第11話 計画
「インフラ整備?」
「はい! 交通の利便性は必須条件です。それに加え冒険者のターゲット層を絞りましょう!」
「ターゲットを絞る?」
「はい。聞くところによると一番冒険者の集まるところはやはり都市。しかし実力者も新人もみな同じダンジョンに潜るというではありませんか!」
「そうだな、他の町では長く活動するメリットがないからじゃな」
「そう! そのメリットです!」
「メリットを増やすのか? どうやって?」
アデル様もそういったことは考えていたのだろう、今更何ができるという表情である。
「都市ではなく、町を拠点にしている冒険者の特徴はなんだと思います?」
数は少ないが、町を拠点にしている冒険者はいるのだ。
「都市で競争に敗れた連中だろ?」
「そうですが、新人ですら最初は都市のダンジョンから始めます。ある程度経験を積んだ彼らは新人には負けていないはずです」
「それはそうだが、都市では稼げないからではないか?」
「違います! 都市よりも町の方が稼げるからなんですよ!」
「何? ダンジョンの活気がある方が魔物の素材もよくなるのにか?」
「はい! 町は新人が来ない上に冒険者が少ない。つまり独占できるんですよ」
「そうじゃな……独占で冒険者を呼ぶのか? それでは数が少なすぎるのではないか?」
「細々とやっていくならそれでもいいでしょう。しかしこの村は環境が悪い上に、都市から離れています。独占できるといっても人が住みたい処ではありません」
「はっきりと言うのう!」
「すみません、打開策を打つ予定なのでご安心を」
「何をするのじゃ?」
「単純です! 豊かにすればいいのです!」
アデル様はポカーンとしている。
「リーシャ、こやつ大丈夫か?」
「ふふっ! 大丈夫ですよ。野村さんの計画は事前に聞いております」
「インフラ整備とか言っておったが資金はどうしたのじゃ?」
「大丈夫です! 異世界の方を招くプロジェクトは魔王様発案の計画です。予算もいただきました」
「なるほど、期待していいのじゃな?」
「大丈夫ですよ。まぁ環境面は整えるとして、一つ問題があります」
「なんじゃ?」
「宣伝です!」
「宣伝?」
「環境がととのってもこの村の評判を広めなければ人はきません!」
「なるほどのう。気づかんかったわ」
「まぁそこは俺が調べますので、アデル様は村の整備をお願いします」
「わかった。兄上の計画ならば信じよう」
村の開発計画が始動した。