第13話 作業
赴任二日目。
俺はせっせと働いていた。
「なんかアデル様だけ働かせているようで申し訳ありません」
「ふぅ、何! 妾しかできるものがおらんからな! 気にするな!」
いや、働かせてた。
しかも上司を動かすという、部下としては申し訳なさいっぱいである。
ちなみに俺の魔王軍での階級は最低の位置だ。
制服のラインの色で決まっているらしく。
白→6級
緑→5級
青→4級
ピンク→3級
赤→2級
金→1級
赤の制服に金ライン→将軍
魔王→№1
といった感じだ。
ちなみに1級とかの階位はなく、基本色で呼ばれるらしい。
魔王の妹さんは制服ではなく、オリジナルの服装なので魔王の血縁は特別ということだ。
「アデル様! もう少ししたら休憩しましょう!」
俺は頑張っているアデル様に休憩を指示する。
「了解じゃ! やり方はわかったからお主は他のところに行ってもよいぞ?」
「わかりました。 しかしこの仕事が一番重要ですからたまに見に来ますよ」
そういって俺は村の方に戻る。
アデル様にしてもらっているのは、道の掘り起こし作業である。
石を敷き詰めるので、そのための穴や邪魔な石の撤去である。
この作業は相当魔力を使うらしく、普通の魔族では長く作業ができなかったのである。
魔力が強くて多いアデル様の仕事となった。
村のに戻ると、広場の方で大人数が作業をしていた。
こちらは最初に俺が指示して作らせた石をサンプルに、同じサイズの石をいくつもカットするという作業をしていた。
石に向かって魔族の人たちが風魔法を放っている。
「どうですか?」
「順調といえば順調だな?」
この作業の監督を任せている男性魔族、デイブさんから報告を受ける。
「一時間で100個といったところだ」
「なるほど」
風魔法は鋭くカットした面が結構綺麗になるが、石にぶつかると消えてしまうため一気に削ることができなかった。
時間はかかるができた石をロープで長さをとり、同時並行で作業を進めている。
「最初は隣町までを目標に、最終的には王都まで繋ぎましょう」
人が一番いる王都からの冒険者を呼べれば一気に状況が変わる。
「王都までか流石に無理な気がするが……」
デイブが正直な感想を言う。
「確かに今のままでは無理でしょう。でもそれを可能にするのが俺の仕事なので心配しないでください」
「ふっ! えらく自信があるじゃねえか!」
「自信というより、今はやる気がみなぎっているんですよ!」
「そうかそうか! そりゃよかった」
この現場も大分安定して作業をしているのでデイブさんに任せ、俺はもう一つの現場に向かった。




