第7話 決断
衝撃の真実告げられ、しかも自分の今までの生活を捨てなければならないという話を聞いて俺は‘‘ワクワク‘‘していた。
この仕事に応募したのはやけくそだったが、心の奥底では非日常を求めていたのだろう。
その証拠に俺の心はもう固まっていた。
「村の開拓か」
資料には異世界のことが詳しく書かれており、俺の本当の仕事内容が記されていた。
「雇用主は魔族で、その魔族の運用しているダンジョンを繁栄させること」
村の開拓は嘘ではないが、その村にあるダンジョンを盛り上げてほしいということだった。
魔族はダンジョンからエネルギーを得ているため、これが最重要の仕事となる。
では魔族の異世界での立場はどうか。
別に悪者ではないらしい。ダンジョンからエネルギーを得ているといっても魔族がダンジョンをどうこうしているわけではなく、魔族にとってダンジョンから出るエネルギーは酸素のようなものらしい。
なのでダンジョンに出る魔物とかは別に仲間ではない。
しかしダンジョンはあればエネルギーを発してくれるわけではなく、人間が中で活動する必要があるらしい。
魔族には発せないエネルギーがあるらしく、それを人間に使ってもらうことでダンジジョンが活性化するのだとか。
魔王もいるが人間とは基本的に仲が良く、ダンジョンの活性化に協力してもらっているほどだ。
ただ魔族を嫌う宗教があるらく、一部だがトラブルになるときもあるそうだ。
俺の役目はその村をあげてのダンジョンの活性化というわけだ。
都会のダンジョンは賑わっているものの、村規模のダンジョンは過疎化が進んでいるらしい。
「とりあえず呼ぶか」
少し落ち着いて、腹はもう決まっているのでリーシャさんを呼びにいく。
「リーシャさん!」
「もういいのですか?」
「はい!」
「わかりました」
オフィスの自分の席に座っていたリーシャさんを呼び、再び会議室に入る。
「決断が早いですね。決まっていたんですか?」
「はい! この仕事に応募する時点で決まっていたのかもしれません」
「そうですか。では答えを聞かせていただいてもよろしいですか?」
「はい! 俺はこの仕事をやりたいです!」
「そうですか……」
リーシャさんは少し間を開けてから語りだす。
「ここまでご家族のことは聞いていませんでしたが、それも考慮しての判断ですね?」
「はい! 問題ありません!」
俺がはっきり答えると、リーシャさんの真剣な顔が崩れて柔らかいほほ笑みに変わった。
「ありがとうございます! よろしくお願いします!」
これで簡単に後戻りができなくなった。