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第18話 ダンジョン

「これで合ってますか?」


「はい! 似合ってますよ!」


「ありがとうございます! でも思ってたよりも軽いんですね」


俺は今装備に身を包んでいた。


「重いと探索に向きませんから」


何をしているのかというと、魔物の出るダンジョンの視察だ。

防具などを付けたが、動きやすさ重視で人間の急所となる部分をピンポイントで守るような形だ。


「前に出る前衛なら全身鎧もありますが、長い探索には向かないのであまりいませんよ?」


「へ~。その方が生還率いいんですか?」


「はい! 冒険者は危険なお仕事なので、皆さん余裕を持ったダンジョン攻略をしますよ」


「そうなんですね」


毎回毎回ギリギリの冒険をしていたら、命がいくつあっても足りないのだろう。


「そういうものです、ふふっ! もっと激しい冒険を期待していましたか?」


「正直命を賭けるお仕事というイメージだったので」


「その認識は間違っていませんが、頻度の問題ですね」


「頻度?」


「時には命を賭けて戦うこともあるんですよ?」


「え! どういった時に命を賭けるんですか?」


「村を襲う盗賊だったり、たまにスタンピードもありますね」


「盗賊に、スタンピード……対策を考えておかないといけませんね」


「ふふっ! こういった小さい村では起きませんが、そうですねこれから野村さんが村を大きくしたら起こるかもしれませんね」


「そうですね」


リーシャさんは真剣に悩む俺を微笑ましそうに見ている。


「おいおい! お二人さん! イチャイチャはそのくらいにして出発するぞ!」


「あ、すみません」


俺とリーシャさんが話し込んでいるので、今回ダンジョンの案内兼護衛役のダンさんが声をかけてきた。

ダンさんは、ドワーフで斧を武器に戦う。普段は畑に鍛冶仕事をしているらしい。


「それでは皆さんよろしくお願いします!」


「お願いしまーす!」


元気よく返してくれたのはエルフのリリエルさん。

見た目は少女だが、年齢を聞いてはいけないらしい。


護衛をしてもらってだが、初めてのダンジョン探索が始まった。



「そこは任せた! 後ろだけは取られるなよ!」


「こっちは終わった! 助けはいるか?」


「いらねぇよ!」


「了解!」


「兄ちゃん! 最後の一匹だやってみな!」


冒険者ではなく各々何かの職人だったり、ただの村人のはずだが……

何故か歴戦の戦士に見えてしまう。


「行きます!」


俺は促されるまま、異世界定番の雑魚モンスター、ゴブリンに剣を振り下ろす。

肉をザックリ切り裂いて、硬いものに食い込む感触が手に伝わる。

リアルな感触とは裏腹に、ゴブリンはまるで夢のように粒子になって消えていった。


「やるじゃねえか!」


ダンさんが褒めながら背中を叩いた。

俺は必死に我慢していた吐き気が解放されるのを感じる。


「汚ねぇ!」


お前が止めを刺したんだろと思いながら、自分でも汚いと思った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 軽くて丈夫で長持ちな素材じゃないと 長時間探索には向かないってかキツイわな
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