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異世界医療~転生した医師は異世界を救う~  作者: 天宮龍星
第1章 エルフの森
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Karte1-2 手術開始 「血管縫合及び大腿骨整復術」

俺が処置室へ入ると、アスクレピオスがすでに準備を終わらせてくれていた。


「修哉さん、準備終わってます。軽く検査しました所、頸動脈はまだ大丈夫のようです。切れたのは静脈だったようでとりあえず緊急の止血してあります。」


「頸動脈切れてたらショック起こす可能性もあったからなあ、でも、静脈でも油断はできないな・・・。」

俺がそう言うと、アスクレピオスが一枚のレントゲン写真を取り出した。


「ん?これは患者の大腿部分か?」


「ええ、レントゲン撮影してみたところ、見事に右大腿骨がバッキリ折れてますね。」


「だな・・・。まあ、これならボルトで整復できるだろ。粉砕骨折や複雑骨折してなくて良かったよ」

俺はそう言って患者の真横に立った。

アスクレピオスはその横に、いわばオペ看の位置だ。


「それではこれより、静脈縫合及び右大腿骨骨折に対するボルト接合術を開始します。」


俺の号令と共に、手術が始まった。

その時、スキル「病巣透過」が発動し、切れた血管の位置がより正確に出された。


「切れてんのは・・・鎖骨下静脈か。ルーペくれ」


「はい」

俺はアスクレピオスにサージカルルーペを着けてもらい切れた血管の縫合に取り掛かった。


「きれいに切れてるから縫合が楽で助かるなあ。前の世界では爆撃受けた兵士の動脈がぐちゃぐちゃになってて整復すんの大変だったなあ」


血管の縫合といっても切れ方は様々。裂けるように切れることもあればスパッと切れることもあるし、最悪血管が押しつぶされてるような状況になってることも多く、血管がつぶれてると最悪の場合その部分を切断しなければならない。修哉は、紛争地域に居たこともあり、血管の整復技術は群を抜いて高かった。更に彼は、四肢の切断を極端に嫌いどんなに損傷した血管でも完璧に直して見せ、その上速度も圧倒的であっという間に縫合を完了させた。


「ふう、アスクレピオス、血圧は?」

俺がそう言うと、アスクレピオスは患者のバイタルに異常がないことを教えてくれた。

そのまま、大腿骨の整復手術に取り掛かった。

手早く切開し、骨折したところを見た俺だったが一つの違和感を覚えた。

「うーん・・・。」


「どうしたの?修哉さん」


「いや、見た目若い女性じゃん?何で高齢者が骨折する確率が高い大腿骨転子部が折れてるのかなって。」

大腿骨は身体の全体重を支えるため、非常に頑丈にできている。骨の構造上、外力を受けやすい弱点こそあれど、大腿骨が折れる要因はよほど強い力が加わったかそれこそ高齢者に多い骨粗鬆症が原因だ。なのに、目の前の女性はそこが折れている。修哉は疑問に思ったが、患者の皮膚の傷を見て一つの仮説を立てた。

それは

(クマなどに襲われて命からがら逃げてきた)

と言うことだ。

確かにクマほどの力の持ち主ならば、大腿骨が折れる力が加わったことも、そして鋭利な爪で鎖骨下静脈までの裂傷を負わせることも容易に説明がつく。しかしそれは同時にこの森にはクマのようなモンスターが生息しているということを裏付けることにもなる。


「なあ、アスクレピオス。この世界ってモンスターとか居るのか?」

と聞くとアスクレピオスは


「( ´∀`)bグッ!」

と清々しいほどのグーサインを出した。


「そう言うの早く言えよ・・・」

と呆れた俺だったが、そう簡単に遭遇しないだろうと軽い考えを持ちながら、目の前の患者の治療に当たっていき、無事に大腿骨の整復術を完了させたのであった。

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