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前崎市に引っ越してきてから4ヶ月が経ったが、この2DKの部屋で静かに暮らしていた日々がとても懐かしく思う。


引っ越してきた当初、部屋にはテレビや冷蔵庫など、生活する上で必要最低限の物しかなかったが、そもそも人一人の生活なんてとてもシンプルな物である。派手さなんか必要ない。4ヶ月経った今も、その考えは変わっていないし、これからも変わることはないだろう。

駅近くの場所にも関わらず、案外人通りもまばらで、これなら静かで平穏な日常が過ごせると、当初は割と良い印象だったこのアパート。


しかし今はどうだろうか。


部屋は無造作に散らかっており、小説やCD 、TVゲームやフィギュアなど、雑多なもので溢れかえっている。壁に貼られた理解しがたい模様のタペストリーは、この部屋でもっともナンセンスな雰囲気を醸し出している。そのほとんどは私の所有物でなく、誰かが、否、彼女が勝手に部屋に持ち入れたもので、既に放置しはじめてから半月あまりが経過している。


どうしてこうなったのだろう。


前はもっとシンプルだったはず。


もはや統合性を求めることを諦めた私は、今はそれらを眺めながら、キッチンの換気扇の下でタバコをふかしている。ああ、無情。


「ねぇ先生」


私は声の方を向く。


「何か飲み物ある?目が覚めそうなやつ」


先程から炬燵に入りながら、なにやら参考書とにらめっこをしている園崎莉緒そのざきりおがそのまま視線を変えずに話した。


コイツという奴は…。


私は半ば呆れ気味に話す。


「選択肢はいくつかあるが、一番ベターなのはコーヒーだ」私は煙草の火を灰皿で揉み消した。


「正直、私が君にここまでする必要性は無いのだけれど、まぁいい。インスタントで良ければ淹れるけど、どうする?」


「あ、じゃあお願いします」園崎がこちらに微笑む。「先生大好き」


私は水をいれた薬缶をコンロにかけて、お湯が沸くのを待ちながらぼんやりと園崎を見つめていた。

彼女は先程と同じく参考書を見ながら、時折、うーん、うーん、と唸っている。彼女は学生服のままであったが、ということは学校が終わって直ぐにここへ来たということか。



園崎と初めて会ったのは彼女がまだ小学生にも満たない頃、おそらく彼女は覚えていないだろう。親の後ろに隠れて話す彼女は人見知りというか、大人しそうな子だな、というのが私の印象だった。しかし成長した彼女と接する内に、そのイメージも随分変わってしまった。

彼女も高校生になり、年相応の女の子だということがわかったからだ。お洒落にも気を遣うし、化粧もする。元々整っている顔立ちなので、化粧をする必要などない気もするが、それでも化粧映えした彼女は美人であり、とても目立つ。

今日は学校帰りだからかもしれないが、化粧はしてない。流石に学校へはしていかないのだろうか(いや、彼女のことだ、たまたまだろう)。

肩に届くまでに伸びた髪は、今は焦茶色に染まっている。彼女はドイツ人のクォーターなので、私はそれを地毛の色だと思っていたのだが、どうも違うらしい。以前聞いたときに、茶髪に染めていたが担任に注意され黒に染め直したと話していた。全然茶髪のままじゃないかと思ったが、無邪気に笑いながら話す彼女は茶目っ気たっぷりで、とても可愛らしかった。

びくびくしながら話す、あの頃の面影はもうない。常に自然体であり、むしろ少し喧しいくらいだ。


彼女が着てきたと思われる赤と黒の鮮やかなチェックのコートが、今は綺麗に畳まれ、そばに置いてある。そういった律儀さというか、見た目とのギャップが彼女の魅力のひとつである。

難しい表情で参考書を見つめながら、時折、思い出したように炬燵の上のテーブルに広げたノートにカリカリとペンを走らす。彼女のそんな姿がとても微笑ましい。


壁に掛けられたカレンダーに目をやる。今日は11月23日。今年も、残すところ1ヶ月と少々である。


そうか、そろそろ期末テストの時期か。

薬缶を確認し、お湯が沸くのにまだ時間が掛かりそうだったので、私は新しい煙草を取り出してそれに火を点ける。

慣れ親しんだ仄かな甘い香りを楽しみながら、煙を吐き出す。高校生は大変だな、天井を見上げながらそんなことを考えた。


「あぁ、もうダメ、全っ然理解できない!」


急に声がしたので驚いてそちらを見てみると、園崎がテーブルに顔を突っ伏していた。その手には参考書が握られていたが、ワナワナと震えている。表情を確認することはできないが、おそらく何らかの理由で彼女は激情しているのであろう。この状況から察するに、その手に握られている参考書が重要なキーであることは明白である。


