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エピローグ

エピローグ


 「月不見の池」は、時空や空間、個人や集団を超越してすべてにつながっていた。この池に放り込まれた者は、単に水の底に沈むのではない。表面に漂っているのでもない。クラゲのように、ふわふわと水の中をたゆっているのだ。水の中で、時空や空間、個人や集団を超越してすべてに結びつくのだ。その広さは無限である。過去から現在そして未来、という順番もそこにはない。そして、プールから浮かび上がり、地上で歩くようになるということが、個人の時間がまた始まるということなのだ。

 二人は入れ替わった後、幸せな時をすごしたのだろうか?それとも、やはり不幸なままだったのか?はたまた、結局それは運命にすぎなかったのだろうか?

 二人には、共通するものがあった。それは、ふたりとも家族はいなかった(あるいは失った)こと。

 そして、ふたりとも、挫折があり、絶望感を抱えていたこと。

 マコトは、魔法を使えず、人生で何も残せなかったと感じている、挫折。

 カナノイエは、目的を失い、家族を失った挫折。

 お互いの挫折を、タイムトラベルで「入れ替わる」ことで、お互い、克服できたのだろうか?

少なくとも、いえること。

 入れ替わったあと、お互いとも、入れ替わった相手のことを常に思いながら生きてきたに違いない。自分のそばには、いつも、入れ替わった相手がいたに違いない、

 だから、二人とも、今まで生きた時代とは違う時代に生きていても、心の中では、孤独ではなかったことだろう。

 とはいえ、二人が、実際に再び会うことはもうなかったのだろうか?

 ナカノイエが病気で亡くなると同時にそのチャンスは永遠に失われてしまった?だが、亡くなったあと、ナカノイエの死体は行方不明になったらしいが。

 公園の中で消えた「マコト」の行先は不明だ。

 もしかしたら、公園の中で消えた「マコト」はまた「ナカノイエ」の時代に戻ったのだろうか?

 それとも他の時代へ行ったのだろうか?

 その時代は、タクシーが空を飛びまわっている?

 核戦争やバイオ戦争で地球はほぼ滅亡?

 宇宙戦艦で人類を救う?

 いずれにせよ、時空を超えて他の場所とつながっているのは、「月不見の池」や「小さな店」や「病院のベッドの上」だけではないのだ。


 ところで、なぜマコトおじさんは縄文時代の「月不見の池」へ最初にあらわれたのか?

 偶然の要素もあり、すべては説明できないが、少なくともひとついえること。

 マコトおじさんの生まれ故郷は、ナカノイエが生まれ、後にそこで活躍したという、糸魚川の「月不見の池」から少しはなれたところにある、頚城平野にあったのだった。

 それは、頚城平野に接する、妙高山の麓に位置する村だ。


                        了


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