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世にも微妙な物語  作者: 前健
3/3

深夜ラジオ

「ピッピッピッ、ポーン」


 やあやあ! 遠からん者は音にも聞け! 近くば寄って目にも見よ! ただいま深夜2時の時報であります。


 今夜も無事に始まったこの番組。リスナーのみんなにきちんと電波は届いているかしらん。丘を越えて! 山を越えて! 国境を越えて! 人種を超えて! 宗教を超えて! イデオロギーを超えて! そして時代をも超越して! 西園寺公望!

 

 いやー、先週の放送のあと「自分の言葉に責任を持て!」とのリスナー諸氏からのメールが殺到しましてね。あいすみませぬ、って感じ。さっき、ディレクターからは「自分の喋ったことくらい覚えとけ!」ってこれまた怒られちゃったです。ソーリー、ソーリー。西園寺公望!


 そりでは気を取り直して、来週木曜日についに発売される僕っちのセカンドアルバムの中から『家から5 km の大噪喧』を聞いてちょ。聴かせるぜえ! ビートを! ビートったって「さとうだいこん」のことじゃありませんよ。念のため。それではどうぞ! 西園寺公望!


 ………。


 どうでしたか? この曲。よくない? よくない? これよくない? 僕っちはこの曲の中では、ピアニカしか演奏してないんだよ。


 そりでは、今夜最初のお便り。茨城県にお住まいの、ラジオネーム「ヘルスメイク前健」さんから。


「私は千年に一人の大預言者です。大預言者の常として、受難続きの人生を送っております。

 漫画家として食っていこうとしましたが、食えません。世を恨んでいます。私としては、今は鳴かず飛ばずですが、私は今に、鳴いてやる! 飛んでやる! 血液が B 型なので、 B 級漫画で財を成すつもりです。世間を見返してみせます。私はまだまだ使えます。

 最近平将門の首をよく見かけます。これは、ここだけの話です。将門の顔は、なかなかのものです。

 私は、将門にあやかって勝手に、将棋のタイトル『新皇』を創設しました。私の棋力はだいたいアマチュア八級に少し及ばないくらいです。誰か相手をしてくれる人を募っています。

 最近『ジョロンチョ』なる言葉を神から賜りました。実に功徳ある言葉なので、この番組のリスナーはみんな『ジョロンチョ!』と叫びまくりましょう」


 ……。


 ありゃりゃりゃりゃりゃりゃああ。僕っち、まいっちんぐ。なんちゅうお便りですか。エピソードが多すぎて、バラバラで、しかも意味がよくわかりませんよう。


 やっぱりラジオですからね。僕っちも長年ディスクジョッキーをしてまするけども、ラジオの聴きすぎで「電波系」になっちゃってる人、多いんすよ。このヘルスメイク前健さんも電波系ですね。って、イカン、イカン、今週も失言めいたことを。


 やっぱ僕っち、リスナーからのお便りには、きちんと応えなきゃね。


 まず最初の千年に一人の預言者……これは、本気にしてはバカバカしすぎるし、冗談にしてはつまらない。……パス!


 そのあと、漫画家として成功したい、ってあるけど、とりあえず売れていないからといって世の中を恨まないでほしいな。なんか彼、かなり力んでいるけど、ほどほどにね。自分に期待しすぎるとガッカリするからね。


 そして平将門……誰? パス! なんか知らんが、自治体の保健所に行って、いい病院を紹介してもらうのがいいと思います。


 将棋に関しては僕っちは分かりません。競輪とパチスロに関する事なら、いくらでも相談に乗ります。西園寺公望!


「ジョロンチョ」……。何なんでしょうね。僕っち疲れてきちゃった。とりあえずリスナーの皆の中で、彼の呼びかけに共鳴する人がいたらば、勝手に「ジョロンチョ」とでも「ドロンジョ」とでも唱えててください。


 じゃあ、今夜このお便りをくれたヘルスメイク前健さんには、番組から、中古テレフォンカードとブックオフにて110円で売られていた僕っちのファーストアルバムをお送りしまーす。


 さて今夜は、特別ゲストをお招きしております。デビューシングル『東シナ海のひと』が史上最高売上一千三百万枚を記録しながら、盗作訴訟によって印税がパーになったメタルミッキーのみなさんです。さっきにちょっと会ったけど、メンバーみんなが死んだ魚のような目をしていました。西園寺公望!


 そりでは一旦 CM 入りまーす。


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