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元魔王様の南国スローライフ~部下に裏切られたので、モフモフ達と楽しくスローライフするのじゃ~  作者: 十一屋 翠
第六章 神器と復活?の勇者なのじゃ編

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最終話 元魔王、南国でスローライフを送るのじゃ?

「「……」」


 純白の衣装に身を包んだ男女が緊張の面持ちでわらわの前に立つ。


「ではこれより新郎カイルと新婦シュガーの結婚式を執り行うのじゃ」


 黒い司祭服に身を包んだわらわは、参列客達に聞こえる様に式の開始を宣言する。


「新郎カイルよ、汝は病める時も健やかなる時も……」


 何でこんな事になっとるかというと、遂に勇者が覚悟を決めて聖女と結婚する事を決めたからじゃ。

 で、そうと決まれば暇を持て余している住民達の動きは速い。

 あっという間に結婚式の衣装を作り上げてしまった。


「白い衣装だから生地を染めなくて楽だったモス」


 とは衣装班に立候補した者達の言じゃ。

 更に新郎新婦だけじゃ片手落ちだと言うて参列者達の服、更には結婚式を進行する司祭の服まで用意しおった。


「というか何でわらわが司祭役なんじゃ」


「田舎の催事で適任者がいない場合は、一番地位の高い方が務めるものですから!!」


 と、妙に圧が強いメイア達に押し切られてわらわが司祭役をすることになった訳じゃ。

 まぁええんじゃけどね。


「うう、カイル、立派になって……」


 息子の晴れ姿を見て勇者の母が喜びの涙を流しておる。

 まぁ人族の親としては我が子の結婚式を見るのは感慨深いのじゃろう。

 魔族はあんまりそういうのないんじゃが。


「「誓います」」


 二人が誓いの言葉を継げると、式はクライマックスを迎える。


「では誓いのキスを」


 勇者が聖女のヴェールをめくり、互いの顔が近づいてゆく。


「シュガー、必ず君を幸せにするよ」


「ふふ、駄目ですよ、ゆ…カイル様。一緒に幸せにならないと」


「っ、そうだね」


 幸せに浸った眼差しでイタズラっぽく勇者を窘める聖女。

 この娘もあれから随分雰囲気が変わったものじゃ。

 それだけ聖女として活動していた頃は気を張っていたという事か。


「「……ちゅ」」


「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」


 誓いのキスを見て参列者達が歓声を上げる。

 まぁ大半は魔物なので獣の雄叫びなんじゃけどね。


 そんな感じで結婚式が終わると、次は宴会じゃ。

 こちらが本命とばかりに誰も彼もが大騒ぎでお主等結婚式の事忘れとるじゃろと思わんでもないが、今日ばかりは煩い事は言いっこなしじゃ。


「素敵ね、私達もいつかあんな結婚式をあげるのかしら」


「そ、そうっスね……」


 とウェディングドレス姿の聖女を羨ましそうに見つめながら尻尾を絡ませるリリリルとビッグガイ。

 次の結婚はあ奴等かのう?


 ◆


あれから十数年の月日が過ぎた。


「師匠ーっ! 仕事が忙しすぎます! 手伝ってください!」


 書類を抱えたテイルが悲鳴を上げてわらわに泣きついてくる。


「バカモン、お主も責任のある立場に就いたんじゃからもっとシャンとせんかい」


気が付けばテイルはエルフの国と元人間の国だった領地との調整役として働くことになっておった。

これは元人間の国の貴族が粛清され、実力で抜擢された人間の役人達が元宮廷魔術師であり、女王のクリエと顔見知りであるテイルこそ統治者に相応しいと推薦があったからじゃ。押し付けられたとも言える。


