第5話
翌朝。
リゾートの警備状況を一通り調べたあと、俺たちは作戦を立てた。
だが――実行は一日延期。
装備をさらに整えることにした。
……正直、この計画――かなり危うい。
無茶にもほどがある。
……
午後五時。
準備は整った。
そして、いよいよ問題の本番だ。
俺たちは一般人に変装し、入口の前に立っている。
門の前では、ひとりの士官が
左手でスマホをいじりながら、右手でショットガンを構えていた。
デペンドラが声をかける。
「えっと……こんにちは。俺たちは――」
「ん? 入りたいのか? 荷物を見せろ、検査する。……ん?」
デペンドラは、金の延べ棒をそのまま相手の手に押し込んだ。
「どうか、お納めください」
無理やり作ったような愛想笑い。
……一方の俺は、震えが止まらない。
士官は、手の中で輝く金を見つめ、
周囲をしばらく見回す。
そして俺たちを見た。
薄く、いやらしい笑み。
視線は何度も俺たちと荷物を往復している。
……何か企んでいる顔だ。
「……オーケー、いいだろう。入れ。騒ぎは起こすなよ」
――は?
俺たちが何を持ち込もうとしているか、
絶対気づいてるはずなのに……許可しただと?
中へ入ると、背後から声が飛んできた。
「後悔するなら、今のうちだぞ」
「え……?」
振り返ると、士官はすでに椅子に座り、
金を机の引き出しにしまい、
何事もなかったかのようにスマホをいじっていた。
……意味が分からない。
……
フロントにて。
「はい、こちらがお部屋の鍵になります」
「……ありがとうございます」
渡されたのは、三階のセカンドクラスの部屋。
……いや、普通に豪華すぎるだろ。
……
「うわっ、めっちゃ柔らか!」
デペンドラがベッドにダイブしながら叫ぶ。
俺は荷物を床に置く。
……まだ体の震えが止まらない。
「おい……マジで怖かったんだけど……」
「なんだよ、ビビりすぎだろ」
「あのまま断られてたら、撃たれてたかもしれねぇんだぞ!?」
「声でけぇって」
「……ちっ」
俺たちは、しばらく様子を見ることにした。
ストリンガーの動きを探るためだ。
……
深夜。
あの士官の、あの嫌な笑みが頭から離れない。
デペンドラが寝ている隙に、
俺はスマホの明るさを落とし、操作する。
大学時代に知り合った先輩がいる。
勉強でもかなり世話になった人だ。
……ただ、あの人はそれだけじゃない。
――あの士官、絶対に罠を張ってくる。
……
翌朝。
その先輩のことは、デペンドラには話さなかった。
そして――
俺たちは作戦を開始する。
胸騒ぎは、消えるどころか、どんどん強くなっていった。