「理解出来ない事柄の多くは、対象よりも、それを受け入れようとする自身の方に問題があることがほとんどだよ」私は煙草の灰を灰皿に落としながら話す。


「その参考書は数学のものだね。数学は基礎が特に重要だ、一朝一夕では身につかない。君、これまでサボっていただろう?」


「でもね、先生。私だって好きでサボっていたわけじゃないわ」彼女は起き上がりこちらを見た。「これにはちゃんとした理由があるのよ」


「理由って、またロクでもないことだろう?」私は肩を竦める。「宇宙人が現れたとか、ゲームの世界に閉じ込められたとか、この中に妹がいるとか」


「そんな、最近流行りのラノベみたいなことじゃないわ」彼女は不思議そうに首を傾げた。「先生って意外とオタクなの?」


「うちにはそんな内容の小説が沢山転がっているからね」私は思わず溜息を吐いた。「ちゃんと片付けなさい」


「えへへ。すみません」


彼女はそう言うと、炬燵から出て立ち上がり、なぁんだ先生はこういうのが好みなんだ、とか何とか言いながら転がっている小説を拾って本棚に戻し始めた


やれやれ、ほとんどは君の持ち物だろうに。


時計を見ると、時刻は19時になろうとしていた。少し心配になった私は、本棚の前で作業をしている彼女に話し掛けた。


「園崎くん、もう19時になるけどまだ帰らなくても大丈夫なのかな。外はもう暗くなっていると思うよ」


「大丈夫、叔母さんには、先生の家に行くって伝えてあるから…」


彼女は背伸びをしながら、本棚の上段に本を戻そうとしていた。大変そうなので手伝おうとも考えたが、一生懸命な彼女の後姿が可愛らしかったのでしばらくそのまま見ていることにする。


「ところで園崎くん、君はどうやってこの部屋に入ったんだい。玄関の鍵は閉まっていただろう」


私は煙草の香りを楽しみながら、彼女に訊いてみる。ある程度の予想はついているのだが。


「叔母さんに頼んで合鍵を貸してもらったの、ホラ」彼女は本棚の方を向いたまま、片手を制服のポケットに突っ込み、鍵を取り出して見せた。


やっぱりか。

私は心の中で舌打ちをする。


「家へ寄ったんだったら着替えれば良かったじゃないか。制服にシワが出来るよ」


「だって先生、制服が好きそうだったから」


思わず私は吹き出す。煙草の煙のせいで少しむせてしまった。


「ゲホっ、そ、そんなこと、言った覚えは…」


「ねぇ先生、プラトニックな付き合いもいいけどそろそろ一線を超えてみない?」本を全て棚に仕舞い終わった彼女が、こちらへ振り向き微笑んだ。「せっかくの二人の愛の巣なんだし、邪魔者も来ないわ」


いつの間にか彼女の胸元がはだけていた。恐らくさっき私に背を向けていた時だろう、今日の目的はそれだったか。

私は気を取り直し、煙草を最後に一口吸って灰皿で揉み消した。


「取り敢えず一旦休憩しよう。もうすぐお湯が沸くから、コーヒーを飲んで頭をクリアにすべきだ」視線を逸らし、小声で言う。「流石あの人の娘だな。我の強いところはそっくりだ」


「聞こえているわよ、先生」


見ると、彼女が腕を組みこちらを睨んでいた。


「アッパーの一つでもくれてやろうかしら…。私の前で、あの人の話はしないでください」彼女は不機嫌そうに、そっぽを向く。


「それにしても、これだけ私がアプローチしているのに、連れなさすぎだわ、先生。本当、何でかしら」


彼女は溜息を吐き、「私に興味がないのか、一つの煩悩すらないのか…」とぶつぶつ呟きながら悩んだ様子で私の方を見た。


「先生、出家でもなさるつもり?」


「宗教には興味ないよ」私はきっぱりと答える。


「そう。じゃあ、何でかしら…」彼女はゆっくりと天井を見上げた。


「倫理観が欠如している先生のことだから、私が未成年ということは関係なさそうだし…、魅力が足りないってことかしら」


彼女がこちらを見る。


「だとしたら先生、欲張りすぎよ」


「いや、魅力云々というんじゃなくて。それと、私にも人並みのモラルはあるんだが…」


喋っている私を無視して、彼女は続ける。


「あるいは先生自身に問題がある、ってこと?そう…。例えば、意外にも初めてだったりして…」


そう言うと彼女は、ハッ、と気付いたような表情を浮かべる。


「あぁ、そうだったのね先生。経験豊富な先生のことだからと思っていたけれど、ウブってことですね!」


楽しそうに話す彼女。だが、何故かすぐに笑みが消える。

そして、彼女は両手を合わせながら申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「ごめんなさい、先生。傷つきましたか?」


