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第6話 真実

「はい?」


「理解できないのもわかります。一度時間を置いて考えましょう」


「そ、そうですね」


俺は今リーシャさんから‘‘本当‘‘の説明を受けていた。

渡された資料を見直す。


「異世界……」


「はい。これに関しては現地に行ってもらわないと理解は難しいと思われます」


今日は詳しい説明をと言われ会議室に入ったが、突拍子もないことを言われた。

‘‘海外‘‘ではなく‘‘異世界‘‘への出張だと言うのだ。

この異世界というのがミソらしく、単純に海外とは大きく異なるらしい。

異世界に行くと体が異世界に染まってしまうらしい。


どういうことかと言うと、主に身体能力がとんでもなく上がるためこの地球では‘‘人間‘‘の枠から外れてしまうのだとか。


「‘‘人間‘‘というより‘‘地球人‘‘をやめることになるので、この地球では暮らしにくくなります。まぁ能力を隠して生きていくなら大丈夫ですが、バレたら話題になるのは間違いないですね」


「ん? バレたら何か不都合でも?」


「どこかの国に拉致される可能性があるので、国に守ってもらう必要が出てきます」


研究対象になるというのだろう。


「もしかしたら母国に捕らえられるかもしれませんよ?」


「人権があると思うんですが……」


研究の興味深い対象になるとはいえ、人権は守られるはずだ。


「少なくとも今まで通りの生活は無理でしょう」


確かに想像はつく、世界トップのアスリートをおじさんがいきなりぶち抜くのだ。


「会社は守ってくれないんですか?」


「社外秘なのでまずその情報を出さないようにお願いしますね。その上で会社が提案できるのはこの会社の付近で暮らすか、異世界に住んでしまうかですね」


「この情報をもったままやめることはできるんですか?」


今までの生活を完全に捨てるとなると躊躇する。

三年後には元の生活に戻れると思っていたのだ。


「できません。こちらでその記憶を消去させていただきます」


「ど、どうやって」


「魔法で消します」


「魔法?」


「はい、資料に魔法・技法の説明が載ってますよ」


目次ページを見てみる。


「本当だ」


「そちらも含め‘‘会社内‘‘で資料を読み込んでください。外に出ると異世界に関する記憶は思い出せなくなりますから」


「さっきのが魔法だったんですか?」


「はい」


朝出勤してこの部屋に入った時に目を閉じて何かされたが、あれが魔法だったのだろう。


「辞めるなら今ですか」


「はいそれが一番かと、異世界にいけば体はもう元には戻りません。今なら記憶の削除だけで済みます」


「この会社で働き続けることのメリットはなんですか?」


「あえて言うなら非日常が味わえますよ。さらに基本は生涯雇用です」


こんな重大な秘密を外に出さないためだろう。


「現場や実務が難しくなったらどうなります?」


「異世界で済むか、会社の用意した施設での生活になります」


老人ホームのようなものだろうか?


「その施設はどんなところですか?」


「高級マンションになります」


想像していたのと違った。


「ただ、そのマンションには病院や様々なお店が入っていますので外出は極力控えてもらいます」


「外に出れないんですか?」


「出る場合許可を取って監視員が同行します」


徹底されているらしい。


「わかりました。少し考えたいので一人になってもいいですか?」


「わかりました。では落ち着いたらお呼びください」


リーシャさんは会議室を出る。


俺は‘‘ワクワク‘‘しながら資料を読み込むのだった。

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