第2話 会場
面接の日の朝。緊張はしているものの、大学の時に行った就活の時に感じたプレッシャーがなかった。
「俺も成長したか? いや違うか、落ちてもいいと思ってるな」
そう面接という部分での緊張感はあるが、海外派遣など受かるわけないと思っている自分がいるのだ。
それに加え今回の応募は、半ばやけくそ気味というのもある。
そうこうしてるうちに面接のある本社についた。
会社の大きさとしてはあまり大きくない……遠慮なく言えば小さい方だろう。
「タクシー使うとはな!」
場所は電車が通っていなく、バスを使い通勤する場所のようだ。
ど田舎ではないが、少しアクセスが不便なところがある。
当日は遅刻をしないように、早めにタクシーでの到着だ。
「時間つぶすか」
近くのカフェに入り、時間を潰す。
面接の時間が近くなったので、会社へ向かう。
正面玄関から入ってすぐに立て看板があった。
「御用の方はインターホンにてお呼びください」
受付はなく、インターホンでの呼び出しのようだ。
さっそく呼び出してみる。するとすぐに反応があり、上から人が下りてくるようだ。
しばらくするとエレベーターの方から人が出てきた。
社員証をゲートにかざして出てくる。
「野村様ですね」
「はい。野村雅と言います」
さすが海外派遣会社というところか、褐色の美人系お姉さんが出てきた。
「お待ちしておりました。わたくしリーシャ・クロイツェフと申します」
丁寧挨拶をしてもらった。
適当な心構えで来てしまった自分が恥ずかしくなる。
「ご丁寧にありがとうにございます! 本日はよろしくお願いします!」
慌ててこちらも挨拶を返す。
「それでは、本日の面接会場にご案内致します」
そういって美人のお姉さんが中へ通してくれる。
エレベーターに乗り上へ向かってフロアに下りると、ロの字型になっているであろう造りになっていた。
「こちらへどうぞ」
面接と言えば、こちらが部屋に入るときには既に面接官が待っている形だと思っていたが、部屋の中には誰もいない。
「ではしばらくお待ちください」
案内をしてくれた美人さんは黒髪を揺らしながら退室した。
こちらが待つスタイルは初めてなので不意に緊張感が出てきた。
喉が渇いたのでコンビニで買ったペットボトルから水分補給をする。
五分程度待っただろうか、部屋のドアをノックして面接官が入ってきた。
「野村雅様ですね。本日は我が社をご希望下さりありがとうございます」
面接官は黒髪できりっとした風貌の眼鏡をかけた若い男性と、先ほどの美人さんだった。