Karte2-8診療所の設備
ナイチンゲールの皆と談笑した俺は、皆に診療所の設備等の案内をする事にした。
俺自身、この診療所がどこまで対応できるか分からないし診療所の設備内容を知りたかったからだ。
この診療所はアスクレピオスの力だろうし、アスクレピオスに聞きながら回る事にした。
「リーフィアの検査って心電図、MRIとエコーやってもらったけど後どんな設備入ってるんだ?」
「常にこれ!とか特定の物が入ってるわけじゃないですよ。」
アスクレピオスはそう言うと、検査室の扉の脇にかけられてる札を指さした。
それは、木札のようで病院ならば必ずある診療科が書かれていた。
「この木札……確か桐崎先輩がいた診察室にもありましたよね?」
春夏はそう言ったのを聞いて俺はその存在を思い出した。しかし、
「あっちはここみたいにこんだけズラっと並んでなかったぞ?」
そう、診察室の扉の木札はこんな桁外れな枚数ではなかったのだ。
俺がそう言うと、アスクレピオスは
「診察室はそのままでその奥の部屋の処置室が変わるようになってるので。」
と診療所のシステムを教えてくれた。その会話に楓が
「ここまで凄い診療所を2人で回してたの?」
「修哉さんに診察を一任して私は主に検査を担当してましたね。一通り検査機器は全て扱えますので。」
と診療所の現状を話していた。
「別にただ診療とかなら俺、アスクレピオス、リーファの3人で何とかなるかもしれないけど、今回は手術内容が複雑すぎて人手がいる。今後も似た様なケースが出ないとも限らないしな。」
「さっきから出てるリーファとリーフィアって誰の事だ?」
和也がそう言ってきたので俺が最初に助けた患者兼医者のリーファとエルフ達の長で今回の患者のリーフィアの説明を簡単ながらした。
「拡張型心筋症と肝硬変のダブルですか……」
「ああ、心臓は検査の結果、移植までの進行では無かったから手術で何とか治るだろう。だが、問題は肝硬変だ。楓さんならどうする?」
「この数値を見る限り、ほぼ間違いなく生体肝移植ね。オペは私が担当するとして、肝臓のドナーは集まってるの?」
「明日から順次、村の人達に説明をして適応するか検査する予定だそうだ。ドナーが見つかれば良いが……」
俺はそう言って険しい顔をした。
臓器移植全般に言える事だが、基本的に臓器提供者は少なくドナーが見つからず手術ができない患者が多いのが前世では当たり前だった。
この世界、アースラではそもそも外科手術の概念が存在しない。輸血でさえ驚愕の表情を浮かべたほどだ。
「前世よりドナーが見つかる可能性は低いだろうな…」
俺はそう呟いた。そんな弱気発言を聞いた楓は
「らしくないわね。彼女の肝臓は手術日まで私が保たせる。だから貴方はそんな顔しないで、どんと構えてなさい!」
そう言って勢いよく俺の背中を引っ叩いた。
「痛いって!楓さん!でもまあ、そう言って貰えると気が楽になるよ。明日には村のみんなに今回の治療法を話して検査受けてもらうよう頼むから、、みんなも協力してな!」
「はい!」
「ええ!」
「おう!」
「はい!」
俺たち4人はそれぞれガッチリと固い握手をし、明日からの治療に向けて動き出すのであった」
「絶対に助けるぞ!リーフィア!」