第8話 準備
本日あと1話投稿予定。
それからは猛勉強の日々になった。
俺の担当する予定の村の地理や文明の発達具合を調べてもらった。
もらったというのは、実はこの会社の人全員異世界人なのだ。
この会社は異世界と地球が繋がっている扉がある場所に建てられ、管理をしているそうだ。
その扉は人しか通さず、物を持ち帰ろうとしても無理だったらしい。
担当の村はとにかく文明が低く、道の整備もやっていない。
周りを木の柵で囲んだ簡単な作りになっている。
襲ってくる魔物はダンジョンの中にしかいないが、田畑を食い荒らす動物はいるということだった。
俺の強みはこの地球で知識を得られることだ。
この強みを生かし、自宅に帰ったときに必要な知識を頭に叩き込む。
本を持っていければ楽だが、物は持っていけないので自分で覚えるしかない。
まず俺が必要と考えたのは、インフラの整備だ。
魔物は出ないものの、盗賊は出るらしいので素早く安全な移動は望まれている。
石畳で道を整備しようと考えたので石の加工はできるかとリーシャさんに確認すると、魔法でどうにかできるそうだ。
細かい作業は鍛冶師などの職人が必要だが、石をカットするぐらいなら簡単だとか。
王都の町には石畳が使われているが、道には使われていないとか。
石の加工を調べてみたが、正直自分には無理だと思った。
魔法万歳である。
食料事情は豊かではないが困らない程度で、村の近くに家畜や畑をやっているところがあるみたいだ。
お米もあるらしいので日本人としてはとても助かる。
とある日俺はリーシャさんに質問をする。
「ダンジョンに人を集めればいいんですよね?」
「はい。簡単にいうとそうです」
「もし人が多く集まったときの対象は?」
「それもお任せします。資金の援助のみだと思ってください」
「人材は?」
「基本的に野村さんと同じ境遇の人のみ派遣予定です」
「最初から俺一人ですか?」
「最初は私も同行しますし、定期的に村の視察も入ります」
「成功しなかった場合は?」
「部署の異動が考えられます」
仕事ができなければ別のところに回されるらしい。
「わかりました。あとは現地に入ってみて判断します」
「了解しました。それでは明日現地入りですね」
「はい。それでお願いします」
ついに異世界への出張の日が明日に決まった。
村の魔族たちと協力しての作業が不安ではないと言えばウソになるが、それ以上にワクワクしていた。
何故ならば、身体能力の向上に合わせて魔法か技法どちらかが使えるようになるそうだ。