~導入③~スキルを得ていざ異世界に
体全体が暖まるような感覚がようやく治まると、アスクレピオスは俺に与えたスキルの説明を始めた。
「貴方にはスキルを2つ授けました。1つは「処方箋」これは患者が最も必要な治療法、治療薬を瞬時に導くスキルです。貴方の得意分野は外科、それ以外の治療も可能になる能力です。」
と1つ目のスキルを解説した。
「それって簡単に言えば歯科医が心臓外科もやれるみたいなもんか?その段階でかなりぶっ飛んだスキルだな……」
一般的には医者は1つの分野を極める為、あれもこれも治療できる訳では無い。しかも、その中で歯科医師と外科などの医師、麻酔科医は免許区分が異なる為、尚更不可能である。
このスキルはその概念をぶっ壊すスキルと言う事だ。
「簡単に言えばそうですね。勿論、腕もそれに合わせて上達させる事が可能なのでどの分野に置いても最高の状態になります。」とここでもアスクレピオスは胸を張り、ドヤ顔を決めた。
少しすると、今度は2つ目のスキルの解説を始めた。
「2つ目のスキルは「病巣透過」これは脳梗塞や腫瘍は勿論、検査で見つかりにくいステージ1未満のガンを見つけるだけでなく、このままの生活を続けた場合の病気になる確率を表示するスキルになります。」
「なんだそのデ〇ノートの寿命が見える目みたいなもん……がん細胞を透過するだけでも検査医が泣くぞ。」
と俺はもはや驚愕を通り越して呆れ顔になった。生活習慣病はある程度の予防こそ出来るものの、ガンは予防は非常に難しい。
特に、膵臓や肝臓は見つけた時にはステージが進行し手が付けられない状態になっとる事が多い。
このスキルは、要約すれば「身体のほんの僅かな以上も見逃さない」更に研ぎ澄ませたこれもぶっ飛んだスキルである。
「さあ、これでスキルは貴方のものです。これから貴方にはアースラで様々な経験が待っていることでしょう。ですが、貴方なら大丈夫。絶対に生き抜いていけます!」
とアスクレピオスは俺にそう言った。
その直後、急な光が俺を襲った。
光により視界は奪われたが聴覚は問題なかったので、アスクレピオスの送り際の言葉を聞くことが出来た。
「さあ、行きましょう!アースラへ、苦しむ人々を助けに、共に!」
ん?
「共に?」