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異世界医療~転生した医師は異世界を救う~  作者: 天宮龍星
第1章 エルフの森
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Karte1-5 弟子入り希望

「お願いします!!私に貴方の医術を教えて下さい!」


治療内容を話してると、リーファが突然そんな事を言ってきた。


「ダメだ」

俺は即答した。


「何故ですか!?お願いします!その医術を学べれば、沢山の命を救えるんです!お願いします!」

リーファは一歩も引かず、頭を下げ続けた。

リーファの想いは伝わっていたが俺にはどうしてもリーファの現状では教えたくはなかった。


「今のリーファの状態で教えることは出来ない。今回君に施した治療は基本立ちっぱなしだ。今の君は大腿骨が折れてて立つことなんて不可能だ。そんな状況で医術を教えることなんて出来ない。」


「そ、そんな……」

絶望しているリーファ。だが俺は構わず


「今の状態では無理なだけだ。まずは怪我を治せ。しっかりリハビリをして日常生活を送れるようになってから、その考えが変わってなければ教えるよ。」

そう言って俺はリーファの頭に手をポンと置いた。

すると、リーファは顔をパァァと輝かせ


「ありがとうございます!」

とまた頭を下げた。

そんなリーファのいる病室を出て、部屋でカルテを作成してると、アスクレピオスからこんな事を言われた


「修哉さん、何であんなまどろっこしい言い方したんですか?最初から教えると言っておけば……」

俺は、アスクレピオスに

「今、リーファは歩ける状態ではない。そんな状況で教えても最高の状態にはならんだろ。それに無理に動いて後遺症残したりなんてなったらシャレにならん。」

と答えた。

実は、ナイチンゲール時代にも現地の医師から医術を教えて欲しいと懇願されてきた。

その度に俺は

「今は目の前の患者を治せ。それが終わらなきゃ教えん!」

と患者第一で動いていた。今回は、それをリーファに当てはめたのだ。


「俺達は患者が居るから成立つ仕事だ。患者に対しては常に1番で動かないとダメだ。」

それは俺の師匠である榊忠嗣(さかきただつぐ)の言葉だ。

師匠は、俺が研修医だった時からありとあらゆる医術や患者との向き合い方を時に厳しく、時に諭して教えてくれ、今の医者としての俺を作ったきっかけを与えてくれた人だ。

前の世界で俺が居た医療チームも師匠から受け継いだ物だ。

そのチームでの絶対的なルール

「医者としてあるなら、捨てる命など1つもない。だが、地球上の生命全てを救うのは不可能。ならばできる事は目下(もっか)の患者を救うのが何よりも最優先にせよ」

俺は最初聞いた時「長いな」と思った。だが、ナイチンゲールとして活動していくとむしろ「もっと長くてもいんじゃね?」と思う様になる時もあり、これも活動時に色んな経験を積んだからこそ言えることなのだろう。

恐らく、有名な大学病院等に就職できた方が安定は出来るだろう。

だが俺は、安定よりも冒険だ。大学病院を貶すわけでは無いが、紛争地域(あそこ)は医者として、人として成長出来る場所だと俺は思っていた。

「本当なら、加入時より少しは成長出来たかもしれない俺を見せたかったなぁ……師匠より先に死ぬとか親不孝みたいな事したなぁ」

俺は、過去の世界で師匠に伝えられなかった事を考えながらカルテをせっせと作成していくのであった。

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