第10話 村長
「はじめまして、今回派遣されることになった野村雅といいます」
俺は村の村長に挨拶をしている。
「うむ、苦しゅうない!」
なんかめっちゃ偉そうだった。
村の村長とはこの世界で地位が高いのだろうか?
いや、もっと大きな都市があると聞いたし、過疎化している村の長の権力などたかが知れているはずだ。
「こちらはアデル・イブリース様です。魔王様の妹に当たります」
なんと! 魔王の妹のようだ。偉そうなわけである。
服装は完全にゴスロリだ。
「それはそれは、なんとお呼びいたしましょうか?」
「アデルでいい!」
「アデル様これからよろしくお願いいたしますね」
「ふむ。異世界から来ると聞いて、どんな奴かと思っていたが礼儀をわきまえてるではないか」
「ありがとうございます」
失礼をしないか心配だが、こんな感じでいいらしい。
「それでは早速会議をしましょう」
リーシャさんが部屋の中へ促す。
「妾は楽しみだぞ!」
アデル様は小さくて子供に見えるが、顔の面影に聡明さを感じる。
なんといえばいいのか、色っぽさを兼ね備えているとう感じだろうか。
しゃべる姿は子供なのだが、不思議な雰囲気を持っている。
「こちらです」
少し進んだところに部屋があり、その中へ入る。
この家は村の中でみる限り一番大きいので、村長の家なのだろう。
「それではまずはこの村の現状をお話し願います」
「うむ」
アデルが村の状況を話す。
冒険者があまり多くないことで村の拡充は絶望的であり、とにかく冒険者を集めることに少しでも力をいれているらしい。
冒険者ギルドを運営できるほどの規模でもないため、ダンジョンに潜る利便性がかなり低く改善も今のところ見込めていない。
端的に言ってダンジョンを腐らせているただの村になっている。
「このままだとこのダンジョンの投棄をしなければならんな」
「投棄?」
「全員引っ越すということじゃな」
「それではダメなんですか?」
「少しならば問題ないが、村規模になるとあまりいい顔はされんな」
ダンジョンのエネルギーは無限ではないのだ。
「だからできるだけダンジョンはうまく活用したいが、利用する冒険者がいないのではな……入場料も格安にしたのだがな」
「入場料?」
「ああ、ダンジョンの管理もしなければならないからな」
「管理? ダンジョンの魔物はコントロールできないのでは?」
「冒険者がいないとスタンピードが起こる可能性があるんじゃよ」
「というと?」
「定期的に間引きをしなければならんのじゃ」
間引きは近くの町の冒険者ギルドに頼み、有料で行ってもらう。
「どうじゃ? 何かアイディアはあるか?」
「はい! 条件次第では行けると思います!」
俺は事前に用意していたプランを話し始めた。




