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マジック★ソルト 〜JKと異世界転生したのに、固有魔法が地味すぎて勇者の荷物持ちになりそうな件〜  作者: 揚げたてアジフライ
第一章 フェルメウス地方 冒険の始まり編
7/18

<第6話 その名もマジック★ソルト>

魔法の鑑定、主人公パート。

ようやく物語のスタートに立てた感じです。


「さぁ、身体の中心で渦巻く魔力をイメージするのじゃ……!」


 マリガンの言葉を受け、俺は目を瞑って集中する。


(力が渦巻くイメージ、って言われてもなぁ……)


 俺のセンスが無いのか、はたまたマリガンの教え方が悪いのか、これといってピンと来ない。


 確かに、集中すると、何か今までに感じたことが無いような物が身体を巡っているような感覚はあるのだが、どうもぼんやりとしている。

 そもそもとして、魔力量が少ないのが原因だったりするのだろうか。


 なんてことを思いながら、ぼんやりとしたそれが手の方へと流れていく様子をイメージする。


(あ、なんか流れてる、気がする……)


 手の先端から、何かエネルギーが抜けるような感じと共に、魔水晶に光が宿る。

 少し苦戦したが、どうやら魔力を流し込むこと自体には成功したようだ。


「ふむ、これは水属性か……?いや、しかし……」


 なるほど、水属性ときたか。


ゲームなんかだと、攻撃性能は高くないが、汎用性には特化しているイメージだ。

 俺の持つイメージ通り、回復魔法や支援系の魔法が使えれば、真帆のサポートとして活躍出来るだろう。

 そうなれば、荷物持ちや肉壁だけが役割、なんてことにはならない筈だ。

 最初は水を打ち出す程度かもしれないが、極めていくにつれて氷の魔法なんかも使えるようになるかもしれない。


 思ったよりも悪くないのではないだろうか。

 魔法を使っている自分を想像するだけで、年甲斐も無くワクワクしてくる。


「……分かったぞ!汝の魔法属性は水ではない!」


 ほう、違ったらしい。


 だが、魔法に関しては大ベテランであり、数多くの冒険者達の魔法を鑑定してきたマリガンが、普通の魔法を診断するだけでここまで迷うだろうか。

 俺は一つの考えが頭に浮かんでいた。


 そう、固有属性の存在だ。


 女神はどんな魔法が芽吹くかは分からないなんて言っていたが、どうや俺にも所謂チートと呼ばれるような能力があったらしい。

 ある意味では光や闇属性よりも希少と言える固有属性。


 ステータスが超平凡な俺でも、それを補うだけの力がある筈だ。

 場合によっては、勇者に匹敵する大魔道士になれるかもしれない。


「汝の魔法属性は……!」


「そう、俺の魔法属性は……!」


「塩じゃ!汝の魔法属性は塩!」


「は……?シオ……?ああ、潮の満ち干き的な潮か?水属性の上位属性、みたいな……?」


「いや、そんなもん存在せん。お主は世にも珍しい固有属性、その名も塩属性、じゃ!」


「はあぁぁああぁぁあーーーーーッッッ!?」


 冒険者ギルドの片隅、薄暗い暗幕の中で、俺の悲鳴が虚しく木霊した。




◆◆◆




「才能にもよるが、魔法の種類は鍛えるほどに増えていく。今はまだ初級魔法しか使えんじゃろうが、精進していくと良いぞ。ただし、【魔力減衰マジックロスト】にだけは気をつけるんじゃぞ……!」


 マリガンのそんな見送りの言葉を背に、俺は肩を落として歩いていた。


 いや、固有属性って、希少なんじゃないの?

 何なんだよ、塩属性って。

 調味料には困りませんってか?

 

 女神のやつ、中々に舐めたことをしてくれたものだ。

 どうやら、俺の異世界生活は荷物持ちとして終えることがここで決定しました!


