目次 次へ PR 1/5 『汽笛の音は物悲しい気分を呼び起こす』 『汽笛の音は物悲しい気分を呼び起こす』 零時をわずかに過ぎたころに通る列車の汽笛は、冷たい空気をつらぬいて高く長く響いた。 いくつも連ねられた貨物車両が去ったしばらく後も、その余韻は肌を撫でるほどの存在感とともに残る。 ふと口に出したら、隣で友人が笑った。 センチメンタルだね。物語の出だしにいいんじゃないか。 もう友人は言ったことさえ覚えていないだろうけれど、助言に従い、この話はそのように始めることにする。