「領主になんてなりたくなんて無かったですよー!」


 調整役と言われているが実質領主みたいなものであり、一国の規模の領主と考えると大出世と言えるじゃろう。

 まぁ実際にはエルフ達が他種族が暮らしている領地の統治とかめんどいし、理解のある現地の住人に任せる方が楽だわとテイルに任せる事を承認しただけなんじゃが。


 なのでテイルは現在クリエの家臣という事になっておる。


「早く後任に任せて引退したーい!」


 はっはっはっ、その後任がなかなか育たんのじゃよ。


「リンド様、悪い顔をしていますよ」


 お茶のお代わりを入れつつ、メイアがチクリと刺してくる。


「若いうちの苦労は将来役に立つんじゃよ。」


「こうして負の連鎖が続いてゆくのですね」


 負の連鎖言うでない。


「負の連鎖と言えば、元魔王国ですが」


「む? 何かあったのか?」


「ヒルデガルド元宰相が集中攻撃に遭っています」


「左様か」


 うむ、実は魔王国にも変化が起きていたんじゃよな。

 魔族の幹部達は勇者討伐と神器奪取によって次の魔王を決める約定を交わしておったのじゃが、いつまで経っても勇者と神器が見つからなかった事で、遂に国が分裂してしもうた。


 そして別れた国は互いに争い合い、いつかの群雄割拠の時代に戻ってしまった訳じゃ。


「リンド様が苦労して建国した国が亡びる元凶となった者ですから、自業自得ですね」


 魔族の世界は力こそ全て、当然弱い者は強い者に狩られることになる。


「ヒルデガルド元宰相はその強引な方針が原因で方々に恨みを買っていましたからね。狙われるのも当然です」


「まぁ、あ奴はしぶといからなんだかんだ言いつつ生き残るじゃろう」


「早々に滅びて構わないのですが」


「そう言うな。現状はエルフの国優勢、次にドワーフの国か。魔族領域は消耗するまで手を出すつもりは無いじゃろうな」


「下手に攻めて新たな魔王でも擁立されようものなら、大火傷を負いかねませんから」


 元々魔族は複数種族の寄り合い所帯じゃったからのう。どうしてもまとめる頭がおらんとこうなってしまう。


「海の向こうの国家群は静観、というよりは自分達の大陸内での争いに手いっぱいですね」


「つまり、暫くは平和が続きそうじゃな」


 魔族領域内で争いが起きておるが、世界全体で考えれば小競り合いのようなもの。


「唯一の不安は神器の力不足じゃが、それはリュミエ達研究者に任せればよい」


「エプトム大司教の神器の表面に呪いを定着させる研究の応用で失われた力の補充を早める計画でしたか」


「うむ、研究は思ったより順調のようじゃ。流石に世界の危機ゆえ、多くの国家から協力を得られたのも大きいの」


 そして協力にかこつけてお互いの技術を盗もうとやっきになっておる訳じゃが。


「ま、世の中わらわ達が慌てんでも上手い事回るもんじゃよ」


「結果論と言いますか、リンド様がかき回した所為では?」


「ならわらわが魔王を止めて長期休暇を取ったのも正しかったという事じゃな」


「物は言いようですね」


「はっはっはっ!」


「魔王さまー」


 メイアと談笑をしておると平坦な声をあげながら毛玉スライム達がやってくる。


「おお、どうした?」


「海岸に何か流れて来たー」


「毛のお化けみたいなのー」


 全身が毛玉のお主等が言うのか?


「ふむ、また新しいモフモフが来たという事か。よし、見に行くぞ!」


「おー」


 さーて、次のモフモフは誰かのう?


~元魔王様の南国スローライフ 完~

これにて魔王様の物語は完結です。

魔王様を応援してくださった皆様、ありがとうございました。

新作『のじゃロリ魔王姫さまはNPCじゃありません!~ネタキャラ? いえ、レアキャラです!~』が連載中ですので、よろしければこちらもお楽しみくださいませ。

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― 新着の感想 ―
お疲れ様でした、久しぶりの更新が完とは残念だけど終わらないまま更新されない作品より良い! 次も期待しています。
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