第二章 5
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『『司書』というのはかなりレアなクラスで、どういう条件で出現するのかも謎に包まれている。『司書』は、説明書きにもあったように、首都ラグランシエリの魔導書図書館の司書と同様の権限、つまり、「魔導書図書館のすべてを把握する」権限がある』
俺は、走りながらゼノに入力された情報を反復する。
『魔導書とは、NFO内に存在する魔術の特性や使用方法を記した本で、何千冊も何万冊もある。これは、高度なプログラム技術があるプレイヤーにはこれを新たに執筆する事、つまり魔術を新しく作る事も許可されている。魔導書の執筆をするプレイヤーは俗に魔導著者と呼ばれているが、大体彼らは自分が書いた魔導書をこの魔導書図書館に納品する。GM側から報酬が出るからだ。つまり、個人が勝手に作った物も含めて、ほとんどの魔術の情報は魔導書図書館にあると思っていい。それらのすべてを閲覧し、使用する権限がお前にはあるんだ。
お前の『龍王の司書』以外に、既に確認されている『司書』は二つ『黒の司書』と『赤の司書』だ。お前のには色が無いのも気になるが、それは能力詳細を見てからにしよう。とにかく、それは貴重な能力だ。使い方は本人にしかわからない。すべてはお前の気持ち次第だ』
それは、結論として楽な話だった。
気持ちさえ強く持っていれば、どうとでもなる。
『司書』とは、意外とそう言う物なのだ。