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異世界医療~転生した医師は異世界を救う~  作者: 天宮龍星
第1章 エルフの森
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Karte2-4 エルフの森への旅路

エルフの長の容態を聞いた翌日、俺達3人はその長に会うため、森の中を歩いていた。

「拡張型心筋症だったらかなりの大手術になりそうだな……それじゃなくても心臓に疾患があるのは間違い無いだろうし……」


「ですね……間違いなく人工心肺使わないとですから…さすがに私だけだと厳しい所があるでしょうし……」


まだ確定でこそないが、エルフの長は心臓に疾患があるのは明白そうだった。

そんな旅路の中、リーファが


「あのー……お二人が話してる病って何ですか?」と聞いてきた。

そう言えば、この世界の医療は薬等を用いる事が多く外科治療はしたことが無いとリーファが言っていたことを思い出した俺は今回、懸念されている(拡張型心筋症)について説明を始めた。


「心臓って4つの部屋がある事って知ってる?」

その問いにリーファは目を丸くした。

「心臓って血液を送り出すポンプの役割なんだけど、それぞれ心臓内部は弁によって部屋が区画されてるんだ。それぞれ右心房、右心室。左心房、左心室の4つね。」

俺がそう続けるとリーファが


「血液を循環させるだけなら2つの部屋だけで良いのでは?」

と聴いて来た。その問いに少し詰まってると


「人体ってそこまで単純じゃないんですよ。」

アスクレピオスがそう言うと、地面に簡単な人体図を描きながら説明を始めた。


「全身の血管を巡ってきた血液は先日リーファさんが手術を受けた(静脈)を通って心臓の右心房に戻って来ます。その後戻って来た血液は右心室に送られて、その右心室が収縮する事によって血液が肺動脈を通って肺に行きます。ここまでは分かります?」

アスクレピオスの問にリーファは首を縦に振った。


「肺で血液に酸素を取り込んだ血液は(肺静脈)を通って今度は心臓の左心房に入ってきます。その後その血液は左心室に送られて、左心室が収縮して血液が全身に送られる仕組みになってます。心臓はそれぞれが拍動をする事によって、全身の血液循環を可能にしているのです。」

アスクレピオスはそう言うとリーファは


「つまり、心臓の部屋が2つしかないと……」

と唸ってると


「血液循環が上手くいかず正常な機能を保てなくなり、生命活動は厳しくなるでしょうね。」とアスクレピオスは答えた。

心臓の解説を終えた所で俺は今回の病気を説明を始めた。


「今回、懸念されている(拡張型心筋症)だが、全身に血液を送り出す左心室が機能不全を起こして収縮が上手くいかずに拡大してしまっている病だな。原因はウイルス性のが多いんだが、遺伝的な物もある。それと、こいつの面倒な所が一点だけあるんだ」

と言うとリーファがハッとして。


「血液循環の不備で血栓ができる事ですか?」

と恐る恐る答えた。


「その通り。症状が悪化してると血栓が出来ることがある。その血栓が脳や心臓に達すると(脳梗塞)や(心筋梗塞)といった合併症を引き起こすんだ。そうなると危険すぎる。脳梗塞は後遺症が残れば麻痺や言語、記憶障害を引き起こすんだ。そうなる前に治療しないとな。」


そう言うと、俺達3人はまた、長に会うため旅路を歩き出した。

2時間くらい歩いただろうか。一際大きな木が視界に入った。


「修哉先生、見えてきました!あれが私たちの住処です!」

リーファがそう言った。更に進むと門番の様な出で立ちをした女性2人が立っていた。


「ここに何の用だ?」

門番らしき人は俺を怪しむ様な視線を向けたが、

リーファが間に入って説明してくれたので難なく入る事が出来た。

(因みにその時もアスクレピオスを見た途端五体投地で謝ってきた時は失礼ながら笑いかけたのは内緒だ。)


リーファたちが住んでいる所は、ウッドハウスが建ち並ぶ村のようだった。子供達が駆け回り、活気に溢れてる感じだ。ただ、周りの人が皆女性であることを除けば。

俺はリーファに


「なあ、リーファ。男性が見当たんないんだが?出稼ぎとかか?」

と聞くと


「エルフは女性だけですよ。男性は居ません」

とサラッと答えた。

子供作る時は?と聞くと、強い精を求めて人里まで降りるそうだ。


「因みに、強い精は知能が優れてたりするのも含まれるので、先生。気をつけてくださいね?」


ん?何を気をつけるの?

流石に夜這い的なのはしてこんだろ?

え?ねぇ、そうだよね?リーファさん?

何で答えないの?ねえ!?


一抹の不安を覚えた俺は

(さっさと治療しよ)

と気持ちを切り替えざるを得ないのだった。

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