Karte2-5エルフの長 リーフィア
エルフの住む集落に着いた俺たちは、まずリーファの働いている診療所に行く事にした。話を聞くところによると、リーファはあの日薬草採取をしていた時にモンスターに襲われ負傷したとの事だったので、さぞや心配だろうと思ったからだ。
「修哉先生、ここが私の働く診療所です。」
リーファに案内された診療所は、日本で言う高床式で作られた、これまた見事なウッドハウスだった。
「こう言った家とかって大工とかどうしてるんだ?」
俺がそう聞くと、リーファは
「私達は手先が器用で力も人間の10倍近くはあるのでこれくらいの家なら簡単に作れますよ。」
と答えてくれた。聞くところによると、エルフの武器は長弓で射程距離はそれぞれの個人能力によるが、リーファの様な非戦闘員でさえ射程は軽く800mは射抜く事が出来るそうだ。(江戸時代に使われてた弓でさえ射程は400mなのでおよそ倍である)
「800m先も見えるってリーファ相当目がいいのか?」
「エルフ族は森に住む種族ですからね。遠くを見渡せないと敵に襲われても対象出来ませんから」
「なるほどなー。下手したらリーファが手術する様になったらサージカルルーペ要らないかもな。」
「サージカルルーペ?何ですか?それ?」
「血管縫合とかに使う拡大鏡だよ。ここの長治す時に使うだろうしその前に見せるか。」
「よろしくお願いしますね。あ、後輩達が待ちくたびれてるようですし、入りましょ。」
リーファはそう言うと、診療所の扉を開け先に入って俺たちを迎え入れてくれた。
リーファの帰還を受け、診療所で働いてた人達が一斉に駆け寄ってきた。
「リーファ先生!おかえりなさい!」
「心配しましたよ!薬草採取に行ったきり帰って来ないんですから!」
とリーファの帰還を喜んでいた。中には安堵による涙を流す人も居た。
一頻り(ひとしきり)、歓待を受けたリーファは次に俺とアスクレピオスを紹介してくれた。
「こちらの男性は桐崎修哉さんです。薬草採取の時、ストロングベアに襲われて負傷してた私を治療してくれた医師です。」
「よろしく。」
「そして、こちらの方は創造神アスクレピオス様です。私の命はこのお2人に救われ、出会えなければ間違いなく死んでました。」
「よろしくお願いします。」
俺とアスクレピオスは、それぞれ紹介を受けスタッフ達と握手を交わした。
俺達3人が談笑していると、奥の病室のドアが開き、1人の少女が出てきた。
「おや。帰ってきたのですねリーファ」
リーファに親しげに話し掛ける少女は、幼い見た目ながらも慈愛に満ちた雰囲気を醸し出していた。
「リーフィア様、ただいま戻りました」
リーファはリーフィアと呼んだ少女にお辞儀をした。
「リーファ、この方は?」
俺がそう聞くとリーファは
「この方はこの森の長、リーフィア様です。リーフィア様、この方々は私を治療してくれた桐崎修哉先生と……」
そこまでリーファが言うと、リーフィアは
「お久しぶりです、アスクレピオス様」
と深く礼をした。
アスクレピオスは
「リーフィア、体調はいかがですか?最後に顕現してから1ヶ月ほど経ちましたが」
とリーフィアの体調を気遣った。
「今回は、貴女を治す医師を異世界から連れて来ました。」
アスクレピオスはそう言うと俺を見てリーフィアを治療する事を話した。
リーフィアは驚いた様子で
「治るのですか!?私のこの病が」
と俺に向けて視線を向けた。
俺は
「検査してみないとどんな病か分かりませんけどね。俺の予想が正しければ治せる病です。」
と、淡々と答えた。
「よろしくお願いします。この病のせいで体力が落ちてしまい、狩りにも行けなくて……」
「分かりました。では、検査しますから、外に出て頂いても良いですか?」俺はそう言うと、リーファの診療所を出て、適当な空き地に来た。
「よいしょっと」
俺は持っていたカバンを開いた、すると眩い光とともにあの診療所が姿を現した。
俺、アスクレピオス、リーファは見慣れたが他のスタッフは目を丸くした。
「こ、これは?」
「桐崎さんがカバンを開いたら建物が……」
そりゃあカバンから建物出てくりゃ驚くか……
俺は驚く人達に
「これ、アスクレピオスから貰った神器の力だから。さて、検査の準備するか」
とカバンの正体を明かしてリーフィアを連れて中に入ろうとした時、リーファが2人程連れて来た。
「修哉先生、私とこの2人も先生の治療を見せて頂けませんか?」
「お願いします!」
俺はその言葉に
「俺は良いけどリーフィア様は大丈夫ですか?」
とリーフィア様に聞くと、リーフィアは笑顔で
「私からもお願いします。この2人はあの診療所の中でもリーファの次に技術も知識もあるので2人に新たに知識が増えれば、これ程嬉しいことは無いです。」
と言ってきたので、否定する理由も特にない俺は改めてアスクレピオス、リーファ、リーフィアとスタッフのリーリエとリファエルの面子で診療所に入っていくのであった