「いや、特に君に謝られる理由はないよ」私は片方の掌を見せて彼女を制止する。


「それよりもだね。さっきも言ったけど、そもそも私が君に対してそういった感情は…」


「大丈夫です、先生。私がしっかりとリードしますから」


彼女が喋りながら近づいてきたので、思わず私は身を引く。


「こう見えても私、結構自信があるんですよ。経験もそれなりにあるし…。クラスのみんなからも相談されたりするんです」


「そう…なんだ、へぇ、それは立派なものだね」そう言いながら私は、チラリと薬缶に目をやる。注ぎ口から湯気が出始めていた。


「ああ、もうお湯が沸くみたいだね。君は炬燵に戻っていいよ、私が用意するから。さぁお待ちかねのコーヒーブレイクだ。園崎くんは砂糖はいる?」


私は笑いながらそう言ったが、それを遮断するように彼女はなおも接近する。

大きくて澄んだ彼女の瞳が、じっと、こちらを見つめていた。


「園崎くん?」


「ねぇ、先生」


背中が流し台に触れ、私は追い詰められたことを悟った。


「私、先生のためだったら、一肌でも二肌でも脱ぎます。先生だから、こんなに積極的な女になれるんです」


彼女の体が密着し、その手が私の顔に伸びる。


「さっき言ったこと、全部嘘です。実は私も初めてなんです」


そっと私に触れた彼女の手は、ほんの少しだけ震えていた。


「園崎くん、やめ…」


「先生…」


息がかかる程に彼女の顔が近付く。

私はどうすることも出来ずにただ、彼女を見つめていた。


「園…」


「名前で呼んで、先生」


彼女の顔が、ほんのりと紅潮していることに私は気付いた。


「本当は、もう、恥ずかしくて死にそうなんです…。先生じゃなかったらこんなこと、出来ません。だから...」



そう言いかけたとき、薬缶から発せられた喧しいほどの音が部屋に鳴り響いて彼女の言葉を遮断した。


一瞬のスキを見逃さなかった私は、彼女から離れ、コンロの火を消す。

薬缶の断末魔が消え、部屋に静寂が訪れる。



「…園崎くん、砂糖はいる?」


しばしの沈黙の後、私は彼女に訊いた。


彼女は私に背を向けたまま暫く黙っていたが、フゥ、と一度溜息を吐き、こちらへ振り返った。


「そうですね、ブラックでお願いします、先生」いつも通りに彼女は微笑んだ。


「何だか今日はブラックな気分なんです…。とびきり苦いの、お願いしますね」




園崎は炬燵に入りながら、先程と同じく参考書を眺めている。

私は二人分のコーヒーを手早く用意し、炬燵の上のテーブルに置く。


「ありがとう先生」彼女は参考書を置き、カップを持って一口啜った。


「どういたしまして」私は言いながら彼女の対面に座り、炬燵に入る。


自分の分のコーヒーを飲むと、いつもと変わらない味と香りが私を落ち着かせた。


「あの、園崎くん、さっきのことなんだが」私は彼女に向き直り、意を決して話した。


「これははっきりさせないといけないことだから言っておくけど、私は君に対してああいった感情は…」


「待って、先生」言いかけた私を、彼女は制止した。


「先生、数学の問題を教えて欲しいんです。ホラ、これ」彼女は先程まで見ていた参考書を開き、ページの片隅を指差した。


「え、ああ、うん」私は身を乗り出して、差し出されたページを覗き込む。そこには『微分・積分』と書かれていた。


「ほぅ、微分と積分か。懐かしいね。私も昔、手を焼いた記憶があるなぁ」話しながら乗り出した身体を引っ込める。


「微分、積分か…。あまり自信はないけど、どこがわからないんだい?」


私がそう訊きながら彼女の方を見ると、彼女は頬杖をついてこちらをじっと見つめている。

私はしばらくそのまま待ったが、やはり彼女はこちらを見つめるばかりで何も言わない。

再び訪れた静寂の中、気まずくなった私は誤魔化そうとカップに手を伸ばした。


「私、先生が好きです」


「えっ」


唐突に話す彼女に驚いた私は、手に取ったカップを落としそうになる。


「先生を愛しています」


「…」


私はただ黙ってコーヒーを一口啜る。普段は苦く感じるコーヒーのはずが、あまり味がしなかった。やはり安物のインスタントコーヒーだからか、時々、こうして著しくパフォーマンスが下がる時がある。


