第4話
それから半月後のある朝――
そして、俺は相変わらず無職のままだ。
そのおかげで、この数日間、母さんに怒鳴られなかった日は一日もない。
……
デペンドラがあの夜、俺の家に来て言った言葉を思い出す。
「半月後に――」ってやつだ。
……気づけば、ちょうど半月経っている。
「……あいつの家、行ってみるか」
通りは人でごった返していた。
信号の交差点は車で埋まり、空には高速で飛び交うフライングカー。
……息苦しい。
まあ、この街――グロリアスは元からこんな感じだけどな。
……
三時間後、レ・バ=フォン地区。
ようやくあの人混みから抜け出した。
……本当に疲れる。
目の前には、デペンドラが住んでいる安アパートの並び。
……
部屋に入ると、まず目に入ったのは狭いリビング。
古びた天井灯からの、弱々しい光だけが頼りだ。
奥の部屋へ進むと――
デペンドラが上半身裸で腕立て伏せをしていた。
まだ俺に気づいていない。
その体は――明らかにおかしかった。
関節にはまるで機械のような継ぎ目。
腕や背中の皮膚は、どこか金属質な光沢を帯びている。
前の傷も、ほとんど治っていた。
……マジで、別人みたいだ。
しばらくして、ようやく気づいた。
「うおっ!? 勝手に入ってくるなよ!」
「様子見に来ただけだよ。
……ってか、その体……まさか、お前――改造したのか?」
「シーッ! 声でけぇって……」
……
デペンドラは奥の部屋に入り、
エネルギーピストル二丁と弾倉六つを持ってきた。
「よし。カフェニー、帰って準備しとけ」
「おう……って、計画は?」
「まだ。現地で考える」
……おいおい。
「そういえば、あいつ……夏になると
メール・ブランシュ市のリゾートによく来るよな」
「メール・デュ・ノール州だっけ?」
「たぶん。地理なんて久しくやってねぇから忘れた」
……はぁ。
「で、いつ動く?」
「明後日だ。移動だけで一日かかる」
「……了解。準備しとく」
そう言って、俺は一度帰宅した。
……
二日後。
検問を避けながら丸一日移動して、ようやく到着した。
……マジで疲れた。
道中は警察とドローンだらけ。
まるで蜘蛛の巣みたいに監視されていて、何度もヒヤッとした。
そしてここが――
メール・ブランシュ市。
国内一のビーチを誇る観光都市だ。
……まあ、そんなことはどうでもいい。
俺たちは――人を殺しに来たんだからな。
(しかも、まだまともな作戦もない)
しばらくして、
ストリンガーがよく利用するという
パラディ・リゾートを発見した。
……
近くの安宿を取って、準備に入る。
この辺のホテルはどこも、武器の持ち込みが厳しい。
正直、かなりキツい。
「はぁ……ちょっと休もうぜ。
あとで変装しないと、明日バレる」
ボロい宿だが……
まあ、我慢できるレベルだ。
……
夜八時。
俺たちは大量のマスクを買い込み、変装の準備を整えた。
その後、リゾートの様子を偵察することにした。
……
パラディ・リゾート。
LEDが眩しく輝き、音楽が夜通し鳴り響いている。
外から見ただけでも分かる。
王国兵が多数配置され、完全武装で警備している。
「……ヤバそうだな」
デペンドラが舌打ちする。
「マジで? これ、どうやって銃持ち込むんだよ……」
俺も策が思いつかない。
その時、デペンドラが何か思い出したように顔を上げた。
「あ、そうだ!」
ポケットから取り出したのは――
金の延べ棒。
「へへへ……」
……ああ、なるほどな。
「おい、それ大丈夫か?」
「やってみなきゃ分かんねぇだろ?」
自信満々の笑み。
……俺は苦笑いするしかなかった。
まあ――
やるしかないか。




