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 というわけで。


 何だかんだと言いくるめて、叔父の流用分はひとまず生活費として受け取ってもらい。

 いつか必ず返すから、という言葉は、景気が多少上向いたことで一度は叶った、が。

 再び不景気で会社が傾き、規模を縮小することを条件に瑛比古さんが出資という形でまた叔父の会社に資金提供した。

(でないと受け取らない、と曄古さんが拒否したので)


 結局子供らが誰も跡を継がなかったので、会社を閉め、分配金として気持ちばかりの金額が返された。

 晩年の苦労が祟ったのか、しばらくしないうちに、曄古さんは突然倒れ、そのまま不帰の人となった。


 お墓参り位行かなくちゃなあ。

 高校の方は、担任が奔走してくれて、何とか卒業させてもらったが、曄古さんが何度も学校へ足を運び、頭を下げてくれていたことも知っている。

 それに、御先祖様から受け継いだ力のお陰で食わせてもらっているのだから。


 ……何気に流してしまっていたが、実は瑛比古さん、結構な霊能力の持ち主だったりする。

 もっとも『見る』『聞く』といった感応力に突出しており、『除霊』とかはできない。

(たまに話を聞くだけで満足して成仏されることもあるが、これって一応『浄霊』?)


 なんで、あまり脅威とならないせいか、祟られることはない。

 面白がって寄ってこられる浮遊霊もいらっしゃるが、結構強めの御先祖様が守護霊に憑いてらっしゃるため、ビックリして遠巻きに見ておられるだけである。

(でも、怨まれるのも何だので、敬語使用)


 その能力を活かして、十七歳の時から、某探偵事務所(興信所とも言う、所長は嫌がるが)で調査員をしている。


 気がつけば二十年越え。

 力のことを知らない同業者からは、独立しても、と勧められたが、一般の調査や事務には出番がない。

(やる気がない、というのが所長を筆頭に所員全員一致の見解であるが)


 子育てに時間を割きたいのでトップは無理。

(既に重役出勤当たり前、所長より自由に休みも取って、影のトップというのが……以下略)


 そんな自由気ままな瑛比古さんが、クビにもならず、たいして高給ではないが減給もされず雇ってもらえているのは、その調査能力の高さゆえ、である。

(所長の弱みを握っているためという噂もあるが、ま、当たらずとも遠からず)


 もう一つ、付け加えるなら、ハルを始めとするお兄ちゃんズの健気さとメイの愛らしさが、瑛比古さんの重心が家庭寄りなのを当たり前、と納得させている。


(さらについでに付け加えるなら、瑛比古さんは年齢より十歳は若く見える、かなりのイケメンで、三兄弟も、それを受け継いでいたりする。なんで、最年少の事務担当のミヨちゃんから、最年長の経理担当の所長の奥さんまで、女性陣は土岐田家に甘い)


 瑛比古さんの仕事については、追々明かしていくこととしよう。


前ふり終了。

次回から本格的に本編です。

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