第4話 「解読」さんらん都市
その日、世界中の家畜たちは、家畜である事を止めた。
色んな家畜たちが反旗を翻したが、中でも一番荒ぶったのが鶏だ。
鶏はすぐに巨大化!
そして、強大な力を振るって人間を家畜にし始めた!
朝がきたら、一番に起きて我らを鳴いて起こすがよい。
我らが産卵したら、その卵を一生懸命世話するがよい。
我らのとさかはチャームポイント、いい感じになるように色んなクリームを塗って保湿しておくがよい。
家畜になった人間達は、毎日大忙し。
寝る暇もなく働く事になった。
車が忙しく走るのは人間のため?
いいや、鶏のためだ。
電車が忙しく走るのは人間のため?
いいや、鶏様のためだ。
いつも時間を気にして忙しなく生きるのは人間自身のため?
いいや、鶏主人のためだ。
人間達はいつしか飼いならされ、一昔前の自分達が見たらおかしく思う事を、まったくおかしくは思わなくなっていった。
「ねぇ、お父さん僕も鶏になりたい。
かっこいい鶏になって、空を飛んだり、大きくなったり、立派なとさかを生やしたい」
「無理だよ。だって私達は人間だからね」
「ねぇ、お父さん。人間ってなあに?」
今日も家畜になった人間達は、忙しく鶏のために走り回る。
「きみきみ、駄目じゃないか。
卵の温度調節はしっかりしないと、もっと繊細にだね…」
「え? 私、当番のものじゃないんですけど」
「あ、すまん。番号で呼ばないと、やっぱり間違えるな。昔の人間はどうやって顔を見ただけで人間を見分けていたんだろう」