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明智小五郎(あけちしょうごろう)の事件簿3  作者: 鮫田鎮元斎
Part1 何気ない日常は突然壊れます
7/13

7 伏線は必ず回収されます

 家の前に、雨宮 レイナがいた。


「降参する気になったか?」

「残念でした。また勧誘に来たのよ」

「よく言うぜ、4人中1人は未遂で終わらせたぜ? しかも犯人は捕まった」

5()人よ。なにか重要なことを忘れているんじゃないかしら?」


 思い出した。デモンストレーションだ。こいつは計画を実行させる前に、準備として殺させるんだ。自分が動きやすくなるように。


「異常を察知せず、何もしなかった、教師を殺させたのか……?」

「あっれ~? 邪魔するんじゃなかったのぉ? ぜんっぜんうまくいってないんじゃないぁい?」

「っ……!」


 気づけるか。てか気づかせないように動いているだろうが。

 が、今回は完全にしてやられた。完敗だな……だって。


「最後は、お前も想定外だったろ」

「……まさか、あの子にあんな根性があるとは、思っていなかったわ」


 何のひねりもなく、不意打ちで襲う。念入りに計画を練って犯罪を行っていた人間がそんなことをするだろうか。いや、しない。つまり、思い付きだったんだ、最後の犯行は、な。


「そんなことより、どう? ちょうどいい機会だし私と一緒にならない?」

「どこがいい機会だ。お断りに決まってんだろ、俺は年上はあんまし好きじゃないもんでね」

「その割に、大家さんとはずいぶん仲がよろしいようだけど?」

「それとこれとは別だ。姉みたいなもんだしな」

「…………殺しておけばよかったかしら、あの女」


 ぞっとした。

 忘れはしないがこいつは狡猾な犯罪者だ。今はそうでないが、いざとなれば自分の手を汚してでも望みは果たすだろう。


「でも、いいわ。きっと私のところへ来たくなるはずだもの」

「……どういう」

「――――あの、お取込み中失礼します」


 眼鏡をかけた中年のおっさんに声をかけられた。

 あいつは自然といなくなる。


「明智五郎さんの契約している部屋はこちらでお間違いないですかね?」

「ええ、今は息子の私が管理していますが」


 俺が名刺を渡すと、彼は眼鏡をずらして読み取ろうと苦労していたが、あきらめてポケットにしまった。


「申し遅れましたが、ワタクシ亀津 猪三と申します。このたびこのアパートの管理人を引き受けましたのでご挨拶に上がりました」


 新しい管理人……?

 てことは薫はここの権利を手放したということで。

 つまり……。


「聞くところによると、家賃を何か月も滞納したことがあるとかで」

「……」

「そんなことさせるつもりはありませんのでどうかお覚悟を」


 まてよ……。

 どうなってんだよ……。

 なんでこんな急に、いやそんな兆しはあったな。

 最近、やけに食事に招待してくれたり、外食に誘ってくれたり、もし自分がいなくなったら系の話を切り出して来たり。

 

 てか、待て。このままじゃ家賃滞納したら追い出されるぞ。

 名前からしてその辺のことに厳しそうだし。

 いったん父さんにも相談したいが……。


 ――――RRRR


 おい……まさか。


「はいもしもし」

『おう、俺だ。なんかやばそうだって予感がしたんだが……気のせいだよな?』

「気のせいじゃない。本当にやばいんだよ。大家さんが変わって、家賃即払いになりそうなんだ」


 電話の向こうがやけに静かだ。つまり父さんも本気でやばいって推理した結果電話したんじゃないだろうか……?


『机の下見てみろ。金庫があるだろ? そこにお前名義のクレジットカードが入ってる』


 ヱ!?

 クレジット!?

 いわれたとおりに机をどかしてみると、本当に金庫があって、言われた通りの番号を入れて開けると、あった。しかもゴールドカード。本物の。


『一応作っておいたんだが、使わんと思ってな』

「どうして言ってくれなかったんだよ……?」

『忘れてた』

「っざけんなクソジジィッ!!」

『て、いうのは嘘だ。渡してあったらたかられるだろ』


 おっしゃる通りです、はい。


『とりあえずそれ使って薫ちゃんに会って来い。数少ないお前の友達だろ?』

「ってもどうやって」

『俺の友達の連絡先教えてやる。あとはがんばれ』


 携帯電話の番号を言うと切れた。

 ひとまず、カードがあるから当面の生活費は大丈夫だろう。

 俺としてはもうこれだけで十分だが、言いつけを守らなかったらカードを止められてしまうだろう。

 まずは、教えてもらった番号の人に電話をかけた。

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