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第135話 魔王、謎解きをするのじゃ

「ほ~、モコモコじゃ~」


 太陽の光を目いっぱい浴びてフワフワになったダンデライポン達の埋もれ、わらわはまったりしておった。


「って、何まったりしとるんじゃー!!」


 そこに折角のモフモフを台無しにする金切り声が響く。


「うるさいのう。せっかくモフモフを堪能しておったというのに」


 目をあければ、そこには柳眉を吊り上がらせたクリエの姿があった。


「おお、やっと来たか」


「やっと来たかではないわ! わらわ達が散々苦労していたというのに貴様はーっ!」


 はっはっはっ、適材適所じゃよ。


「しかも邪神の使徒まで一緒になりおってー!」


「いえ、私もこの方に誘われまして。ですがええ、とてもフワフワで心地よいですよ。私も何匹か欲しくなった程です」


「寝心地を聞いておるわけではないわーっっ!」


「カルシウム足りとらんのかの?」


「朝昼晩ちゃんと食べとるわーっ! 嫌いなものまで姉上に脅されて無理やりなーっ!」


 不憫な奴じゃのう……


「さて、ふざけるのはこれまでじゃ。ではお互いの情報を集めるとしようかの」


体を起こすと、わらわ達は情報交換を始める事にする。

 既にメイア達がテーブルとティーセットの準備を終えて話し合う体制はばっちりじゃ。


「あれが全て世界獣じゃと……!?」


 まずはわらわから情報を伝えると、クリエのみならずメイアすらも驚愕の表情を浮かべておった。


「うむ、そしてわらわ達が手を出せずにおった時に現れたのがこのダンデライポン達じゃ。あ奴らのお陰で見た目の上では平穏な光景が戻って来た」


「ポン? 呼んだかポン?」


 名前を呼ばれたダンデライポン達が集まってくる。


「ははは、ちょっとお主等の話をしておっただけじゃよ。お主等の毛並みは素晴らしいとな」


「ポン、照れるポン」


 うむ、嘘は言っておらんぞ。さっきそう言ったでの。


「なんとも摩訶不思議な。ダンデライポン達にそのような役割があったとはな」


「何で誰も気付かなかったんでしょうね? 世界獣がエルフの方達の守護獣なら、ダンデライポンちゃん達にそういう役割があると分かる者だと思うんですけど」


 確かにの。テイルの疑問も尤もじゃ。

クリエはともかくリュミエやエルフの長老達が知らぬとは思えん。


「リンド様、僭越ですが私から宜しいでしょうか」


 と、傍らで茶を注ぎ直したメイアが会話に加わって来る。

 本来のメイドなら主の会話に加わる事はそうそうないが、メイアは優秀なわらわの側近じゃ。

 こういった会議の際に思いついたことがあれば遠慮なく意見を述べてよいと許可を与えてある。


「今回の世界獣の移動があったからこそ、ダンデライポン達の動きが注目される事になったのではありませんか? 世界獣が山脈と勘違いされていたこれまでの状況でなら、ダンデライポン達がやって来ても植物魔物が栄養のある土や日差しの良い土地を求めて移動してきただけとしか思われなかったかと」


 成程のう。確かに一部の生き物の移動は珍しい事ではない。

 鳥ですら季節によって大きく生息地を変える事があるのじゃからな。


「成る程、そうなると人族の国でダンデライポンが魔物に襲われて大移動をした件もあながち無関係ではないかもしれんな」


 例えば、現在移動している世界獣の下に本来やってくるはずだったダンデライポン達が今年は来なかったのが原因とかじゃな。


「カツラ達が世界獣の子供なら、子供に栄養である日の光を与える筈のダンデライポンが来なかった事は切実な問題じゃろう。それゆえ、ダンデライポン達の移住した土地を目指したとかどうじゃろうな」


「むぅ、推測ではあるが、否定できんの」


 ただ、そうなるとそもそもの原因ってダンデライポン達を移住させたわらわが原因という事にならん……か?

 い、いや、そもそもの原因は人族の国の王達の支配欲が原因じゃ!

 わらわはその被害に遭ったダンデライポン達を助けただけじゃからノーカン!

 あとそもそもの原因は隣でしれっと茶を飲んでおる邪神の使徒が原因な訳じゃし!

 わらわ悪くない!


「ともあれ、そうなると世界獣の目的はこれで達成された事にならんかの? あの世界獣の子供はここでダンデライポン達と一緒におる訳じゃし」


「ですがそうなると世界獣が個々に戻ってこないのもおかしくありませんか?」


「むぅ、それは確かに」


 ルオーダの指摘にわらわ達は言葉に詰まる。

 言われてみればその通りじゃな。という事はわらわ達の推測が間違っていて、世界獣の目的は別にあるという事か?


「そうなると、やはり世界獣と交信を試みるしかないですね……ここの世界獣のどれかと」


「「「「……」」」」


 わらわ達は無言になって周囲で動かなくなった世界獣達に視線を向ける。


「これを全部」


「登るんですかぁーっ!?」


 言うでない、わらわも切なくなるじゃろうが!

 しかもそんな時に限って、事態は切迫する事になる。


「っ! リンド様、世界獣を監視させていたメイド隊から報告です!」


「どうした?」


「世界獣が、町に近づいているとの事です!」


「なんじゃと!?」

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