序章
序章
俺を落ちこぼれと呼ぶ者は少なくない。まぁ実際、否定する事も出来ないが。俺は梶原望、2010年生まれのごくごく普通の中学2年生。良い高校に入って親を満足させるために、ゲームだとかテレビだとか言うくだらない娯楽は忘れて少し早めの受験勉強に従事している。そのためクラスの奴らとはなかなか話しが合わないし、友達も少ない。まぁ、そんなもんでいいと思うが。
俺の家にあるのは二台のパソコン、しかもラップトップだけだ。一台は俺の、もう一台は父親のだ。先に言っておくが、梶原家は別に貧乏な訳じゃない。母親は母親は働いてないが、父親は銀行員。金なら要らないくらいある。というか、実際要らない。別に金をかけてまでやりたいような事も無い。だから貯金ばかりたまって行く。「貯金するのは良い事だ」と教え込まれて育った俺にとって娯楽に金を使う事などばかばかしいの一言だ。俺はノートと参考書とシャーペンと芯と消しゴムが買えれば良い。あと定規な。
まぁ、そんな俺は良く次のような言葉で表現される。ボサボサ眼鏡。短足眼鏡。ガリ勉眼鏡。ちび眼鏡。くだらん。というか、お前らは眼鏡以外に言う事が無いのか。と、そんな訳で俺には友達はほとんどいない。要らないから別に良いが。
さて、神という奴がいるのなら、そいつは馬鹿げている。何故なら、要りもしないような転機を七十億もの人間達にわざわざ配って回るからだ。それは現状でも適当に幸せな俺にとっても例外無く訪れた。それは中二のある夏の日、俺のような奴に声をかけた、ちょっと変わった、一人の女から始まった。
俺の、もう一つの世界が。