「……っくく、それにしても、塩属性って!」


「うるせぇ!お前みたいに魔法に恵まれたやつに俺の気持ちが分かるか!?なんだよ、塩属性って、マジで!一周まわって強い説あるだろもはや!」


「いや、それはナイ。ていうか、ふふっ、マジックソルトじゃない、っふふ……」


「はい許さん。お前は今超えちゃいけないライン超えました!喰らえ、【塩創成クリエイト・ソルト】!」


 ふぁさっ。

 魔力を糧にして生み出されたそれは、そんな擬音立てて床へと散った。


「ちょっと、やめてよね。髪とか傷んだらどうするのよ、もう……」


 肩に掛かった塩を払いながら、真帆がそんなことを言った。


 俺の魔法である【塩創成】は、魔力を塩に変換させて手の平から放出する。

ただそれだけだ。

 唯一の利点として、他の魔法のような詠唱が必要ないことが挙げられるが、ノーアクションで塩を放出したところで何になると言うのだろうか。


 改めて自分で振り返ってみると泣けてくる。


「知るか!異世界まで来て、既に荷物持ちルートが確定した俺の痛みを思い知れ!塩漬けにしてやらあ!」


「ちょ、いい加減に……」


「ふはは、どうだ、参ったと言うが良い!」


 体内の魔力が塩へと変換され、手のひらから勢いよく放出される。

 放出された塩は真帆へと降り積もり、雪のようにも見える。


 いやぁ、風情があるなぁ……。


「……やめろって言ってるじゃない!天翔る風の精よ、我が魔力を喰らいて、その姿を風と成せ……【風撃ウインド】!」


「ぼっふぁ……!?」


 真帆によって放たれた風の衝撃波が、俺の生み出した塩を吹き飛ばす。

 結果として、俺は自分の放った塩で溺れることとなった。


「全く、次やったら風魔法じゃなくて火でいくからね……!」


「はい、調子乗ってすいませんした……」


 さらっと恐ろしいことを言う真帆に気圧され、素直に謝罪する。


 というか、俺は手の平から塩を放つしかできないのに、真帆は、風どころか火や水まで魔法で出せるんだよな。

 塩が出せたところで、相手の目潰しか、それこそ料理の際の調味料にしか使えない。

 使えない魔法なんて無いと思っていたが、これなら別に無くても良いレベルなのでは無いだろうか。


 俺も、かっこよく詠唱とかしたかった……。


(鍛えたらどうにか使える魔法が増えたり……。いや、塩魔法じゃどうにもならんな……)


 マリガンは、鍛えれば魔法の種類が増えるなんてことを話していたが、いくら鍛えたところで、塩魔法がどうなると言うのだろうか。

 精々、出せる塩の量が増えるとか、その程度だろう。

 ぶっちゃけ、魔力を消費してまで塩を出すのであれば、袋に砂でも詰めて持ち歩いた方が余程建設的なのではないか。


「ちょっと、いつまで落ち込んでるの?」


「恵まれたお前には分かんねえよ……」


「マリガンさんも、魔法の種類は鍛えれば増えるって言ってたし、ちょっとくらい頑張ってみてもいいんじゃない?」


「いや、俺もそれくらいは考えたさ。でも、塩魔法を鍛えたところでどうなるんだよ?ピンク岩塩でも出すのか?」


「……ふふっ。ちょっとオシャレな奴やめなさいよ」


「笑ってんじゃねえ。なんにしても、俺に魔法は期待しないでくれ……」


「はいはい、とりあえず行きましょう」


 真帆に慰められながら、ギルド一階へと向かう。

 俺の魔法はさておき、これで冒険者としてのスタートラインには立てた。

 冒険者になったのなら、次にどうすべきかなど、もう決まったようなものだ。


「クエストを受けよう」


 俺は、前を歩く真帆にそう告げるのだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ユウキ・シオヤ 冒険者等級:F


筋力:25

忍耐:40

敏捷:25

知力:25

運:0


スキル:無し


魔法


塩創成クリエイト・ソルト】:塩属性初級魔法。魔力を食塩に変換する。


詠唱:無し


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

マホ・キリュウ 冒険者等級:F


筋力:50

忍耐:25

敏捷:75

知力:60

運:15


スキル:【棒術】

効果:棒状の道具を使用した際における超微少の筋力値上昇補正。


魔法

火球ファイアボール】:火属性初級魔法。任意方向に火球を放つ。

詠唱:炎熱の化身たる炎の精よ、我が魔力を糧に力を


水流スプラッシュウォーター】:水属性初級魔法。任意方向に水を放出する。

詠唱:母なる海よりいでし水の精よ、汝、その身を水流と化せ


風撃ウインド】:風属性初級魔法。任意方向へ風圧を放つ。

詠唱:天翔る風の精よ、我が魔力を喰らいて、その姿を風と成せ


土創成クリエイト・アース】:土属性初級魔法。消費した魔力に応じた量の土を生成する。

詠唱:大地の恵育みし精よ、その力を我が手に授け給え


光源フラッシュ】:光属性初級魔法。光の精霊を召喚し、光源を生み出す。

詠唱:汝、我が行く道を指し示せ


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




一区切りついたので、本日の投稿はここまで。


次話は明日の夜19時頃に投稿予定です。


少しでも面白いと思って頂ければ、感想、評価、ブックマークを頂けると励みになります。


よろしくお願いします。

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