「先生、さっきはすみませんでした。先生のことも考えずに、自分勝手にあんなこと。でも、私が先生のことを本気で好きだっていうことは、わかって欲しいんです」


俯きながら淡々と話す彼女。普段の明るくて活発な様子とは違う、そう、初めて会ったときの幼い頃の彼女みたいだった。


「ああ、それは分かっているつもりだ。だが私では君の期待に応えられない」私は彼女の方を向かずに話す。「それは、やっぱり無理なんだ」


「ええ、わかっています。先生の仰りたいこと、理解できています」


カップをテーブルに置きながら、私は彼女に向き直した。

彼女は背筋を伸ばし、いつになく真剣な表情でこちらを見つめている。

緊張しているのだろうか、唇が震えているようにも見えた。


「一つだけ、訊かせてもらってもよろしいでしょうか?」


「ああ、なんだい」私は彼女の瞳を見つめながら答える。


「母は…無関係でしょうか?」


震えながら、今にも消え入りそうな声で彼女は言った。その一言を絞り出すのに相当な勇気が必要だったのに違いない、私は彼女の表情を見て悟った。


「ああ。関係ない」


彼女、そして自分自身を落ち着かせるようにゆっくりと私は答える。


「そう、ですか」


彼女は小さく、そう呟いた。


私は何か話そうと口を開いたが、それよりも早く彼女が話した。


「安心しました。私、やっぱり先生が好きです。これからも、ずっと...。この気持ちは変わりません」


いつもと変わらぬ笑顔で振舞おうとする彼女。


そんな彼女の瞳から一筋の涙が零れ落ちる。雪のように白く繊細な彼女の頬を伝い落ちていったその涙は、ダイアモンドの様にキラキラと輝いていた。


拭えば消える涙の跡、しかしそれは彼女にとって一生消えない傷になってしまったのではないか。


おそらく後悔であろうその思考は確かに存在したが、すぐに消え失せた。私に備わっている一種の防衛反応であり、これが初めてではない。これまでも何度か経験してきた。


そうだ、これでいい。何も間違ってはいない。


私は彼女から視線を逸らす。

聞こえてくるのは、彼女の息遣いと時間を刻む秒針の音だけ。ひどく喧しく感じた。






「コーヒーご馳走様でした。今日はもう帰ります」


時計を見ると、時刻は21時を過ぎていた。

あれからしばらく二人で他愛のない話をしていたが、随分と時間が経っていたらしい。彼女は帰り支度を始めた。

広げた勉強道具を鞄に仕舞い、立ち上がってコートを羽織る。


「それは私が片付けるよ。ありがとう」


カップを片付けようとした彼女に声を掛ける。

私も立ち上がり、カップを流し台に運ぶ。そして、お互いに黙ったまま玄関へ移動した。


彼女が座って靴を履く様子を、私は後ろから見ていた。


「今日はありがとうございました。なんだかスッキリしました」


そう言って立ち上がり、振り返りながら私に笑う彼女。

そこにあるのは、いつもの笑顔、いつもの園崎莉緒だった。


「それは良かった。これでテスト勉強に身が入ればいいんだけれど」私も笑いながら話す。


「はい、集中して勉強できそうです。あ、そうそう、今度微分と積文、教えてくださいね」


「了解だ。任せておきなさい」


「じゃあまた。おやすみなさい、先生」


扉の外へ出て、一礼する彼女。私は片手を挙げて彼女に応える。


「ああ、また。気をつけて」




玄関の扉が閉まり、一人きりになる。私は煙草を取り出して口に咥える。

ふと部屋を見渡してみると、いつも通りだが先程までとはなぜか違う、冷めきった印象を受けた。


私は自らの思考に苦笑いする。

そうではない、こちらが本当なのだ。先程までの温もりは私のではなく、彼女のもの。いわばイレギュラーであり、私にとってはもっとも排除すべきものである。


煙草に火を点けながらそんなことを考えていると、携帯の着信音が鳴り出した。私はポケットから携帯を取り出し、画面を確認する。相手は非通知のようだ。


「はい」私は短く応えながら換気扇のあるキッチンへ向かう。


「もしもし...真希史まきしさんですか?」電話の相手が小さな声で話した。女性のようだが、少し怯えているようにも聞こえる。私は換気扇のスイッチを入れながら応える。


「ええ、真希史ですが、どちら様でしょうか」


返答はない。

仕方なく私は煙草を一口吸う。


「あの、仕事を依頼したいのですが...」緊張した様子で相手の女性は話した。


私は煙草を吸いながら少し考える。頭の中のメモ帳を開くためだ。最近は年のせいか、この作業に時間がかかるようになってしまった。


「わかりました、仕事のご依頼ですね。どのようなご用件ですか?」私はなるべく抑揚のない声で話す。相手の要求はある程度予想出来ていた。


(仕事の依頼、電話口での様子、素性を明かしたくない理由...)


私は思わず溜息を吐きそうになったが、我慢をした。これでもプロである、依頼人を無碍には出来ない。それが『どんな依頼でも』だ。


やがて電話の相手が重苦しそうに、口を開いた。


「実は、人を...殺してほしいんです」


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