守り人の使命に準じていたとはいえ、やはりオシャレには興味深々だったようじゃ。

 既に何人かのおなご達は服飾技術を持ったメイドに弟子入りしておる。


 他にも様々な専門技術を持ったメイド達が島の様々な場所で活動を行っており、拡張した陸地に河川を追加したり、海風を防ぐための木々の植樹をおこなったりもしておった。

更に海底に染み込んでいた塩分の塩抜きもメイド達が担当してくれておる。


うーむ、わらわする事がないのう。楽で良いが。


「魔王さ、リンド様。少々ご相談したい事があるのですが」


 などと考えていたら、さっそくメイドが相談を持ち込んできた。


「なんじゃ?」


「この島の川についてなのですが……」


 と、メイドは自分が担当している河川の拡張作業をしている際に気付いた事を説明し始める。


「この島の川なのですが、どうも魚が居ないようなのです」


「魚がおらんとな?」


「はい。普通は小さい川魚などが居るものなのですが、一匹も見当たりません」


 ふむ、あまり気にした事が無かったがそういうものなんじゃな。


「それが問題なのか?」


「いえ、せっかく在来種が居ないのですから、外から魚を持ち込んで養殖してはいかがかと」


「養殖?」


「はい。淡水魚を川で育てれば海の魚以外も楽しむことが出来るようになります」


 成程そう言う事か。確かに島の中で色々な物が食べれるようになれば、自給率も上がるからの。

 そう言う意味では全く魚の住んでいない川というのは都合が良い訳か。


「最初は池で養殖して数を増やし、十分に増えたら川に放流してみようと思います」


「うむ、良かろう。許可するのじゃ」


「ありがとうございます。ではさっそく……」


 とメイドはにこやかな笑みで我を見つめ……


「魚を獲ってきてください」


 と、のたまいおった。


 ◆


「いやまぁ、メイド達は転移魔法が使えぬから仕方ないといえば仕方ないんじゃがな」


「ジョロウキ商会の船を一隻島への定期便にしますか?」


「うーむ、将来的にはそうしたいが、そうなると船員は厳選しないとならんのう」


「海での漁に興味のある守り人達に操船を学ばせてみてはいかがでしょうか?」


「それも手じゃな。何人か見繕ってジョロウキ商会に連れて行くがよい」


「畏まりました」


 船の話が済んだわらわ達は、魚を求めて川へとやってきた。


「では魚を獲ります」


 メイアはマジックポケットから網を取り出すと、それを川目掛けて投げる。

 網は綺麗に広がり川全体に覆いかぶさるように落ちた。


「見事なもんじゃの」


 と言ってもそれはメイアの見事な網捌きの事ではない。

 メイアは漁師ではない故、これほど綺麗に網を広げる事が出来ぬ。

 にも拘らず綺麗に網が広がった理由、それは念動魔法であった。

 念動魔法によってメイアは網を綺麗に広げて見せたのじゃ。

 しかしただ物を浮き上がらせるのとは違い、網が絡まない様に綺麗に広げるのは中々に面倒なものじゃ。

 つまりそれを成し遂げたメイアの魔法制御技術こそが見事なものという事じゃな。


「引き揚げます」


 メイアが念動魔法で網を引き揚げると、網の中に大量の魚がビチビチと跳ねているのが見える。


「うむ、大量じゃな」


 メイアは網を巧みに動かすと、魚を入れる為の樽にドボドボと魚を落としてゆく。

 樽の中にはどんどん魚が溜まってゆく。


「おや? これは大物ですね?」


 と、メイアが網に引っかかった最後の獲物を落とすべく網をブンブンと動かす。

 するとたまらず最後の獲物が樽の上に落ちて来た。


「あ痛ぁ!!」


「って、喋ったぁ!?」


 なんと網から落ちて来た獲物は人の言葉を喋ったのじゃった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >「ジョロウキ商会の船を一隻島への定期便にしますか?」 結局あの島は人族の住む大陸から元々そんな事ができる程度(数十km~100km程度?)しか離れてないって事? そんな島を半径数k…
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